エロースは蜜月に溺れる プロローグ

エロースは略してエロス。

ギリシア神話に登場する恋心と性愛を司る神ですね。

本能の愛の意味も持つとされてます。

今回は今までのお話とはちょっと違ったパラレルものを6周年記念作品第2弾としてUPします。

6周年記念日まで昨日UPした『情熱~』と二つを集中更新していくつもりです。

またまた連載分のお話は滞ってしまいますがお許しください。

また今回の作品は作風も変化させて書いてみるつもりです。

もちろんカップリングはつかつくで変わりありません。

また最後はハッピーで終わることも約束します。

その間にハラハラドキドキ感を満載した記念作品に仕上げて皆様に楽しんでいただければと思います。

「一生お前は俺が守る」

ひざまずく少年は真摯に輝く漆黒の眼差しを一人の少女に向けた。

凛と背筋を伸ばした相手にくすぐったい思いで小さくうなずいたのを今も少女は覚えてる。

「どうして、こんな昔のことが夢に出た来たんだろう」

粗末な部屋の今にも崩れそうな粗末なベッド。

寒さをしのぐために小さく丸まった身体は温もりを逃がさないようにますます丸くなる。

都の大きな屋敷で召使に囲まれてなに不十なく育ったあのころ。

今の自分の慰めがそんな昔の夢でしかないことに一抹のさみしさが残る。

くよくよしてもしょうがない。

没落の原因は権力争いに巻き込まれたどこの国でもよくあること。

人のいい父が王を暗殺するような重大な陰謀を企てたったことは今も信じていない。

生きなきゃ!

それが一番大事!

お嬢様育ちだったはずの自分がこんなに順応して掃除でも洗濯でも料理でも人並みにできるようになった。

くるくるとよく動いて人なっこい明るく素直な性格は同じ使用人仲間から「つくし」と呼ばれた可愛がられてる。

食事に困らなければ何とかなる。

昔の生活を取り戻そうなんて思わなければ十分に幸せだとつくしは思える。

「一生俺がお前を守る」

そう言った男の子が誰だったのか・・・

名前も思いだせない。

それなのにそれが宝物で、いつか現れてくれるんじゃないかと夢を見る。

嘘つき・・・

うつらうつらした浅い眠りを覚ますように大きな声が響いた。

「おい、何してる!さっさと立て」

うつろに目を開いたつくしはぼんやりと瞳を彷徨わせた。

私・・・・自分の部屋でねてたんじゃ・・・

「こんな時に居眠りできるなんてのんきだね」

年配の女性の飽きれたような声。

視野の定まった先には似たような年頃の似たような境遇の女の子が並ぶ。

「競りはもう始まってるんだよ。

ほかの子は一生懸命自分を高く売ろうと小奇麗に身支度してるって言うのに」

腰を手に当ててでっぷりとした身体をゆすり見下ろす女はどうやらこの競りで売られる商品の世話役らしい。

薄暗い天幕の中に細長い机が並び対座するように女の子たちが座らせてる。

うすぼけた鏡の中に顔を移りこませて紅をさす女性。

身体の線を強調するようにさらけ出した腹部。

胸元を覆うだけの薄い布。

そんな服を着るなんて一生無理だとつくしは思う。

どうやら待ちくたびれて自分は眠気に誘われていたんだとつくしはようやく自分の置かれた立場を思いだした。

「ほんとに、あんた、屋敷で媚びを売り男を色仕掛けで誘って媚びをうったのかい?」

そうは見えなとでも言いたげな意味深な目つきで世話役はつくしの品定めをするように全身を舐め回すように見た。

「色仕掛けねぇ・・・」

その声にははっきりと疑念をもった感情が読み取れる。

くびれのない身体付と色気の一つもないのは自分でもわかってる。

そうはっきりと否定されてもつくしは当たり前だと自分でも思う。

それでもムッとしたのはいわれのない理由でこんなところに売られてしまった主のやり方だ。

「それはでたらめです」

唇をムッと尖らせて強気な性格が頭をもたげた。

「突然、主の息子が私を部屋に連れ込んでいやらしいことしようとしたから抵抗して逃げただけです」

思いきりけり上げた脚は偶然にも急所を一撃。

悶絶する息子を置いて私は服を脱がされることもなく自分の部屋に逃げ帰った。

子供ができなくなったらどうするとか知った事じゃない。

女にやられたなんて恥ずかしく言えないもんだから家風を乱すとかそれらしい理由をつけられたのだ。

つくしが悪くないのは屋敷の使用人は皆わかってる。

それでもどうにもならない現実もつくしはわかった。

ここでどんなにでたらめだと叫んでもどうにもならないことも・・・。

「そんなことどうでもいいんだよ。

お前が少しでも高く売れればいいんだから」

憮然と訴えるつくしに時間を無駄にしたという態度でまったく世話係は取りあってくれない。

「そうだろう?」

おおきなふっくらとした肉の中にほっそりと埋め込んだ目はやさしさのかけらも見せずに鈍く光ってつくしを見た。

「その・・・通りです」

自分は売られるためにここにいるんだと思うと悔しさに言葉が続かない。

自分を買った相手によっては今以上にみじめになることだったある。

「わかったら、せいぜい自分を綺麗に見せるようにするんだね。

16歳の今の時期が一番高く売れるんだから」

言葉とともにバッサリと服を脱がされた頭から新しい服をかぶせられた。

服というよりは自分を淫らに見せるための衣裳。

足を見せ、わずかに胸を最小限に隠すための踊り子のような衣裳。

目の前の机の上には白粉や紅が無造作に置かれてる。

化粧の仕方なんて知らないのに・・・

化粧をする気にもならないが泣く気にもならない。

ただ、自分の立場が今最大の危機に接してるのはわかる。

どうか、良い方に買ってもらえますように。

そんな砂漠の砂から宝石を見つけるようなことを願わずにはいられなかった。

拍手コメント返礼

やなぎ様

いつもとは違う書き方をしてるので気を抜くといつもの文章に戻ってしまいます。

ドラマから離れたお話は新鮮な感じがして楽しめるんですよね。

一緒に楽しんでもらえるとうれしいです。

ソフィ 様

書いてる私もUPする前からドキドキでした。

つくしの設定に迷いながら司の場合は簡単に俺様我儘王子設定で完璧。

その周りには貴族の御曹司にのF3.

舞台は王朝平安絵巻、貴族宮廷物語、千夜一夜アラビアンナイト

どれにするかと頭の中で試行錯誤しながら砂漠の夜の星空の下なんて舞台にしてしまいました。

とことん不幸なつくしを司に救ってもらおう。

売られちゃうとかする設定にしたらどうだろうなんて思ったお話が始まりなんです。

とことんドキドキするお話に下がればいいんですけどね。

7059回すごい訪問数ありがたいです。

4月にPCを変えた私が1000回ちょっとなんですよ。

感謝です(^^♪

nica 様

お祝いコメありがとうございます。

順調に更新できるといいんですが・・・(;^ω^)

お付き合いよろしくお願いします。