HAPPY LIFE ( Happy Xmas)

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絨毯の上で座り込んで駿をあやす。

カフカの深い毛足に沈む感覚がやたらうれしそうで笑って垂れるヨダレ。

よござない様にタオルで口元を拭き上げる仕草も素早くなった。

手の甲がすべて隠れて、四つん這いで見えなくなる膝。

その状態をものともぜず突き進むハイハイ。

上手になったものだ。

きっと足腰が強くなるぞ。

「よッ」

「お帰り」

機嫌のいい笑顔で帰ってきた司の胸元に左手で抱えこむ様に緑の物体。

開いた瞳を細めて優しく見つめられる。

右手には小さな箱。

また何か買ってきてる。

クリスマスには早いんだけど・・・

困ったような表情もすぐにほほ笑んでしまってた。

「これ、いいだろう」

駿の目の前にそっと置かれた陶器の鉢に生命力のあふれる若い緑木。

モミの木?

小さなツリーだと理解した。

「駿とおんなじぐらいだろう?」

司が駿の脇に手を添えて、そっと立たせて背比べ。

70センチ弱の同じような高さが並ぶ。

生後6か月の駿に80センチの洋服を買ってきたころに比べるとずいぶんとパパも成長したものだ。

「どっちが高くなるかな」

どっちって・・・

どう考えても木の方が成長は早いと思うけど。

駿の興味はモミの木よりも絨毯の上に置かれた小さな箱に移ってる。

まだいまいち握るの下手なんだよな。

ガンバレと心の中で声援を送りながら見守る。

小さな箱も駿にとっては最大級の重さ。

自分の頭より大きいぞ!

大丈夫かぁ!!

箱を叩いたり、持とうとして必死に指を動かしてる。

指に力も入れてもびくともしない。

その仕草が面白くて見入ってしまってた。

ビリッ!

破いた包装紙を片手でしっかり握りしめている。

げーーー!この凶暴さは親譲り?

「パパにそっくりじゃん」

「お前だろう」

司と顔を見合わせて笑い声を上げていた。

箱の中にはツリーの飾り。

一つ一つ駿に見せながら箱から取り出して絨毯の上に並べておく。

電球にオーナーメント、ベルに色とりどりのブライトボール。

サンタに天使の飾り。

小さなモミの木に飾るには十分すぎる量。

赤のブライドボールを握ろうと必死な駿。

小さな手のひらには余る大きさ。

指につかもうとすると転がる球体。

それをまた小さい指先が追いかけてる。

「あっ!食いもんじゃねぇぞ」

ようやく持ち上げたボールを口を持っていこうとした駿から司が慌てて取り上げた。

きょとんとした顔が不機嫌に泣き声を上げる。

「危ないからお口はダメだよ」

抱き上げながら言い聞かせるように駿に目線を合わせる。

最近は声をかければだいぶ理解できるんだからとつぶやいた。

部屋につながる廊下には天井に付きそうな巨大なツリーも飾られた二日前。

クリスマスに染まる季節。

小さなツリーにともされるライト。

部屋いっぱいが温かさに包まれる様。

どんなツリーよりも綺麗に美しく輝いてる。

「今年はにぎやかなクリスマスになりそうだね」

見あげた視線の先でゆっくりと膝を曲げた司が駿の顔を覗き込み駿の髪の毛をクシャッとなでる。

「そうだな」

駿をあやすように司が抱き上げた。

「サンタの格好する?」

冗談のつもりで問いかけてみた。

「トナカイにソリも必要だよな」

真顔で考え込む横顔。

もしかしてサンタの格好するつもり?

ソリをトナカイに引かせてそれを操る白いひげのサンタ・・・

なにがなんだか0歳児には記憶も残らないと思うんだけど、どこまで本格的にするつもりなんだ?

「まさか空は飛ばないよね?」

マジに聞いてしまってた。

40万ヒットのまゆみ様のリクエストにお答えした作品です。

1話では終わらなそうな気配。

家族3人で初めて迎えるクリスマス♪

クリスマスも家族3人で静かとはいかないでしょうね。

皆集まってにぎやかなパティーを開催でしょうか?

あ~もうすぐ50万ヒットもまじか。

50万ヒット記念のリクエストもお待ちしております。

拍手コメント返礼

muhuhu様

ありがとうございます。

今日は娘の11回目の誕生日です♪

お祝パティーは昨日済ませたんですけどね。

これからもぼちぼちとUpしますのでよろしくお願いいたします。