第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? (完)

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 29

* -From 1 - 「あっ、お前この仕事終わるまで俺んちなッ」 「俺んちッて・・・・・」 腕の中でこわばる表情の牧野。 「今週末まで24時間一緒ってこと」 対照的に緩む俺の口元。 「はぁ? なんで?」 「花嫁修業ってことでお前の両親にも了解もらったから」 …

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 28

* -From 1 - 「最初から知ってたわけじゃないよな?」 あくる日の朝一番の執務室。 西田が今日の予定を俺に告げるいつもの日課。 「何がですか?」 相変わらず無表情の声。 「ジョンのことだよ」 「骨抜きにして自分たちに有利な条件を推し進めるという情報…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 27

* -From 1 - 「あっ西門さん、お茶!お茶立ててよ」 「はぁ?」 いいこと思いついた見たいに急に明るく表情が輝く牧野。 「国際交流!世界に茶道を広めるんでしょう!」 「ジョンも日本の文化に触れられるめったにない機会だし。 西門さんはこう見えても茶道…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 26

* -From 1 - 行きたいころが行列のできるラーメン店って・・・ あまりにも意外な取り合わせ。 君がいるだけで人を必要以上に集めてしまうよ。 「一度食べてみたいんだよ豚骨ラーメン。それを楽しみに日本に来たんだ」 あっけらかんとした笑い声。 本当に楽し…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 25

* -From 1 - 連れて行かれたのは都内の高級住宅地の一角。 周りを木々に覆われた閑静な雰囲気たたずまいの純和風造りの邸宅。 看板も掲げずに、一般にはそれと知られてない有名な料亭らしかった。 「財政会のトップしかこれないんだぞ」と道明寺が私に耳打ち…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 24

* -From 1 - 「オッ!居たか」 いるもいないもあんたが私がこの部屋から出れないようにしたくせに。 SPをドアの前に張り付かせるなんて尋常じゃないよ。 落ち着きなく部屋の中を歩き回る道明寺。 挙動不審丸わかり。 「何か隠してる?」 「なにもあるわけ…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 23

* -From 1 - 目の前に在った愛しい唇にキスをした。 俺としたら当たり前の反応。 子犬が突然尾っぽを踏まれたように「キャイン」と一声鳴いて飛びのいた。 そして『何すんの!』みたいな非難の目を向けられる。 今の俺は機嫌がいい。 どんな顔を見ても可愛い…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 22

* -From 1 - 午後からの時間。 落ち着きを取り戻すオフィス内。 類は俺からの追求を愚問と失笑して帰って行った。 冷静さを取り戻してないのは俺だけ。 西田の横で一言も聞きのがなさない雰囲気でメモをとる真剣な牧野の横顔。 それに見惚れてる俺。 「代表…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 21

* -From 1 - 「俺の満足度は120%」そう言ったら「私の不安は120%」と牧野が言葉を返す。 何の不安だ? 俺との関係ばれたこと? 隠す必要なんてあるわけない。 「まだ騒がれたくないのに・・・」 ぶつぶつと小声でつぶやきながらしっかりと俺のスーツの裾を…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 20

* -From 1 - 「いけないねぇ」 はぁ? 「友達の恋人が好きになるということはままあることだけど」 「いくら友達でも花沢の坊ちゃんに悪いですよ。つくしちゃんも嫌がってる」 憐れむような眼でこの俺が見つめられている。 「ど・どう・・・みょうじ、苦しい…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 19

* -From 1 - 「なんで非常階段から行くの?」 「1階分の階段の距離ぐらいたいして疲れないはずだ」 階段を使うのを別に嫌がってるわけではないのだけれど。 エレベーターはすぐそこで、非常階段は廊下を直進20メートル先。 「エレベーターより階段のほうが…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 18

* -From 1 - 最上階に続くエレベーター。 俺の後ろには西田、その後ろに隠れるようにSPに周りを取り囲まれた牧野。 外から見えやしない。 いまSPが警護してるのは俺じゃなく牧野。 西田は大々的に牧野の存在をばらすつもりはないらしい。 エレベーターに…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 17

* -From 1 - 週末・・・ なし崩し的に一緒に過ごす予定が頭のなかで書き加えられている。 服から始まって靴にバックと一揃い道明寺にプレゼントされた。 「エステまでやっておくか?」 プレゼントされている私より道明寺の方がヤケにうれしそうだった。 道明…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 16

* -From 1 - どうにかしなきゃなッ、牧野の格好。 ジーパンに薄手の白いブラウスのラフな格好。 午前中までビル内をコンテ運んで動いてたのだから仕方ない。 これじゃどう見ても学生のあて名書きのバイトの雰囲気。 俺とつりあわねぇぞ。 こいつのことだ大し…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 15

* -From 1 - 「もうバイトなんてさせねぇ」 右手を私の首に巻きつけて左手は腰回りに巻き付いて完全に道明寺の胸の中へ埋め込まれてしまってる。 「誰も取りませんから・・・」 ため息混じりの西田さんの声に私の顔は火照り出す。 「こいつに色目使う奴はぶ…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 14

* -From 1 - 「あっ」と言って固まった。 頭が真っ白。 なんで! どうして! ここにいる! 花沢類のことを知ってるんだよねお母様。 「あれは誤解です!」 なんて・・・ 気軽に言える関係はまだできていない。 何を言われるか・・・ 「うちの息子では不服な…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 13

* -From 1 - デスクの上に無造作に置かれた書類にペンを走らせる。 仕上げのハンコに力を込めてドンと書類の上に押しつける。 書類が西田の顔に見えてくるから力も入る。 その横には同じ作業を待っているA4サイズの紙の山 これだけで日が暮れそうだ。 「った…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 12

* -From 1 - くそーーーーーッ! 騙された! 「坊ちゃんが感情に流されず場を取り繕うことが出来たらそれは成長の証です」 「私も考え直さなければなりません。つくし様を坊ちゃんのそばにおいても問題がないと分かれば・・・」 全部言わなくてもお前の言い…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 11

* -From1 - 失恋の痛手は大きい・・・ 相手が提携先の坊ちゃんじゃなかったらと不敵に笑う。 ところどころで牧野のことをにおわせるはげ常務。 お前がどんなにモーションかけても俺にかなうわけねぇだろう。 負け犬の鳴き声がッ! 声にしたつもりはないのに…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 10

* -From1 - トントントン。 人差し指で机の上を叩く。 リズムが速くなるのはイラつき感の現れ。 「西田!まだか!」 「仕事で社内を回っていらっしゃるようですので・・・」 「秘書室にも来られる予定ですから私に連絡が来るようになっています。御信望を」…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 9

* -From1 - 経理課の次は広報部そんで秘書課か・・・ 3階から6階次は最上階って結構ハード。 階段じゃないだけましだけど。 秘書課はやばくないか? 今日から道明寺は本社出勤のはずだしね。 念のため西田さんに連絡を入れてから最上階は行くとしよう。 …

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 8

* -From 1- すっきりしねぇ。 取ってつけたような2日間の支社への出向。 わざわざ無理やり作った様な内容。 突然の視察なんて必要ある状況には思えない。 本社の仕事の方が重要に思える。 なにかほかに理由がある様に思えてならない。 「今日からは本社でお…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 7

* -From 1- 目に飛び込んだ喫茶店で花沢類とテーブルにつく。 つかんでた花沢類の腕をパッと離して赤面したまま向かい合っていた。 「久しぶりだね、二人っきりで会うの」 道明寺以外の男性と二人で会うなんてあいつの機嫌を損ねる以外の何物でもない。 それ…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 6

* -From 1- バイト二日目、何事もなく終わる。 今日の日記にはそう書いておこう。 考えてるのは道明寺の事ばかり。 会いたいけど会えないつらさ・・・ なんて甘いものじゃない! どう会わないで、連絡取らずに道明寺をやり過ごすかそればかり考えている。 今…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 5

* -From 1- 「このままだと司様は掃除婦に目を光らせそうですから近いうちの別の部署を準備しておきます」 そうしてもらえばどんなに助かることか。 道明寺の視線を気にしながらの掃除は1日で疲れ果てた。 加川さんの息子自慢の話をされる必要もなくなる。 …

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 4

* -From 1- 昼食を終えて屋上の柵にもたれかかり空を見上げた。 雲ひとつない青空。 対照的に私の心の中には雨雲が覆い始めている。 悩みは一つ。 この状況で道明寺に会えるのかという問題。 西田さんの姪の話にバイトの話は避けると言うことが大事だ。 「私…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 3

* -From 1- 午前中の仕事も一段落。 屋上でベンチに腰掛けておばさんと並んで座ってお弁当を開いた。 「弁当は自分で作ったの?」 「ハイ、安上がりですから」 卵焼き、ウインナーにきんぴらにおにぎり2個、さばの煮つけは昨日の晩御飯のおかず。 たいして手…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 2

* -From 1- 西田の奴・・・ なにやってる? 普段とたいして変わらない態度なのだがなぜか気になる。 その『なぜ?』が、分からず気に障る。 「キャー」とざわついた隣の部屋。 女性の騒ぎはいつもの事。 子供の頃から慣れている。 牧野以外は見る気もしない…

第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 1

* -From 1- 西田さんからの私への携帯コール。 道明寺になにかあった? んな訳ないか。 ついさっき道明寺と別れて見送った。 「会長がお会いしたいと、今から迎えに上がります」 突然の呼びだし。 身も凍る? いや・・・ 身が細る思いとはこのことか。 道明…