ハロウィンの夜に(完)

ハロウィンの夜に 番外編 2

* 「てめぇーら出せ!」 部屋中にたち込める暗雲。 司の周りには御丁寧にどす黒く渦まで巻いている。 久々の怒迫力。 「出せってなにを?」 ここに集結させられた全員がその理由は解っていての白々しい返事はさすがあきらだ。 「携帯をよこせ」 素直にみんな…

ハロウィンの夜に 番外編 1

* ハロウィンのパーティー終了1週間後。 1通の封筒が届けられた。 差出人はあのサル女。 また変なこと思いついたわけじゃないよな。 ペーパーナイフで封を切る。 『楽しい写真が出来たので送るね。 司は遅刻したから映ってないよ PS・つくしを怒ったらダメ…

ハロウィンの夜に 8

* 「やっぱ・・・恥ずかしい」 ぱらりと落ちたマントを拾ってしゃがみ込む牧野。 それを上から見下ろす俺。 無理やり襲ってるみてぇじゃねぇか。 「まあ座れ」 牧野をゆっくり立たせて側のソファーに座らせる。 ギリギリのやせ我慢。 牧野はマントで前を隠し…

ハロウィンの夜に 7

* 「牧野」 花沢類が気を利かせてどこからか椅子を持ってきてくれた。 優雅に座るなんて余裕はない。 マントのせいで腰を曲げるのも苦労する。 手が自由にならないのがこんなに体中の動きを抑制するとは思わなかった。 立ってるのはさすがに限界で・・・。 …

ハロウィンの夜に 6

* 「牧野」 類の差し出した椅子にちょこんと座る牧野。 相変わらずのミイラ状態。 その周りを取り囲んでいる花の四人組。 総二郎の差し出したカクテルグラスから一口ごくりと喉を鳴らす。 あきらの指先からは果物の果実をついばむ。 一歩出遅れた俺。 「牧野…

ハロウィンの夜に 5

* 「ふ~熱っ」 牧野の手のひらがパタパタと顔を仰ぐ。 「何か飲み物を持ってきてやるよ」とその場を離れた。 軽いアルコール入りのカクテル このくらいが牧野にはちょうどいい。 あんまし飲ませるとそのままダウンてこともあるからな。 それで我慢させられ…

ハロウィンの夜に 4

* 圧迫感のある狭い暗闇から抜け出すとそこは眩いばかりの光の中で・・・ 自分が注目を浴びてると確信するまで数十秒。 舞台の裏ではどうしてもやらないとダメなのかと滋に掛け合った。 どうしようもなくあきらめが悪いのは着ぐるみの下のレオタードのせいだ…

ハロウィンの夜に 3

* にぎやかに流れる音楽。 人込みをかき分けるように牧野を探す。 背中に羽をつけた堕天使。 白い大きな羽が視線を遮る。 「邪魔だ!」 思い切り羽を引っ張って押し倒した。 外れた仮面の下には知らない顔の男。 滋のダチか? 「なにする」 床に転がったまん…

ハロウィンの夜に 2

* 目の前には唸り声を上げるボクサー犬数匹。 固まって動けない。 玄関の前をうろうろ徘徊してやがる。 これじゃ招待客も逃げちまうぞ。 ボクサー犬の後ろに現れたサル女。 「仮装してないじゃん」 目の前で不満そうな口調を投げられる。 「出来るわけねぇだ…

ハロウィンの夜に 1

* 夕方近くデスクの上に届けられた1枚の封筒。 『10月31日夜7時ハロウィンパーティー開催します。 会場は滋ちゃんのお屋敷です。 司も来てね。 誰だかわかんないように変装を忘れずに』 誰が行くか。 このくそ忙しいのにッ。 『PS、司が来なかったらつくし…