花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし2

 *

グッと両腕に力を入れ牧野を抱き上げた。

「ちょっ・・・ちょっとなにする気?」

言葉を詰まらせながらわずかに手足をばたつかせる。

俺を見る目は微かに潤んで熱を帯びている。

「なにって・・・本気で聞いてるのか?」

「えっ?それは・・・」

「俺がやりたい事」

牧野を抱いたまま露天風呂を目指す。

歩いて数歩の距離。

「マジで?」

おうーマジだ。

「本気?」

本気じゃなきゃなんだ。

「まだ明るいよ?」

明るきゃなおさらいい。

牧野は恥ずかしがって滅多に全裸見せてくれねぇし。

いつも寝てる時にチラ見する程度。

それでも気がつかれたら枕で殴られるおまけつき。

「風呂よりお腹すいてるし・・・」

「道明寺も疲れてるんじゃないの?」

俺も結構疲れてる。

滅多にこんなに歩いたことねえからなッ。

けど・・・

別腹って言うだろう。

こういうの?

「デザートは食える」

ごちゃごちゃうるさく喋る口にバクッと食いついた。

「うっ・・・」

ほらッ結構甘い。

ニンマリする俺の腕の中で牧野の身体がポッと火照った。

こいつもその気になっている。

ドアを開けたその先に広がる脱衣場

「脱がしてやろうか?」

真っ赤になった牧野を下におろした。

「いい!自分で脱ぐ!」

「少し後ろ向いてて・・・」

「見たら承知しないから」

承知しないってなにを承知しないのか。

今さら俺のされるがままだと思うんだけど。

そんな思いを飲み込んで一言「逃げんなよッ」と湧き上がる笑いを押し殺して背を向けた。

ポッチャッ

湯船につかる微かな湯の波紋。

姿が見えないだけに感じる色気。

待ち焦がれたように振り向いて風呂に飛び込んだ。

「ど・・・道明寺ッ!服!」

ヤべェッ!

脱ぐの忘れてた。

ケラケラ笑いだす牧野の前で服を脱ぎ捨てる。

さっきまでの高まりはこいつからは抜けおちてしばらく笑いも収まりそうもない。

「笑うな」

自分の失敗を忘れるように視線を外して牧野の横に並んで足を延ばす。

「誰にも言うなよ」

「誰にも言えないよ」

必死で笑いをこらえながら牧野の口元がまたプッと噴き出す。

「お前のせいだからなッ」

「なんで?私のせいなの?」

マジに分かんないって顔で見つめられた。

服を脱ぐ衣擦れの音も、抱きあげた心地よい感覚も無邪気に俺に向けられる視線もすべてが体中を熱くする。

焦って・・・

照れて・・・

すぐにも抱きしめたくって・・・

なにも考えられなくなっていく。

「我慢できなくなった・・・限界・・・」

抱き寄せた耳元でつぶやく。

重なり交る体温に心臓が煽られて心音も半端なく打ち始め急上昇。

素肌に当たる外の風がここちいい。

「外から見られないよね?」

触れた風で外の外気を思い出したように牧野が真顔になった。

「見られる訳ないだろう」

俺のこと以外考えられないようにしてやろう。

挑発するように口づけを繰り返す。

「もう・・・無理・・・」

真っ赤な顔の牧野がつぶやいてガクッと俺の腕の中に頭を垂れた。

のぼせた後の介抱をよろしく司君。

また蛇の生転がし状態になってしまった(^_^;)

なかなか文章が浮かばないとこのパターンになってしまって・・・

お許しを~