Rainy Blue 10
いよいよNYに降り立つつくし。
その横にはつくしを優しく見守る花沢類の姿。
司君の方が解決してるのだろうか・・・(^_^;)
「司、出ないの?」
ライトが落ちて暗くなった画面を握りしめたままの手のひら。
呼び出し音は直ぐに留守電に切り替わって事務的な音声を流しはじめていた。
そのまま伝言を入れる気にはなれなくて携帯のボタンを押した私。
「忙しいんだよ。きっと・・・」
「牧野が来るって分ってるのに?
乗った飛行機も司が手配したのに?」
「手配してくれたのは西田さんだと思うけどね」
花沢類が言いたいことは分る。
なぜ迎えに来てない。
そんな不満を私の代わりに花沢類が浮かべてる。
私も本当は道明寺が迎えに来てくれてることを期待してた。
自分で呼びつけておいて!
怒りより寂しさの方が心に広がってくる。
それは、たとえ花沢類がいても埋めることのできない心の穴。
遠くに視線を移す横顔はきっと私の代わりに道明寺を探してくれてる。
「行こう」
「行こうって何処に?」
「どうせ、司は仕事でしょ」
何の迷いもなく花沢類はタクシー乗り場へと向かう。
「司が迎えの車をよこしていてもそっちに乗る必要はないから。少しは心配させよう」
道明寺の薄情さを恨みながら、もしかしてって気持ちがタクシーに乗るのを躊躇わせる。
道明寺は今空港に向かってるとか・・・。
飛行機の到着時間が10分早くなっちゃったし・・・
すれ違ったりしたら・・・
必死に私を探してる道明寺の姿を人込みの中に探してる。
「電話に出なかった司が悪い」
花沢類が珍しく見せる強引さ。
威圧的な態度じゃないのに促されてしまう強制力は人の上に立つ人間の姿を見せる。
道明寺にしても花沢類にしてもヤッパリ統制力は凡人とは違うと改めて思う。
「それなら、道明寺のマンション、マンションにいかない?」
今行ってもいないんじゃないと花沢類の瞳が私に語り掛ける。
「ほら、どんなところに住んでるか見てみたいし」
いいわけをする声はわずかに跳ね上がって動揺しちゃってる。
花沢類には悪いけど、ヤッパリNYの街は道明寺と歩きたい。
それに電話に出ないあいつが悪いとしても、きっと花沢類と一緒にいる私に良い顔はしないと思えるから。
タクシーにつたえる道明寺の住むマンションの住所。
もちろん流暢な英語で伝えたのは花沢類。
私の英語の発音じゃどこに連れて行かれるかわかったものじゃない。
「最低英語はしゃべれる様にしとけよ」
簡単だろうと私の感情を逆なでするように言った道明寺を見返す様になるにはあとな何年かかるのだろうか。
「NYに住めばすぐに喋れるようになる」
本気か冗談か分からない道明寺の言葉が甘く頭の中で甦って来た。
近くにいるのに会えないって、日本にいるより辛い。
マンションの入り口に入って押す暗証番号。
1228の四つの番号を順序に抑える指先。
私の誕生日にしてやったって恩着せがましく教えてくれた道明寺がそのあと照れて笑った顔が、おかしくて・・・
うれしくて・・・
くすぐったくて・・・
自動で開いた扉。
扉が開きかけた瞬間に中から飛び出してきた人影。
危うくぶつかりかけた私の腕を花沢類が引っ張って抱き寄せてくれた。
「すいません」
日本語?
日本語が意外過ぎて花沢類に確かめるように見上げた視線。
「ごめんなさい」
軽い会釈をして急ぐように外に駆けだしていく女性の背中を見送った。
私とあまり変わらない年齢の女性。
「ここって、日本人も住んでるのかな?」
「ある程度のステータスがないとここには住めないって事は分ってる」
ちらっと花沢類が気にするような視線を彼女に向けたのは気のせいなのだろうか?
「行こうか?」
軽く私の背中を花沢類の腕が押して中に入ることを促す。
「部屋で、私たちが待っていたら道明寺に驚くよね?」
「どうせなら、牧野は隠れて、俺だけ来たってことにする?」
「怒って、直ぐに追い出させれるよ」
花沢類との会話のやりとりが、道明寺に会えない寂しさを紛らわしてくれていた。
拍手コメント返礼
みわちゃん 様
ここで飛びだしてくるのどっちにしようか迷ったんです。
司が慌てて飛び出してきて二人を見つけて慌てるとかね。
西田さんなら?
それともここで椿さんとか?
いろいろ考えてしまってました。
それによってお話の筋書きが変わるんですけどね。
司君どこにいるのかな~
Gods & Death 様
すれ違ってどうなるの~
もちろんまだ司との関係をまだ司は知りませんけどね。
ここからですよ~
かよぴよ 様
ここまでのお膳立ては済みました。
後は司君を投入数だけです。
何時やるのか!
いまでしょう! ← もう古いなぁ・・・・(^_^;)
mizuta 様
感の鋭に類君がいますからね。
ドラマでありがちなシュッ♪
ここからドキドキしてもらえるとうれしいなあ。
頑張るぞ!!!