2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

下弦の月が浮かぶ夜9

* どうして・・・ 今ここにいるのか。 自分から会いに行く必要はない。 身の置きどころがない淋しさで眺めるネオン。 黒猫の絵の書かれた看板がじっと俺を見据えてる。 黄色く光て見つめるネコ目。 冷たく感じた。 「いらっしゃいませ」 静かな口調で明けた…

St. Valentine's Day おまけの話 2

* それ以上のもん・・・ やっぱあれ・・・だよね。 考えるたびにキュンと身体の奥がしぼる感覚。 想像しないって言ったらうそになる。 誕生日も・・・ その前の正月もクリスマスも考えては・・・いた。 頭ではしっかり受け入れている。 私には道明寺しかいな…

木漏れ日の下で 33

* 新しく誰かの来訪を告げるベル。 「来たっ」 最初に声を発したのはジム。 つーことは来たのはジョンか。 何もここに勢ぞろいしなくてもいいんじゃないか? 外で増えてもややこしさは一緒かとため息が出る。 つくしのそばに集まる男3人。 もう一人集えば日…

下弦の月が浮かぶ夜8

* 訳ありなんだよな・・・ 今度の相手。 牧野を見送った後何気なく見下ろす夜の夜景。 原色に交る淡い灯。 何気にさびしげに映る。 窓辺にもたれかかって窓ガラスに移る俺は牧野がいた時みたいに笑うことはできなくなっていた。 牧野に彼女のフリをさせでな…

木漏れ日の下で 32

* 日本にいたときは公平。 日本を飛び出してアメリカまで来て、ここではジムにジョン。 増えてるじゃねぇか! お前に色目を使う奴。 自分がモテてるのを未だに気が付かない鈍感さ。 これだから気が休まらねぇンだよ。 まあ・・・ 俺がホレ込んだ女だからしょ…

下弦の月が浮かぶ夜7

* 「牧野、このままあの噂に付き合うか?」 「えーッ!」叫んだ後にごくりとなる喉。 『かたづを飲む』って、この事を言うのかと息をひそめた。 もし・・・ このまま美作さんの言うとおり彼女のふりして、噂が広まれば道明寺の耳にも入るよね? どうなる? …

St. Valentine's Day  side story2

PW付きのお話のその後のお話です。 山小屋で一晩無事にすごせた設定のあとのお話になります。 PWのお話をスル―してもストーリー的にはわかるお話としてます。 『St. Valentine's Day おまけの話』とは対比する設定ですが、焦る司は同じかもしれませんね。…

St. Valentine's Day おまけの話

* どんよりとした雪雲に向かって飛び立つヘリ。 俺の心の中もそれに負けないくらいにどんよりと曇ってる。 あと少し・・・ もう一歩・・・ いつも直前で何かが起きる。 何度やっても学習できねぇ。 今度は自然に邪魔されねぇところを準備するか? このまま場…

HAPPY LIFE 23 by 司

* 久しぶりの穏やかな休日。 家族3人で楽しもうって言ったら思った以上にはしゃいだ笑顔。 母親につられる様に笑い声を上げる駿に無性にうれしくなる俺。 何気ないやりとりはかけがえのない優しい時間を作る。 それをかき消す携帯の着信音。 ボタンを押す前…

HAPPY LIFE 23

* -From 1 - 小春日和の休日の午後。 ただ一人除いてはだけど。 楽しみにしていた休日も西田さんからの慌ただしい電話で飛び出して行った約一名。 背中を見送って出るため息。 「今日も二人だね」と軽く駿に愚痴る。 仕事に復帰したいかもなんてことが頭に浮…

ドキドキ

おはようございます。 ここ数日新しいパターンに挑戦中。 途中から枝分かれしたお話をUPするなんて無謀です。 それでも皆様に楽しんでいただけるのであればと書きあげてしまいました。 どちらがお好みの投票もブログ村に今まで最高のクリックをいただきま…

下弦の月が浮かぶ夜6

* 鈍感なのか・・・ 敏感なのか・・・ 分からなくなる。 目の前でじっと見開いたままの真剣な瞳。 無邪気な色を乗せたまま心配そうな表情を向けられた。 抱きしめたくなる。 きっと・・・ こんな表情を無意識に作る牧野に司も弱いんだろうな。 ふと浮かぶ親…

☆St. Valentine's Day 7 side story 1

司応援隊もなかなかのもので(^_^;) お初の『St. Valentine's Day 7』途中からの枝分かれ作品になっています。 続きの部分から分離したエッチなお話。 これで司君も本望でしょう。 本望なのは司応援隊の皆様? はぁ~つかれた。 * 二人くるまった毛布の中で必…

St. Valentine's Day 7(司 20years)

* 二人くるまった毛布の中で必要以上に上昇する体温。 重なる唇がわずかに震えてる振動を俺に伝える。 コクンと一つ心音が鳴った。 キスが深くなるたびに牧野の指先がギュッと俺の服をつかむ。 「・・・ンッ」 口を割って差し入れた舌先の奥からせつなげに漏…

下弦の月が浮かぶ夜5

* 連れられて行ったのは最上階のレストラン。 名前を告げる前にいそいそと黒のスーツを着込んだ支配人らしき人物が頭を下げる。 慣れた仕草で聞き流す様に挨拶を受けている美作さんを眺めてる数秒間。 「牧野」 名前を呼ばれて我に返る。 私・・・ こんな格…

St. Valentine's Day 6(司 20years)

* 「何よッ!」 俺の力に抵抗できずに膝の上に引き戻される格好で帰ってきた牧野。 強気な瞳が遠慮なく俺を見つめいてる。 「なに不機嫌な顔してる」 やきもち妬いてる牧野にニンマリとする心の内を隠してわざと声を上げた。 「別に不機嫌になってない」 そ…

木漏れ日の下で 31

* 二人の早口の会話について行けずに茫然と道明寺の表情を観察中。 今のところ手を出しそうな気配はないと安心する。 私の横で椿お姉さまだけが楽しそうにほほ笑む。 「二人で何言い合ってるんですか?」 「司はしっかりつくしちゃんは自分の妻だと説明した…

St. Valentine's Day 5(司 20years)

* いい雰囲気! いい流れ! そう思ってるのは俺だけじゃねぇよな? 甘ったるく上目使いに見つめる瞳。 そっと頬を優しく指先でなぞる。 口づける位置まで顔を下ろしてその動きを止める。 いや・・・ まて! こいつの場合思いもしない逆転ありだ。 寝る! 熱…

St. Valentine's Day 4(司 20years)

* 腕の中に閉じ込められて動けなくなる。 首筋に触れる息遣い。 声が聞こえる度に波打つように肌に優しく触れる。 考えがまとまらないままにその甘さに浸りたくなった。 フッと右肩が軽くなって、離れた道明寺の片腕はごそごそと動いて自分のジャケットのポ…

下弦の月が浮かぶ夜4

* 「こんなところで何してる?」 「司がいたらあいつ半殺しだぞ」 睨みを利かせた表情が瞬時に和んで優しい瞳を向けられた。 「いや~美作さんも結構な迫力だったけど」 言いながら少し照れくさくなるほど甘いマスク。 一発で女性を引き付けるのは健在で、す…

St. Valentine's Day 3(司 20years)

* 緩やかに反応を見せる甘いキス。 侵入を拒んでいた口先も今は戸惑うことなく俺を受け入れた。 戸惑いも指先を肌にそわせるたびに吐息へと変わる。 組み敷かれた華奢な身体がわずかに抵抗するように下肢を動かす。 それさえも微妙な刺激となって煽られる。 …

St. Valentine's Day 2(司 20years)

* 突然・・・ 塞がれた唇。 優しく頬に触れる指先が顔を持ち上げる。 そして角度を変えるキス。 突然でもないか・・・。 この態勢がくれば道明寺がなにを欲しているかわかりすぎる慣れ合い。 これ以上深まりたくなくてギシッと歯に力を入れた。 躊躇なく差し…

木漏れ日の下で 30

* -From 1 - 「Good morning」 明るくさわやかな笑顔。 今にもつくしに抱きつきそうなジムの勢いに片手を伸ばしてつくしを背中に隠す。 「初々しくていいわね」 つくしより姉貴の方が楽しそうなのは気のせいか。 「司、怖い顔しないの」 軽く肘で突かれた。 …

St. Valentine's Day 1(司 20years)

お待たせしました。 司の 二十歳の誕生日お話から継続するバレンタインのお話です。 1日遅れになりましたがお許しくださいませ♪ * 「なぁ」 「なに?」 不機嫌そうな返事をして俺を見ない視線。 この前からすっかりこの調子だ。 「いい加減機嫌直せよ」 誕生…

下弦の月が浮かぶ夜3

* 会いたくて・・・ 恋しくて・・・ 心が・・・ 震えた。 会わなければ忘れられる。 そんな・・・ 恋しかしてこなかったんだと今さらながらに気がついた。 それを、恋愛から一番疎かったやつらに教えられた。 まだ・・・ 間に合うだろうか? いつか・・・ お…

HAPPY LIFE 22 (St. Valentine's Day)

* 昼寝から覚めた駿を膝の上であやすひと時。 小さな箱を持ったつくしが俺の前にその箱を「ハイ」と差しだす。 今日はバレンタインだもんなぁ。 「おっ♪」 駿が差し伸ばすその先に腕を伸ばして横取りされないように箱を受け取る俺。 駿に取られればどっかに…

木漏れ日の下で 29

* -From 1 - まぶしい光が閉じた瞼の上からも感じる。 わずかにさえずる鳥の声。 もう朝か・・・。 頭は起きているのに・・・ 身体が・・・ 細胞が・・・まだ夢の中から抜け出せずにいる。 けだるい感覚の中にこのままず~と身を置いときたい願望。 明るさを…

☆木漏れ日の下で 28+α

* 目の前で楽しそうに笑う顔。 その奥に優しく潤みを帯びる瞳。 「服を逃がせろ」 命令された瞬間からこいつのわがままを許容している自分がいる。 私のこと妹のまんまにして訂正しなかったことの怒っていはずなのに・・・ それさえも忘れてしまいそう。 屈…

下弦の月が浮かぶ夜 2

* ひと際は目立つ存在感。 格別なオ-ラが立ち込めてる空間。 その中で見え隠れする淡い色のパウダーアクアのドレスをまとった華奢な身体。 あいつらが大きすぎるせいで顔は見えない。 誰にも取られないように守られてる雰囲気に心なしか安心している。 一通…

木漏れ日の下で 28

* 「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ」 エコーの聞いた声は思ったよりも大きく私の耳に届く。 恥ずかしくなった顔を隠す様に湯船の中へ鼻先まで顔を浸けて、自分以外いるはずのない個室でキョロキョロと視線を動かした。 ミルク色のお湯がホッカリと身体…