第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ (完)

花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし6

* 「どうしたの?」 思わず覗き込んだ道明寺の顔。 愁いを帯びて・・・ 苦しそうで・・・ せつなそうに唇が開く。 「牧野・・・」 「俺・・・」 「我慢できねェッ」 悲鳴にもに似た狂おしさをぶつけられて抱きしめられて押し倒された。 突然の出来事で言葉を…

花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし5

* 「・・・もう・・・寝た・・・の?」 遠慮がちに響く牧野の声。 「寝るわけねぇだろう」 慌てて布団の上にあぐらをかく。 牧野に気付かれないように股間の上に枕であてた。 結構きつい体勢。 女には分かんねえだろうけど自分からは動けそうもなかった。 そ…

花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし4

* お~ッ! 心の中で感嘆符上げていた。 食事から帰った部屋は模様替え。 さっきと断然雰囲気が違ってる。 テーブルがなくなって布団が2つ引いてあるだけなんだが、いつでも寝れる準備が出来あがってる。 「別に一つでもいいんだが・・・」 思わず口から想い…

花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし3

* パタパタパタ。 牧野をソファー上に座らせ手に取った雑誌で仰ぐ。 濡れた身体も拭いて浴衣を着せた。 一応下着も・・・ どちらかと言えば脱がせる方が得意だが、着せるのも結構ドキドキもんだ。 目の前に広がる白いほっそりとした下肢。 かしづいたままの…

花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし2

* グッと両腕に力を入れ牧野を抱き上げた。 「ちょっ・・・ちょっとなにする気?」 言葉を詰まらせながらわずかに手足をばたつかせる。 俺を見る目は微かに潤んで熱を帯びている。 「なにって・・・本気で聞いてるのか?」 「えっ?それは・・・」 「俺がや…

花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし

* ・・・いったい・・・どこなのよーーーーッ! 道明寺に促されるまま始発の電車に乗った。 公共の乗り物の方が足がつかないと道明寺がほざく。 電車の中は貸し切り状態。 ぽつぽつとまばらに席が埋まってる。 道明寺と向き合って座る電車の中。 「座りごこ…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 12

* -From 1- 「・・・・賭けはもういいの?」 「最初から明日までなんて本気で考えてないよ」 「司だしなぁッ」 「あんまりやり過ぎると俺らより牧野が大変だろう?」 美作さんがニヤリと笑う。 グーの根も出ないとはこの事とか。 「だからほどほどねッ」 西…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 11

* -From 1- 「お前らの悪だくみはなんだ?」 「ひでぇー言い様!俺達は純粋に司と牧野の事を思ってるだけだろう」 「そんな気さらさらねえだろうがぁッ!」 腕組みしたまま総二郎とあきらをガン見した。 「司に耐えしのぶ我慢の限界なんてもんに挑戦してもら…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 10

* -From 1- 後5分・・・ 後3分・・・ もうちょっと・・・ どのくらい抱きしめられていたのか・・・ 分からなくなっていた。 ノックする音で我に返った。 「・・・もう・・・いいでしょう?」 「邪魔な奴らだ」 不満そうに唇を尖らせながらも機嫌よく頬は緩…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 9

* -From 1- 昨日あれからどうだったかなんて聞く気もおきないほど崩れてる。 朝食の為に集まった一室。 目の前のテーブルに牧野と司が並んで腰を下ろす。 その真ん前に俺。 座るんじゃなかった。 司は時々牧野に視線を送っては頬を緩めっぱなしだ。 「おっ!…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 8

* -From 1- なにか・・・変・・・。 ベットの上で胡坐をかいて座ってる道明寺の背中を眺めてた。 時々小刻みに震える肩。 どうも笑いを我慢してる様な雰囲気。 思わず半径1メートルで横顔を覗き込む。 ボーっと宙を眺めて・・・ニンマリ。 指先を見つめて固…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 7

* -From 1- 牧野の声に一番焦ったのは・・・ たぶん俺。 部屋に入る寸前まで俺の腕の中で甘えるようにしおらしく身体をほとんど預けっぱなしだったのにッ。 これからのつくしとの二人の時間・・・ 出来事! 睦ぐ愛! 想像したらたまんねえだろう! 爆発寸前…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 6

* -From 1- 「どんなことを言っていた?」 唇をムッと結んで目を大きく見開いたまま俺を見つめる。 瞳の中に戸惑いの色を見つける。 いじめたい衝動。 しかたねぇ。 困った顔も・・・ 笑った顔も・・・ 怒った顔も・・・ その瞳がじっと俺を見つめる瞬間。 …

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 5

* -From 1- ようやく見つけ出した牧野。 「良く見つけられたね」ってクスクス笑っている。 もう二度と離れないようにギュっと手をつないでた。 「どうせ食べ物の匂いに釣られているだろうからな」 手当たりしだいに必死で人の波をかき分けて探していた。 心…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 4

* -From 1- 一部屋にみんな集まって顔を並べる。 テーブル一面に並べられた色とりどりの浴衣に目を輝かせるのは私と優紀の二人のみ。 「女性の浴衣姿は色っぽくていいよな」 「牧野じゃなぁ・・・」 「祭りに行けば楽しめるかもな」 美作さんと西門さん・・…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 3

* -From 1- 眉目秀麗。 容姿端麗。 無駄のない筋肉。引き締まった体。 すらりと伸びた足。 三人三様、どこも卑下することができない完璧さ。 目の前にさらされる上半身の裸体。 目のやり場に困った。 普通目のやり場に困るのは男性の方だよな。 そう思っても…

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 2

* -From 1- 照り返す日差しも暑い夏本番。 大学も夏休みに入る。 毎日会えなくなると道明寺はやや不満気味だ。 毎日会うと言っても学校の構内で会える時間は少ないのだけどそれでもやっぱり、 二人顔を合わせることができるのは幸せなことだと思っている。 …

第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 1

* -From 1- 久しぶりの道明寺とのデート。 珍しく映画館で恋愛映画を見た。 道明寺と映画を見るなんて初めての経験。 楽しみにしていた。 貸し切りにすると言った道明寺を説得するのに時間を労したのを差し引いても十分に楽しめる筈だった。 映画を見ながら…