情熱は迷宮で愛に迷う 3
しばらくは連載を小休止。
お待たせしますがお許くださいませ~
まだまだいろんなネタが頭の中でうろついちゃってます。
頭から飛び出しそうなものを押し込んでいたのに昨日は唐突に口から勝手に飛びだしました。
以前から書きたかったドラマとは違った設定のお話。
11月1日に完結できるといいんですけどね。(;^ω^)
話をまとめれば小学生の子供に対抗意識を燃やして婚約披露パーティーを急いで開いた。
って・・・・ことだよね。
目の前のリュウ君との道明寺のやり取り、どちらが子供かもうわからないよッ。
もう、頭痛くなってきた。
この控室までくる廊下やホテルエントランスですれ違った顔触れを見れば中止になったらその影響は絶大だって私でもわかる。
テレビでちらほら見たことがある政界に財界の超がつく大物。
それだけ道明寺財閥の次期総帥となる道明寺の注目度もわかる。
大学を卒業して社会人を経験してプロポーズされてその流れでの婚約披露なら私もこんなに落ち込まない。
子供に負けそうになって意地になって結婚すれば俺のもんだから手が出せねえだろう的な安易すぎる発想。
そんなんでこんな盛大にパーティー開かれて喜ぶ婚約者がどこにいるのよ!
怒るほどうれしかったかなんてバカのこと聞くなつーの。
「もう、リュウ君を本気で相手しなくてもいいでしょう」
「あのな、初恋は片思いで終わるって教えてやっんだよ。
これが大人のやさしさってもんだ」
ふてぶてしく笑みを浮かべるその表情にはやさしさなんて微塵もない。
「あのね、子供の初恋なんて淡い憧れみたいなものなんだから、
ムキになる道明寺は大人げないって思うけど」
負けず嫌いなところをリュウ君に発揮する必要はないって思う。
リュウ君が大きくなれば自然と私との接点もなくなるって思うもの。
「あいつ、牧野とお泊りデートとか、一緒にお風呂とか言ってるんぞ。
俺を挑発してるのはあいつだ」
その挑発にのる道明寺が問題なのにそこがわかってない。
「俺もまだ経験してねぇのに」
小さく独り言のようにつぶやく不満まるだしの道明寺の声がなぜか一番大きく私には聞こえた。
話せば話すほど私の頭痛の種が増えてる気がする。
「そういえば、司の初恋って、牧野じゃなかったけ?
牧野の初恋は俺だよね?」
ゆるりと頭をもたげた先で花沢類の極上の微笑みを見た。
それ・・・今・・・言う?
私の初恋が花沢類ってとこ、いまだに道明寺は敏感なんだからッ。
恐る恐る振りかえって見えた道明寺の表情にさっきとはまた違った不機嫌さが顔を出しちゃってるよ。
「司の初恋は憧れじゃなくて本気の恋。
それに司と牧野はつきあってるわけだから失恋ならない。
牧野の初恋は失恋じゃなく俺が振られたんだから、司の初恋に対する良識は当てはまらないってことになるね」
花沢類・・・
今度はあんたが道明寺を挑発してる?
私の初恋を強調しないで!
それは寝た子を起こすような危険を担う。
「俺様が他のやつと一緒なわけねぇだろう。
俺が本気で愛せればフラれるはずなんてねぇからな」
余裕な表情の道明寺の腕が動いて私の肩を抱くのを私の視線が追った。
クイッとつかまれた肩。
私が拒めば肩をつかんだ指先は鷹のような鋭い爪を出していつでも肌を突き刺すような気がする。
余裕があるように見せかけて本気で道明寺がイラついてるのわかる。
「いいか、ここではっきり、お前が愛してるのは俺だってあいつに理解させるんだ。
ついでに熱い抱擁と熱烈なキスの一つでもお前から俺にすれば解決だ。
お前の初恋が俺じゃないってことは忘れてやるよ」
ついでにって!
ついでで抱擁もキスもできるわけがない。
初恋のこともネに持ちすぎでしょうッ!
花沢類はククっと小さく笑いこらえちゃってるし。
もう!
どうしてリュウ君こいつを挑発したんだろう!
嫌なガキだと思った最初の印象を思いだした。
そういえば私もリュウ君に挑発されてムキになって本気になっちゃったんだよな。
もしかして、道明寺と私って同じような単細胞、似た者同士なのかな?
絶対違う!
子供相手でも真剣に対応するのは必要なことだもの。
道明寺の子供じみた対抗意識とは別なはずだ。
本気で私がリュウ君とどうにかなるとは思ってるわけじゃないよね?
ちらりと下から斜めの角度で盗み見た道明寺。
「そろそろ時間だ」
道明寺の唇が柔らかく動いてくすぐったそうな笑みを浮かべて、幸せそうに目を細める。
なんだか、キュンと胸の奥に芽生える甘酸っぱさが私の肌をピクンと震わせた。
そして肩から滑り落ちた道明寺の腕がわたしの腰をギュッと抱き寄せた温もりが私の身体を包みこんでいた。