第13話 愛してると言わせたい 13

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-From 1 -

ガキみたいにはしゃぐ俺。

それ見て牧野がクスッと笑う。

まるで付き合い始めた頃に戻ったみたいな錯覚。

ただこいつが気になってしょうがなかった想い。

顔を見るだけで高鳴った胸の鼓動。

もう一度恋をするってこういうことだよな。

そうだろう牧野。

胸の奥で牧野に告げる思い。

それをかみしめる。

軽快なリズムで俺の数歩先を歩く牧野。

眺めてるだけで緩む頬。

完全に牧野にイカレテル。

くるっと振り向いた牧野はこぼれそうな笑顔を俺に向ける。

「あッバカッ!ぶつかるぞ!」

「えっ」

俺の声に驚くように立ち止まった牧野は前から来る人影とぶつかった。

「すいません」

慌てて牧野が頭を下げる。

俺の許可なしに男にぶつかるなッ。

俺のにらみが効いたのか男は何も言わずに逃げちまった。

「ったく、相変わらず危なっかしいな」

「急にそっちが声かけるからでしょう」

「急に振り向くやつが悪い」

「道明寺が後ろにいると思ってたんだもん」

「あんたのせいだからね」

頬を膨らませて俺を覗き込むように見つめる瞳。

目は笑ってるぞ。

公園を並んで歩く。

見つけた小さなイタリアンレストランでパスタを食べた。

「俺、カード使えなくなってお前におごってもらったことあったんだよな」

お前との付き合いを阻むためのお袋の手段。

思い出さないほうがいいかもしんねぇけど今なら笑って語り合える。

「えっ?道明寺がお金持ってないなんてあるの?」

パスターをくるっと巻いたフォークの動きがピタッと止まる。

「私・・・お金持ってないんだけど」

不安そうな視線を俺に向ける。

「今は大丈夫だ。なんならこの店ごと買ってやるぞ」

「道明寺が言うと洒落になんないよ」

ほっとしたようにパスタを口に運んだ。

お前におごってもらうなんて情けねぇ気分に陥るのは1度でたくさんだ。

一つ一つ思い出を探るように時が進む。

懐かしく思い出すのが俺だけだっていうのはさびしい気もするが・・・

今はそれでも我慢できる。

側でお前が笑ってくれるから我慢できるんだと気がついた。

俺たち以外にはどうでもいい会話。

バカ、アホ、横暴、傲慢、わがまま、鈍感・・・・って・・・。

言い合ってるのは記憶があるときとたいして変わりがない。

もっと色気のある会話出来ねぇのか?

俺たち。

これだから時間かかったんだよな二人の関係が前に進むの。

キスに照れる牧野の初々しさは捨てがたい。

何考えてるんだ!

牧野に知れたらやべぇぞ。

ふざけ合ったまんま屋敷に帰る。

出迎えた使用人たちは胸をなで下ろした表情で笑顔を作る。

牧野を見てあからさまに安心すんじゃねぇよ。

「今日はありがとう」

「それじゃ」

照れくさそうに言って牧野の頬が赤く染まる。

そのまんまそそくさと俺を残して部屋へと逃げるように消えて行った。

つーーーーーーーーーーッ

襲いたくなるような表情見せんなッ!

身体に悪い。

押し倒してぇーーーーッ。

 

-From 2 -

思った以上に楽しんでいる自分。

そのことに驚く。

イヤじゃなかったんだよね。

道明寺と手をつなぐの。

子供みたいにはしゃぐあいつも。

おおらかに笑って目を細めて私を見つめる瞳。

何となく・・・

何となく・・・

何となく・・・

ゆっくりとこみ上げる感情は・・・

喜びとうれしさと、どうしようもない優しい気持ち。

道明寺が話す二人で過ごしたはずの記憶。

確かに在ったんだと認めればきっと楽なのかもしれない。

だけど・・・

それじゃぁダメなんだよね。

きっと大事な想いがたくさんそこにはあるはずなのだから。

握りしめられた手の暖かさ。

触れ合った先から伝わる思い。

記憶がなくても体中の細胞が熱くなる。

私・・・

道明寺のどこが好きだったんだろう?

浮かぶのは最低最悪なあいつのはずなのに・・・

私の名前を呼ぶ声に・・・

好きだと言われた言葉に・・・

そして抱きしめられた力強い腕に・・・

心が掴まれて身動きできなくなる想い。

きっとすべてが好きだったんだと見えない記憶が教えてる。

すべて思い出さなきゃダメなんだ。

どうすれば思い出せるのだろうか。

もう一度衝撃を与える!

事故にあう!

それは命懸けだよね。

いろいろ二人で過ごした時間の再現とかで思い出す?

今日もデートの時の話してくれたけど、頭の片隅にも浮かんで来なかった。

他に何かもっと衝撃的な思い出ってないのかな?

クリスマスに誕生日なんてイベント。

二人で過ごす夜。

夜・・・

Night?

よるーーーーーーッ!?

道明寺と過ごしたことあったのだろうか?

何も思い出せない。

思い出せないっていうか偶発的なキスの思い出しかない!

それ以上のことって・・・。

経験ない!

感覚ない!

記憶にない!

思い出せないッ!

高校からの付き合いで・・・

20才過ぎていて・・・

婚約者で・・・

私が卒業したら結婚で・・・

キスだけってあり得ないよね。

・・・

・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・ッ

ヤダーーーーーーーッ。

そんなこと全く予想外。

いきなりそこまで考えが飛んだらあたふたしてどうにも落ち着けない。

私たちやっちゃってるの・・・かな?

どんな顔して会えばいいのよーーーッ。

続きは愛してると言わせたい14

もやもや気味の司クンに対抗して想像に押し殺されそうなつくしちゃん。

この後お互いどんな反応になるのでしょうか♪

面白がってるのは私だけ~

・・・・とは思いたくないです。(^_^;)

嵐にしやがれ』周遅れの水曜日の夜中に放送されてます。

今回のゲストは松岡修三さん。

松潤に5つの質問。

最後の質問「今までのキスで一番良かったのは?」

一瞬で驚きの表情と戸惑いが混じった考える表情は道明寺♪

「答えなくていい」

口をふさぐ仕草の松岡さん。

答え聞きたかったなぁ~

道明寺とつくしのキスなんて答えてくれないかなと思ってしまいました。

紅白司会も楽しみですね。

拍手コメント返礼

こう様

記憶が戻ってないのに、やっぱり同じ人にだんだん惹かれていく。

司の時とはえらい違いですけどね。

賛同していただけてうれしいです。

これからの展開がどうなるかお楽しみに♪

b-moka

ご訪問ありがとうございます。

どうやって記憶が戻るのかただいま思案?妄想中です。

今年の紅白楽しみです。