HAPPY LIFE 22 (St. Valentine's Day)

 *

昼寝から覚めた駿を膝の上であやすひと時。

小さな箱を持ったつくしが俺の前にその箱を「ハイ」と差しだす。

今日はバレンタインだもんなぁ。

「おっ♪」

駿が差し伸ばすその先に腕を伸ばして横取りされないように箱を受け取る俺。

駿に取られればどっかに投げかねない。

「あー」「ぎゃー」

箱に延びる手が届かないように頭の上に箱をやる。

やれって言ってもやれねーよ。

「これはパパのだ」

子供相手に何やってんのよとケラケラ笑い声をたてられた。

「駿にもあるから」

駿に渡す俺のより一回りちーせぇ箱。

やっぱ俺の方が大きいと満足する俺。

駿相手に何を競ってんだか。

箱の中身はハート型のチョコ。

手作りだからねと言いながら駿の箱を開けてやるつくし。

駿の方はクッキー。

どっちとも手作りじゃねぇか。

「どうして違うんだ?」

「同じもの渡したら駿と一緒かって誰かさんが拗ねそうじゃん」

拗ねねぇよ。

「まだ駿はチョコレートなんて食べれないからね」

ほころんだ顔でそう付け加える愛しい奴。

「あーた」

手を合わせて頭を下げる仕草の駿。

「最近は上手にありがとうできる様になったんだよね」

上手と手を叩く親ばかがここにも一人。

「しっかりありがとうって言える子供になってくれてママはうれしい」

駿に頬をくっつけてすげー喜びよう。

「誰かさんはありがとうなんて言葉知らないしね」

聞えよがしの声。

知ってるよ。

使う必要ねぇつーか、必要ねぇンだよ。

でも使ったこと1度だけあるんだけど・・・。

お前が駿を生んだ時。

覚えてないとか言われたらショックだよな。

くっついてた頬が離れて小さい口がチュッとつくしの口とくっついた。

「最近はお礼みたいにキスするんだよね」

「前はさ、チュ―してっていうとほっぺだったんだけど最近は口なんだよ」

俺の方に振り向いたつくしの顔はニヤケ気味だ。

「あんまし駿の前ではキスしないでよね」

ここで責められる俺の立場ってありか?

「チュ―して」って駿に言ってる現実の方が気になんだけど。

俺は言われたことねぇぞ?

言われなくてもいつでも勝手にするけど。

「だから真似し出したんだからね」

駿にキスされて喜んでるやつに言われたくねぇ。

「駿、いいかママの口にキスしていいのはパパだけだからな」

「な・・なに言ってんのよ!分かるわけないでしょう」

「いやここは今から教育しとく」

結構マジになってる俺。

つくしから駿を俺の顔の真ン前に抱き上げて「ダメだからな」ってつぶやく。

ゆっくり動いた駿の顔が俺の顔に張り付いた。

「ブチュー」って感覚。

いつもとは違う意味の濃厚さ。

生ぬるいドロッとした水の感覚を押し付けらるように唇を塞ぐ。

「ウップッ」

全然うれしくねぇーーーーーーーッ。

側でつくしが廊下に筒抜けの様な声をあげて笑ってた。

もうすぐバレンタインということでまずはひとつ。

久々のHAPPY LIFEです。

気がつけば2月初でした。

後はもう一つ成人式からの続きが残ってます(^_^;)

だいぶ対照的なお話になりそう♪

拍手コメント返礼

Noemmi様

拍手コメントありがとうございます。

なぜかこのお話だけはほのぼのとなってしまいます。

うちも女の子なので男の子が欲しいと思ったのはもう昔。

もう少しどころか10年若ければと言うところです。

しずく様

コメントありがとうございます。

ファーストキスは両親のどちらかと言うのはいまさらですよね。

本当のキスまではまだ当分先でしょうがつくしで練習?司が阻止!の関係ができつつある?

寒さに負けず頑張らせてもらいます。