第2話 抱きしめあえる夜だから 28
*-From 1 -
「あーッ!折角、水着を買ったのに」
言って、慌てて口をつぐむ。
誰のせいだの道明寺の視線が痛い。
そうです。
すいません。
私のせいです。
不満を心の奥に押し込めるしかないこの状況にやつあたりも出来やしない。
だからって、なんでもします!
なんて言えないっーの。
「さ~部屋でなにして時間つぶそうかなぁ~」
口笛吹きだしそうな雰囲気の道明寺。
今朝まででくたくたなんです。
別な要望が浮かんでいれば別ですけど・・・。
聞けるわけない。
わざらしくテラスに通じる窓を開けて飛び出た。
「オッ!」
大人3、4人は入れそうなジャグジ。
「水着が着れそう」
情けない発想。
貧弱だ。
「べつに要らねえだろう、水着」
言うと思ったこのスケベ男。
すり寄る様に身体を寄せてくる。
「見られたら困るよ」
きょろきょろとあたりを見回す。
目の前に広がる青い空と海。
「ここ最上階だぞ」
呆れた様な笑いを浮かべられてムッとする。
「ヘリとか飛んでるかもしれないし」
「それなら見せつけてやればいい」
見せつけるって・・・
道明寺の余裕の表情に呑み込まれて完全にあたふたしてしまってる。
「冗談、そのへんの警備はしっかりしてるはずだから」
ニンマリと表情を変える傲慢男。
「もうッ!」
両手で思い切り胸板を押しのける。
「わっ!バカ」
完全に不意をつかれた道明寺がバランスを崩してジャグジーに落ち込んだ。
バシャッと上がる水しぶき。
「キャッ」
しっかりと私も頭からかぶってしまってる。
落ち着ける間もなく道明寺の腕が伸びてきてジャグジーの中に引っ張り込まれた。
びしょぬれの服のまま水を掛け合って戯れる。
「どうしようもねぇな、俺たち」
じゃれあうように触れ合う鼻先。
衣服にしみ込んだ水の重みに沈むように抱き合ったままおぼれ込んだ。
-From 2 -
もう朝か・・・。
って、言っても太陽は真上に来そうな時間。
ジャグジーで濡れた服のままはしゃいでた。
べットの上でシーツの波に戯れる。
「シーツの波じゃなくて海の波がいいな」
「俺はこっちの方がいいけど」
そしてまたつくしを腕の中に囲い込む。
きっと今しかできねぇ至福の時を刻む。
日本に帰ったら時間に振り回はされる慌ただしさ。
西田のやつ「2週間の借りは返してもらいます」と待ち構えているんじゃねぇ?
無表情の下でニンマリしていそうだよ。
その中で安らげるのはお前を腕の中に感じてる時だけだ。
一番の望みは豊かな黒髪に指を埋めて、顔を引き寄せ口づけをしてつくしの身体で乾きをいやすこと。
色欲に支配される。
こんな気持ちは無縁だと思っていた。
こうして腕の中で寝息を立てるお前を見つめていても、片時も離さずにお前を側に置きたい独占欲は覚めることなく俺を支配する。
お前はもう俺のものなのになッ。
もう一人ではいたくない。
好きとか嫌いとかそれよりももっと深いところから湧き上がる想い。
傲慢という厚い壁のなかの孤独から救ってくれたやつ。
離せるわけねぇよな。
俺の気持ち解ってんのか?
あどけない顔で寝入ってるつくしを起こしたくて鼻先をチョンと指でつつく。
「う~ん」
ハエを払うみたいな仕草で指を払われた。
「起きろ」
起きねぇとこのままやっちまうぞ。
起きてもそのままこいつの胸元に顔を埋めて秘所に指をすべらしてっいたらどっちでも一緒か。
色欲は冷めねえみたいだ。
触れる肌の温もりが指先から伝って身体を熱くする。
「な・な・・なにしてるの!」
身体を俺から離すように捻らせ非難気味に表情を口元に浮かべるつくし。
「なかなか起きねえぇから、飽きた」
「だからって人の体で遊ばないでよね」
「やっぱさすがに起きたか」
「寝ててもしっかり反応してたぞ」
「バカッ」
非難する声は小さくなって頬が見る見る間に色づいてくる。
「起きてる方が二人で楽しめるか」
腕を伸ばす瞬間にシーツごとベットから飛び出すつくし。
逃げられた。
「今日は絶対海で遊ぶんだから」
「ハワイまで来て海で過ごさなかったってヤダもん」
「俺がお前をベットから離さなかったって言えばいいだろう」
「誰に言うのよッ!」
膨れた頬が緩んで笑顔になる。
ワイキキビーチとか言い出すんじゃねえだろうな。
ホテルのプライベートビーチでもやべぇかもしんないってことこいつ分かってるのか?
「誰もいないとこじゃないと無理だぞ」
つまんなそうな表情を浮かべやがった。
「しゃあねぇ、どうにかするか」
「キャー」
弾けたようにつくしが飛んできて俺の首に抱きついた。
俺、どうすんだ?
続きは 抱きしめあえる夜だから29で
結局行きつく先は~
まあ新婚旅行ですから(^_^;)
もうそろそろ日本に帰りましょうか?
・・・で、海はどこ?
拍手コメント返礼
sako様
拍手一番乗りありがとうございます。
楽しくかけちゃってます♪
b-moka様
水着着れそうもないような♪
楽しければいいかぁ。
ジュンコ様
老舗ホテルのプライベートビーチに隣接しているプールで気分はビーチみたいな感じですか?
1?年前私はワイキキで泳ぎました。
いまなら別なとこ行くでしょうね(^_^;)
その前に水着が着れない・・・。