門前の虎 後門の狼 24
おはようございます。
さぁ！このお話も終わりに近づいています。
なるべく３０話前後で終わるお話に仕上げようとしてるんです。
それは最近終わるのを待って一気読みスタイルの常連さんが増えてるためです。
その間は完結してるお話を読み返してますとかのうれしいコメントもいただきます。
それでも３か月程度はお待たせしてるんですよね。
ラストスタートに入らせていただきますので『完』の文字が追加されるまでもうしばらくお待ちくださいね。
インフルエンザも流行っておりますがここ数年寝込むことに縁がない私。
皆様もお気をつけてお過ごしください。
「牧野、君はだまされてる。
こいつが君に赤札を貼った張本人なんだよな。
全校生徒総動員で牧野を学校から追い出すためにいじめ抜いたって俺は知ってるんだ」
思いだしたくもねぇことを大声でぶちまけやがる。
「司・・・」
俺の肩を両方からグッと総二郎とあきらが押さえつけた。
ここで殴れねぇよ。
やるなら牧野にばれねぇように裏でやる。
「どうして、そんなこと田畑君が知ってるの？」
不思議そうな表情を素直に浮かべた牧野に向けられた視線の先で田畑がポッと頬を染めた。
どう考えてもこいつはお前が好きでお前の情報を聴き洩らさず集めたってことじゃねぇのか？
気が付いてないのはこの中で恋愛には特別疎い牧野だけだって思う。
「そんなこともあったけど、だから道明寺と近づけたんだと思う。
道明寺はやること乱暴なのはやさしくするってことに慣れてないからだから。
すごくまっすぐに私を・・・私だけを思ってくれて・・・いい奴だよ」
「いやだったことはもう忘れちゃったし、今は道明寺といると一番楽しいから」
田畑に近づくように足を進めてしまった牧野の後ろ姿しか見えねぇ。
あいつ・・・どんな表情なんだ？
それが無性に気になる。
今の俺は大好きな飼い主を見つけて全速力で飛び付きたいと思う忠実な犬の気分がわかる。
「おい、俺はいいやつなだけか？」
飛びつきたい気持ちは抑えて牧野の背中から抱きしめるように回した両手を胸元で交差させた。
「スケベ」
は？
「どこでも抱き付かないでよ」
ぐいと首をそらして俺を睨みつける強気な瞳。
ほんのりと染まる頬は俺といると楽しいって告白した心の名残。
甘ったるい空気が抱きしめた牧野の腕から俺の身体の中に沁みこんでくる。
「俺がお前をどうしようと俺の勝手だろ？
お前は俺のものだから」
「そんなこと言うとまた田畑君に誤解されるから」
本気で俺をたしなめる表情を牧野が見せる。
俺の腕を振り払うどころ牧野が俺の手のひらにそっとやさしく自分の手のひらを重ねてきた。
きらきらと俺を見つめる牧野の表情はいつもより甘ったるく俺に甘えてくる。
そんな瞳で俺を見てたらお前が俺のことを愛してるってただ漏れ。
ガクッと膝を折って座り込みそうな身体をテーブルに両手をついて田畑が自分の身体を支えこんだ。
「嘘だ・・・
俺の知ってる・・・牧野じゃない・・・」
動揺と落胆。
「え？私は私だと思うけど・・・」
的外れな表情で牧野は優紀の相槌を求めてる。
ここまで初心だと田畑に同情したくなる。
「お前が、大人の女の顔を見せるからだろう。
普段の牧野からは想像できないからな」
「え？」
納得でできてない顔を牧野が手のひらで抑え込んで輪郭を確かめるように動く。
それじゃ、わかんぇねよ。
「あのな、後で見せてやったから」
「あとって・・・」
ギクッと危険を察知したようにまん丸く見開いた瞳が俺を見上げる。
「俺の腕の中って決まってんだッ・・・」
言い終わる前に俺のわき腹に牧野の肘が入りこんだ。
イテッ。
わき腹のいたさを我慢しながら俺は牧野の腕を強引に引っ張って店をでる。
「本当に、手加減を知らねぇやつだな」
「道明寺に手加減なんて言われたくないわよ」
「彼氏に肘鉄食わせる彼女がどこにいるんだ」
「ここにいるけど」
突然歩みを止めた牧野につないでた腕が引き戻される形で俺の身体が牧野と向き合った。
すげー照れ臭そうな笑みを見せた牧野の瞼が降りて瞳を閉じる。
背伸びして近づいきた牧野の唇がそっと俺の唇と重なった。
「ごめん・・・痛かった・・・」
軽く触れた唇は直ぐに離れてそうつぶやく。
なんか・・・
意表をつかれた牧野のキスに今は俺が放心状態。
「大丈夫？」
その声で・・・
心配そうに俺を覗き込む牧野に現実の引き戻されて見惚れてる。
「苦しいッ・・・手加減ッ！」
気が付いたときには全力で牧野を抱きしめていた。
絶対離せねぇ。
拍手コメント返礼
りり 様
やはりこうじゃなくちゃ花男じゃない♪
完になったらもう一度読みなおしを楽しんでもらえるといいなぁ～
スリーシスターズ 様
積極的なつくしに翻弄されるのは司じゃなくて田畑君だったりして・・・(;^ω^)
つくしちゃんが素に戻る前にしっかり司君確保できるかしら？
