第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 26

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-From 1 -

行きたいころが行列のできるラーメン店って・・・

あまりにも意外な取り合わせ。

君がいるだけで人を必要以上に集めてしまうよ。

「一度食べてみたいんだよ豚骨ラーメン。それを楽しみに日本に来たんだ」

あっけらかんとした笑い声。

本当に楽しみなんだと思える高揚した表情。

ラーメンでそんなにわくわく感を表に出す人初めて見た。

私もラーメンは好きだけどねぇ。

道明寺とは一緒にまだ食べたことない。

あいつはラーメンなんて食べたことあるんだろうか。

半径5メートルで目を光らせるSP付きで行列に並ぶ。

後ろに女性が多いのはきっとこの人のせい。

ラーメン店の広告塔にはもったいないぞ。

通された席はカウンターで、覗き込むようにラーメンを作る流れを見つめるジョン。

子供並みの好奇心を開放中。

立ち上る白い湯気にも感嘆を上げる。

人目を引きすぎる容姿にその反応。

店内の視線はくぎ付けで興味がちな視線が見つめてる。

私とこの外人さんは関係ありません!

出来るならそんな態度をとりたい気分。

それなのにーーーッ。

「つくし、つくし」って連呼すんなぁぁぁぁぁぁ。

出てきたラーメンを思い切り大口開けて「ずる」っと吸い込む。

早く食べ終わって立ち去りたいそんな思い。

そしたら横で「ズル」と聞こえる音。

「面白い食べ方だね」

真似してるよ。

ドンブリを持ってスープを飲む。

あの・・・・

レンゲというものがあるんですけど・・・

説明する間もなく「プハー」と息を吐く。

それもまた絵になるなんて同じ人間か。

なんだか意外なミスマッチ。

こんなことさせたってわかったら道明寺に叱られないか?

イヤ機嫌損ねるとしたらラーメンを一緒に食べたということだろけど。

どっちにしても今日の事は内緒に限る。

私はあくまでの令嬢の案内をしているのだから。

でも・・・

付き合うように命令したのはの道明寺なわけで、私はそれに従ったまで!

何を今から言い訳考えてるのか・・・。

ラーメンを食べ終えて席を立つ。

支払いをカードって無理だよジョン。

横から財布を開いて支払いを済ませる。

どうしてどこの御曹司も現金を持ち歩かないのだろう。

「ごちそうさま、次は僕がおごるよ」

にこやかなほほ笑み。

いいえその必要はありません!

開きかけた口がそのまま固まった。

目の前の道のわきに止まる黒塗りの車。

スル~ッと窓が下に降りる。

その奥で見慣れた顔がニコッとほほ笑んで手を振る。

西門さん!

視線はジョンにしっかり注がれて・・・

誰だ~って目で語りかけてきた。

きっとそのあとは・・・

司は知ってるのか?だろうな。

ジョンは当たり前のように私の肩に手を置いた。

これできっと西門さんの好奇心は急上昇のはずだ。

どうすんのよッ!

 

-From 2 -

洗練された都会性。

日を浴びて輝く黄金の髪と白皙の細面。

目にかかるその髪を優雅な挙措動作でかきあげた。

一瞬にしてさっきのオチャらけた感じは姿を隠す。

微笑を浮かべ視線は西門さんに注がれている。

「誰?」

耳元にかすかにかかる息遣い。

頬にキスされそうな感覚。

「キャー」

横を通る通行人から上がる小さな悲鳴。

ジョンの腕を振り払えずにいるのは関節をしっかり押さえられているせいだ。

力を入れることができずにされるがままの状態。

どう見ても彼氏とイチャイチャしている構図が出来上がってる。

「あの・・・くっ付き過ぎだと思うんですけど」

「これくらい普通でしょう」

不可解な微笑を浮かべて肩を抱くジョンの腕がギュッと動く。

絶対わざとだ。

これだから人に見られることに慣れてる人種は嫌いなんだ。

「外国人の彼氏って積極的だよね」

小さな話声が私の耳にも届く。

うらやましいって・・・

そんな関係じゃないッーの。

視線を上げて西門さんの顔なんか見る勇気は激減していく。

そのまま車が走り出してくれないだろうか。

そんな願いが通じないことは周りのざわめきと感嘆の声が教えてくれる。

車から降りてきた西門さんがゆっくりと歩幅を進めてる。

西門さんに気がついた通行人のざわつきと熱気があたりに立ち込めていく感じに身がギュッと縮じむ。

西門さん自分が有名人なこと忘れてないか?

最近はテレビに顔出し過ぎなんだから。

「目立つの連れてるね」

「牧野にこんな知り合いがいるとは知らなかった」

浮かべるのはニンマリとしたほほ笑み。

「この人、道明寺の仕事の関係だから」

かすかにバイブする唇。

これじゃ何かごまかしているように変な勘ぐり入れられそうだ。

もう・・・

勘ぐっていそうな表情されている。

「つくしの知り合い?彼氏な訳ないよね?」

挑発的な色合いの声を発するジョン。

「んな訳ないでしょう!」

久しぶりに声がおなかの底から飛び出した。

「牧野・・・お前が俺を見捨てるのか?」

なっ・・なに言い出すんだ西門さん。

悲しむような表情?

目だけが笑ってるよ。

そして次の瞬間、真顔で迫って私の肩に置かれたジョンの手から私を奪う?

助けてくれたのか?

通行人の止まる足の数が段々と増えている。

すご~く目立つイケメン二人。

隠しようもなく放たれる輝くオーラ。

凡人の私をはさんで睨み合いって・・・

必要以上の好奇の渦を巻き起こしている。

「仕事関係って言っても司が牧野と野郎を二人で会わせるなんてするはずねぇよな」

今度は西門さんに耳元でささやかれた。

もしかして・・・

ジョンに対抗してないか?

西門さんの言うことはもっともで・・・

たぶん誰もがそう思うわけで・・・

だから私も切羽詰まっているこの状況。

西門さんに見つからなければなんの問題もなくやりすごせると思ってたのだけど。

なんでこんな都合よく出てくるのよぉぉぉーッ。

これをどう説明すればいいのだろう。

女性と思っていたら実は男性でした。

きっと面白がって遊びだすに違いないんだからぁぁぁぁぁぁ。

「あの・・・

もっと目立たないところに行かない?」

ようやくそれだけ、やっと・・・

つぶやいた。

この物語での初登場の総二郎。

あとはあきらを残すだけ~。

なかなかこのお話終わりません。

予定では金髪も総もあきらも出演なかったのにッ。

どうなるんだこのお話。

最初の設定とどんどんずれが生じてます。

違いは海底20000マイルほど~

拍手コメント

こう様

新たなないしょの始まりです♪

今度のないしょはどうなるのか?

野生の感で男性だとキャッチできなかったのはつくしが側にいてデレッとしていたせいでは?

やまちゃん様

おひさです~。

>あきらだったら絶対何とかしてつくしを手助けする感じですね。

だから楽しませてくれそうな総ちゃんの登場を考えました♪

あきらは「冷静になれ」って司をフォロー。

相変わらずの損な役回り用意してる?(^_^;)