下弦の月が浮かぶ夜3
*会いたくて・・・
恋しくて・・・
心が・・・
震えた。
会わなければ忘れられる。
そんな・・・
恋しかしてこなかったんだと今さらながらに気がついた。
それを、恋愛から一番疎かったやつらに教えられた。
まだ・・・
間に合うだろうか?
いつか・・・
お前らに負けない恋がしてみたい。
大学を卒業してあいつらとも会う機会はめっきりと減った。
もちろん牧野とも。
パーティーで司よりも牧野を探す自分に苦笑する。
あいつら二人の姿を見て、うまくいってるんだと思う喜びと一抹の淋しさ。
「牧野も四人で共有なッ!」
冗談気味に言った言葉に我ながら数割の本気の部分が隠れてる。
「させるか!」
必死に自分の胸の中に仕舞い込もうとでもするような反応の司。
お前のものをとるつもりはないと心にかけるブレーキ。
結構強力だぞ。
「あきらも、総二郎も忙しそうだな」
「お前ほどじゃないけどな」
「牧野ほったらかしでふられるなよ」
「俺がふられるわけねえだろう」
相変わらず強気の司。
「わかんないわよ」
無邪気な笑顔を見せる牧野。
「お前俺をふる気かッ!」
じゃれ合いを聞くのはアホらしいと二人に「じゃぁな」と告げて別れた。
それから3日。
仕事からの移動の車の中。
信号が赤で車が止まる。
何気に車内から見つめる歩道。
牧野?
見間違いじゃないかと確かめる様に車の窓をスイッチを押して下げる。
男が女の歩みをさえぎる様に立ちはだかっている。
どうみてもナンパされてる状況。
どこにでもあるありふれた光景。
ナンパされてる相手が牧野じゃなかったらの話だ。
知らない男と短めの会話をしてすぐに牧野の顔がゆがむ。
このままほっといても牧野のことだ相手をぶん殴って逃げるくらいのことはやってのけるはず。
見てるのも面白いと思いながらも後ろからゆっくりと近づいた。
牧野の背中越しに男を睨みつける。
司と相対する程度の威力はあるはずだ。
「な・・・なんだよ」
うわずる声で絡んできてもその時点でそいつの方が負けている。
「なによッ!」
牧野の方が威勢がいい。
「ナンパするなら他のを探せ」
「えっ!?」
驚いた声を上げたのは男じゃなく牧野の方。
首を伸ばすように振り向いた顔は俺を食い入る様に見つめてる。
「美作さん!」
「なんで?どうしたの?ウソ!」
その声ににっこりほほ笑む俺。
「失せろ!」
俺の声に煽られる様に男がこけそうになりながら視界から消えた。
続きは下弦の月が浮かぶ夜4で
3連休は皆様いかがでいたでしょうか?
我が家は1泊で最南端のスキー場で過ごしておりました。
そのせいで2日間更新ができなくて・・・
携帯を片手に書いてはいたんですがなんせ電波悪い。
そして携帯の電池の量だけが見事に減っている。
携帯の電源が切れそうになるのは久しぶりで焦りました。
さて今回のお話、あきら君中心のお話になりますがコンセプトは揺るぎませんので安心して読む進めてもらいたいと思います。