第2話 抱きしめあえる夜だから(完)

souvenir に心をこめて 1(抱きしめあえる夜だから side story)

抱きしめあえる夜だから お土産編のお話第2段です。 第1段 秘書西田の坊ちゃん観察日記 13 を読んでからお楽しみください。

第2話 抱きしめあえる夜だから 31

* -From 1 - 車に乗らずに通りを歩く。 行きかうのは日本人ばっか。 立ち止まって俺に指を指して小声でなにか囁きあっている二人組。 見当つく反応。 道明寺? きゃー、ウソ! たぶんこの程度の会話。 「こんなのひきつれたら目立つ」ってSPを遠巻きに護衛…

第2話 抱きしめあえる夜だから 30

* -From 1 - 「土産なんていらねぇだろう」 特に類や総二郎やあきらには。 ギュッと手を伸ばしたまま背伸びをしてソファーにもたれかかる。 「ハワイといえばやっぱりマカデミア チョコかな?」 頭の中でショッピング始めてねぇか?つくしのやつ。 さっきか…

第2話 抱きしめあえる夜だから 29

* -From 1 - 輝く白い砂浜。 打ち寄せるレースの白い波。 紺碧の海ははるか遠くで空と交わる。 ここ・・・どこ? 突然乗せられてヘリ。 「これなら誰にも見られない」 自信満々の態度の道明寺にも納得。 どこのビーチに連れて行ってくれるのかとワクワクしな…

第2話 抱きしめあえる夜だから 28

* -From 1 - 「あーッ!折角、水着を買ったのに」 言って、慌てて口をつぐむ。 誰のせいだの道明寺の視線が痛い。 そうです。 すいません。 私のせいです。 不満を心の奥に押し込めるしかないこの状況にやつあたりも出来やしない。 だからって、なんでもしま…

第2話 抱きしめあえる夜だから 27

* -From 1 - いい加減にしろ! 言いたくなった。 言葉にしなくても感情は隠すことなく態度に表れる。 ピリピリと放電中。 SPも排除して出かけた意味を分かってんだろうッ。 二人っきりで過ごす日々もこの旅行の間だけだってこと。 「ホテルに送ったら私た…

第2話 抱きしめあえる夜だから 26

* -From 1 - ベットから離れるのが億劫になる目覚め。 腕の中にすっぽりと収まる裸体を確かめるように抱きしめる。 肌に直接感じる体温のぬくもりをむさぼるように顔をうずめる。 ・・・ ・・・・・ ・・・・・・・? 気がついたら枕を抱いて眠ってた。 「も…

第2話 抱きしめあえる夜だから 25

* -From 1- ・・・舌が 入ってきて・・・・ 奥まで・・・ 深く・・・ 気が遠くなるようなキス。 「おい・・・目、そらすな」 閉じた瞼をやっと開く。 高揚した道明寺の顔。 「もう・・これ以上はやだ・・・」 「俺のこと受け入れろよ」 「もう・・・受け入れ…

第2話 抱きしめあえる夜だから 24

* -From 1- ようやくベットから抜け出したのは太陽が真中に移動した昼過ぎ。 折角の旅行なのにと着替えを終えたつくしは口をとがらせる。 「新婚旅行はこんなもんだろう」 つぶやいたら枕が飛んできた。 「これじゃ家での休日と変わんない」 お前も楽しんで…

第2話 抱きしめあえる夜だから 23

* -From 1- サンセットクルーズも終わり、迎えのリムジンに乗り込む。 滑るように走るリムジンの中から見えるホノルルの夜の明かり。 穏やかに時が流れる感じは普段のあわただしさから解放されてゆとりの中に包まれてそれを二人で楽しむ。 肩を抱いたままの…

第2話 抱きしめあえる夜だから 22

* -From 1- 夕方近くツアーを終えてホテルに帰る。 くたくた気味の気分もつくしの機嫌のいい笑い声にどこかへもっていかれてしまう。 「お前はなんでも楽しそうでいいよなぁ」 愚痴じゃなく本気でうらやましいと思える。 「明日も何かツアーにいくのか?」 …

第2話 抱きしめあえる夜だから 21

* -From 1- 窓から差し込む太陽の光。 朝早くから起き出して部屋のベランダから海を眺めている。 気持よさそうな横顔を一人ベットの中から眺めてた。 どうせなら俺の腕の中でそんな顔させてぇ。 ハワイの朝も日本なら今は真夜中、時差ぼけもつくしにはないら…

第2話 抱きしめあえる夜だから 20

* -From 1- 空港に降り立つF4ジェット。 ジェット機胴体の派手な真っ赤なペイントはひときわ目立つ。 「普通じゃないことしたい」 つくしが突然言った。 そんな風につくしが言うのは珍しい。 いつも俺の金銭感覚はついていけないと愚痴をこぼすやつだから。 …

第2話 抱きしめあえる夜だから 19

* -From 1- 「何キョロキョロしてんだ。落ち着きのねぇやつ」 個室で仕切られてレストランの一室。 どっかのお偉方さんがいないのにホッと胸をなでおろす。 時々気軽に道明寺とランチと思ったら知らないおっさんが数人ってことがあるんだもの。 「つくし様を…

第2話 抱きしめあえる夜だから 18

* -From 1- 仕事を途中で邪魔されて・・・ これなら最初から一緒に出社したほうが楽だった。 「強引なんだから」 「好きだろう」 「何が?」 「強引な俺も、キスも・・・」 自信に満ちた表情が少し唇の端を持ち上あげる。 離したばかりの唇にまた薄く閉じた…

第2話 抱きしめあえる夜だから 17

* -From 1- 「あっ、起きれたみたいだね」 にっこり微笑んでつくしが俺のそばに駆け寄った。 「・・・・5分」 「えっ?」 「5分でこの状況を説明しろ!」 理解できないような考え込むしぐさ。 「だから、なんであいつがここにいるんだ!」 しびれを切らして…

第2話 抱きしめあえる夜だから 16

* -From 1- 夢の中の道明寺を一人残して会社へと向かう。 屋敷の使用人に道明寺を起こす様に頼んだら「いやです」ときっぱり断られた。 地雷は踏みたくありませんと泣きつかれるなんてどれだけ寝起きが悪いのだろう。 「目が覚めてまず最初に目につくものは…

第2話 抱きしめあえる夜だから 15

* -From 1- 無言のまま迎えの車に乗り込む。 道明寺と俺を呼ぶつくしの声にも聞こえないふりする俺は完全にすねている。 口を開くと松岡公平が気にくわないとか・・・ 俺以外の奴に笑うなとか・・・ つくしと言い合いになるのは明白でそれが解かっているから…

第2話 抱きしめあえる夜だから 14

* -From 1- 「遅くなるのご連絡ですか」 渋々と切った携帯を眺めて正面に椅子を向ける。 そこには待ち構えたような西田のまなざし。 全部把握済みという態度はいつもの事。 きっとつくしのスケジュールも俺のスケジュールの横に並んで手帳の中に書きとめてあ…

第2話 抱きしめあえる夜だから 13

* -From 1- 「代表・・・機嫌悪そうじゃないですか?」 俺の後方で西田に耳打ちする第二秘書。 「機嫌はいいはずだから心配ない」 しっかり俺の耳に届く西田の声。 気を入れて頬を引き締めないとどうにもならない機嫌のよさを隠す様に顔を作る。 喋るとぼろ…

第2話 抱きしめあえる夜だから 12

* -From 1- 二人並んで食事をとる。 いつもの食堂の部屋の広いダイニングテーブルじゃなく自分たちの部屋のテーブルに道明寺が食事を準備させた。 それでもテーブルは8人掛けだけど。 「離れて食べると食べた気がしない」 対面より近いって並んで座って食事…

第2話 抱きしめあえる夜だから 11

* -From 1- 時差のせいなのか・・・ それとも俺の横でスースー寝てるこいつのせいなのか・・・ 真夜中すぎに目がさめた。 どうせなら眠れない夜より眠らせない夜の方が良いに決まってる。 そう考えながら胸の奥へとつくしを抱きしめた。 甘い匂いが鼻腔をく…

第2話 抱きしめあえる夜だから 10

* -From 1- もうすこし・・・ もうちょっと・・・ まだたんねぇ~ ・・・って、いつまでキスをねだるつもりだ。 最初は素直に応じてた私もヤバいと感じてる。 そろそろと道明寺の指先は胸のあたりを彷徨ってもう片方は太ももの上を移動中。 「ど・・・道明寺…

第2話 抱きしめあえる夜だから 9

* -From 1- 「・・・なあ、この薄っぺらなのなんだ?」 鶏のパリパリ揚げを箸でつまんで眺めて道明寺が私の耳元で囁く。 「鶏の皮を揚げたもの」 「鶏の皮?肉ついてねぇのか?」 「そんな料理なの。食べた事ない?」 「唐揚げならあるんだけどな」 「一緒み…

第2話 抱きしめあえる夜だから 8

* -From 1- 1時間待った。 牧野の実家のテーブルに男3人。 俺の前には義父と義弟。 数分で話も尽きる。 変なにらみ合いに作り笑い。 笑いたくもないのにハハッと笑ってため息ついた。 2時間後・・・ 我慢できずに携帯を手に取る。 最初から連絡取ればよかっ…

第2話 抱きしめあえる夜だから 7

* -From 1- つくしに会えるまであと5分・・・ そんな距離ならどんなにいいか。 はやる気持ちを押さえながら取引先の重役とにこやかに握手を交わして飛行機に飛び乗った。 「ずいぶんと仕事がはかどりました」 俺の横で涼しい顔を見せる西田を苦々しく見つめ…

第2話 抱きしめあえる夜だから 6

* -From 1- 「・・・そんな小説と一色単にされても困る」 二人に詰め寄られて返す言葉が乏しくなった。 「いや・・・司とつくしって案外なサクセスストーリーだよ」 滋が顔を突き出してまじまじと私の顔を見つめる。 「ハーレクインみたいには色気がないです…

第2話 抱きしめあえる夜だから 5

* -From 1- 2度あることは3度ある! 仏の顔も3度まで! これは使い方が違うか・・・ 花沢類が突然訪ねて来て西門総二郎、後は美作あきらを残すのみ。 何の偶然だ? 測ってやってる様に思えるのは気のせいか? 会社を出ようとしたその刹那。 「よう!元気…

第2話 抱きしめあえる夜だから 4

* -From 1- 日本とNY、時差は13時間(夏時間)。 今頃日本でつくしは目を覚ました頃だろうか。 NYに到着後すぐに訳のわからないレセプションに駆り出されてしまってる。 こっちじゃ、パートナー同伴は当たり前。 俺の相手がおふくろって最悪の展開。 挨拶す…

第2話 抱きしめあえる夜だから 3

* -From 1- 乗り込むのは運転手つき黒塗り高級車。 その後ろにはSPが乗ってるセダンが1台。 なに変わらぬいつもの出勤風景。 ただ一つ私の隣に道明寺がいないことを除けばだけど。 助手席にはなじみの顔のSP一人。 「今日は抜け駆けしないでください」 やん…