ウエディングベルは二度鳴らす 5

婚姻届♪

破いて散らばった紙をかき集めたのが西田さんだったら~

「どうしたんですか?」

床に散らかった破かれた紙の破片。

その中に婚姻の文字を見つける。

無記入のままの用紙だといくつかの破片を頭の中で組み立てて気が付く。

「なにかありましたか?」

聞いて機嫌を損ねたように顔をしかめた代表の意味が分かった。

「まだ、提出してなかったんですか?」

「お前に関係ねェだろう」

ふて腐れて尖らせる口元。

拗ねてるとしか言いようがない。

つくし様と一緒に出て行かれた類様。

このまますんなりいくような気がしないのは私だけだろうか?

結婚式で浮かれた後に別居を余儀なくされた展開。

それだけでも坊ちゃんに同情すべきところはある。

婚姻が成立してないのは、つくし様が牧野つくしのままで司法修習を受けるのには都合がいい。

実際牧野つくしと道明寺の素性を隠して修習を受けてるのだから。

しかし・・・

私の必死で手を回して結婚を隠そうとした努力はなんだったのか。

大臣に局長クラスを動かして、はたまたつくし様の修習クループの人材はすべて調べて選んだ無難な人選。

つくし様の大学の同期、松岡公平を選んだのが吉と出るか凶と出るかが今の私の気になるところ。

婚姻届を出さなかったのは誰のミス。

よもや私のミスにさることありませんよね?

まあ、自分の非を認めない性格には慣れてますけどね。

私は日常生活の中で見られるちょっと間抜けな坊ちゃんが好きです。

仕事でこんなミスをやらかしたら黙っちゃいませんが、

今のところ私が差し出がましいことをせずに済む、すぐれた経営手腕を見せていただいているから出しゃばる必要はないので、ここは私のミスにされても受けて立ちましょう。

この状況をどう打破していくかしばらくは楽しませていただきます。

提出できればすぐに解決しますが・・・

「牧野と一緒に歩くって久し振りだね」

「結婚式以来だよね?」

花沢類と肩を並べて歩くのは確かに久し振りだ。

私の大学生活の中で花沢類と過ごした時間は道明寺と過ごした時間を上回ってる気がする。

道明寺の前じゃ絶対言ってなならない禁句。

きっと、これから、もっと道明寺と過ごす時間は増えていくのに変なところで対抗意識を燃やしてくれちゃうやつだから。

どこが道明寺の嫉妬に火をつけるか分からないところがあるから大変だ。

あっ・・・

道明寺を残して花沢類と出てきちゃって良かったのかな?

今さら不安いになっても遅いかも・・・

自分たちが降りてきた最上階直通のエレベーターがまだ1階に止ってることを確かめてしまった。

「花沢類も忙しいでしょ。役所に行くのは一人でも大丈夫だから」

「役所って行ったことないから興味があるんだよね」

断わろうとした私の態度は花沢類の微笑に魅了されて負けている。

やさしく包み込むような視線に見つめられると吸い込まれそうで出会った時から今までも何も言えなくなる。

人の出入りが激しくてあわただしい役所内。

今日は用紙をもらってくるだけだから待ち時間もなくて済む。

受付に向う私の後ろには花沢類が並ぶ。

「すいません、婚姻届をもらえますか?」

年配の女の人がせわしく動かしていた手を止めて私とその後ろにいる花沢類に視線を移す様に顔を上下させた。

「おめでとうございます」

にっこり微笑んだ女性は「素敵な旦那様ですね」と私に婚姻届を渡してくれた。

旦那さまって・・・

花沢類と私で間違えられてる。

それは確かに。

婚姻届をもらいに来たカップルのそのほとんどが結婚するって思われるのは当たり前と言えば当たり前。

わぁぁぁ!ちがいます!

道明寺が聞いたらどうなるかわかったものじゃない。

「一緒にこられてるなら、記入して提出してもらえばすぐに受理しますよ。二度手間にならなくていいんじゃないんですか?」

「手間がかからないのはいいね」

いつの間に私の横に来た花沢類が用紙を受け取りそれを眺めてる。

「キャーッ」

受付の向こう側でジッと見つめる視線。

F4?とか花沢?

噂してるのは若い女性。

嬉々とした表情がアイドルを羨望の眼差しで見つめるその表情と何ら変わらない。

「印鑑をもってきてないから今日は帰ります」

「印鑑なら役所を出たすぐ横で売ってるから大丈夫よ」

この受付の女性、何故か私たちに婚姻届を出させようとする態度を見せる。

「彼、名まえなんて言うの?

若い子が騒いでるからかなり有名なのよね。私ね芸能には疎いんだけど、テレビとかでインタビュー受けたらどうしよう~

私が婚姻届受け取ったって自慢で来るでしょ」

身を乗り出して椅子から立ちがった女性の顔が私の目の前に迫る。

あの・・・

業務上知り得た情報は公表でないんじゃないんですか?

花沢類を知ってる若い女性より目の前の女性の方がテンションが高い。

「この紙をもらうだけでいいので」

紙をガシッと掴んで走ってその場から立ち去った。

「牧野」

クスッとした笑みを浮かべてきた花沢類が私に追いついた。

「もう、どうして訂正してくれなかったの」

花沢類は少しも気にしてなさそうで愉しそうな笑みを私に見せる。

「書けって言われれば俺は喜んでサインするけど」

朗らかな笑みは冗談にとるにはあまりにも艶があり過ぎて困る。

道明寺に対する愛の想いとは違うけど、花沢類の事は好きで、大事で・・・・

大切な私の初恋の人で・・・

いつも私を助けてくれて・・・

どう表現したらいいのだろう。

花沢類が本気で私を口説いてないって分ってるのに過剰に反応してしまいそうな私がいる。

「私が言わないって分っていて、そう言ってるでしょう」

少し膨れた頬は直ぐに震えて笑ってしまってた。

「まあ、そうなんだけどね」

「牧野、それ、くしゃくしゃになってるけどいいの?

え?

花沢類の視線をたどった先にはもらったばかりの婚姻届。

手の平の中で用紙の真中を握りしめて半分程度の大きさに収縮されてしまってる。

あっ・・・

またもらって来なきゃ。

「今度は一人でもらってくるから、花沢類はここで待っていて」

もう一度役所の中に入る私の後ろで花沢類がクスッと微笑んだのがチラリと見えた。

拍手コメント返礼

みわちゃん 様

西田さんにしてみれば「なにやってるんですか 坊ちゃん」ですよね。

でもよく考えて見たら2人に婚姻届を出す余裕あったのかしら?

別居になるって分った時点からほぼイチャコロ状態だと思うんですけどね。

ここは西田さんがしっかり確認しないとね。

ヤッパリ西田さんお落ち度になるかも~。

婚姻届をもらうところがしっかりスクープ!

花沢物産御曹司 花沢類 結婚の文字♪

載っちゃったら面白いでしょうね。

うっ・・・いかん。

司が暴れますよ~

still・・・様

婚姻届でトラブル事って普通はないですよね。

それも相思相愛の二人なのになぁ。(笑)

おまえのせいだろうがぁぁぁ

司に蹴りを入れられそうなので退散。

ゆう 様

久し振りにお届けした西田さんの心の声楽しんでいただけてうれしいです。

いえいえ、初コメありがとうございます。

見ましたの一言で励みになりますのでお気軽にどうぞ。

なる 様

類君一人でこれじゃ4人揃ったらどうなるんでしょう。

4人で役所に婚姻届持っていったらどうなる!

羨ましすぎるぞ!

次もらいに行くとき司君が現れたら、受付のおばさんパニックになりそうな気もします。

結婚詐欺!と騒いでくれたら面白いかも~

つくしが詐欺師♪

ゆみん 様

西田さんを軽く登場してもらっただけで本編よりよろこばれる現象が!

このショート5分くらいで書いたんですよね。

時々書こうかな。

うさこ 様

え~~~~

花沢類このまま司の元につくしを帰さずにドライブ誘っちゃうんですか。

私より司君に意地悪してませんか?(笑)

某所の細やかな描写でいっそうHが増して生っぽい・・・

きゃぁぁぁぁぁ 赤面!!!

そのコメントだけでズルッとイキそう気がしますね。(笑)

堪能していただきありがとうございます。

うさこ様どれだけ脳が感化されたんですか?

製紙が精子

お仕事に支障が出ない様に気を付けながら次回作品に意欲を向けます!

今度はどんなシュツでいこうかな♪

執事と王女。

坊ちゃんとメイド。

なんてね。

akko

この際類と結婚でもいいじゃない~

思われてる方もいますよね。

司君追い掛けないと大変なことになるかもよ~

類が強引な感じでここで書かなきゃ司に害が及ぶよなんて耳打ち。

つくしちゃんを脅してサインさせて屋敷で監禁~

あっ別物のお話が出来そう・・・・(^_^;)

完全につかつくから離れそうこのパターンだと3Pありかな?

ダメだ~

某本部の影響が抜け落ちてないよ~

ゆきこ 様

類と婚姻届取りに入った時点で気がつけばいいものをね。

類君の微笑をみたら幸せそうに見えちゃうでしょうしね。

司が実はこそっと柱の陰から観察中。

司君覗き見してるタイプじゃないですからね。

そこは西田さんがしっかりと防衛線を張り巡らせているのではないでしょうか。

「代表、仕事です」by西田

mizuta 様

一気に3話読破ありがとうございます。

お名前を拝見しない日は私も寂しいですよ(;O;)

月9の旬くん楽しんでます。

以前うちの放映は1週から2週遅れの土曜の夕方だったんです。

それが信長から数時間遅れの月曜の夜中になりました。

次の日の朝見てます。

うんうん時々類に見えますよね。

婚姻届を演出気味で出せるのか?

最後はあまあまたぶん待ってるかなぁ~