戯れの恋は愛に揺れる  9

更新が滞り申し訳ないです。

珍しく風邪をひいてしまいPCに向かう余裕がなくなってました。

もう無理は利かない年齢なので無理はしない、というよりできないわと痛感、

お休みさせていただきました。

そろそろ復活させていただきます。

でもまだ鼻声なんですよね。

まぁブログには支障はないですけどね。(;^ω^)

俺はあいつを妃にしようと奔走した。

一生一度の頼みだと下げたくもない頭を下げた。

どうしてもだめなら世継ぎは生まれないだろうと奥の手までつかうつもりでいた。

決死の覚悟で臨んだ対面はやけにあっさりしたものだった。

拍子抜け

それが一番当てはまる両親の反応。

直ぐに婚儀かと思えば妃教育が必要だといわれた。

あっさり認めたのは俺の性格を知りつくす母上で、俺があきらめる算段じゃねぇよな?

まさか時間稼ぎ!

思ったよりあいつの血筋はいいらしいのは拍子抜け。

それを地方の地頭に嫁がせようとはするなんてあいつはどれでけ粗雑に扱荒れていたのだろう。

あいつが屋敷に戻ってからというもの俺は不自由しないようにいろんなものを送った。

恋の歌も読んだ。

どんなのかって言われると、もちろんお前に恋してるとか早く妻にしたいとか結構熱烈な歌。

今はやりの着物に忍ばせて香で焚き染めた高級品の和紙に書いた歌。

私も楽しみに待ってますとか熱い歌を俺に返したんじゃねぇのか。

俺が来いといえば来るのが当たり前だろう。

なんか誤魔化していらついてたらあいつらに説得されて、あいつらだけ会いに行ってしまった。

俺より自由に身動きがとれるあいつらがうらやましい・・・わけねぇだろう!!

くそっ。

落ち着かないままに司はつくしからの返歌の紙を握りつぶした。

手のひらの中でクシャと和紙がざわつく。

あっ・・・

慌てて畳の上で司はクシャクシャになった和紙をもとに戻そうと必死で伸ばした。

少しでもつくしの触れたものでつくしを感じたい。

そんな思いが胸の奥に募る。

「夕食でございます」

目の前にお膳を並べて頭を下げた女官は直ぐ様、司の部屋を出る。

宮では出されない田舎料理。

料理名がわからない司は必死でそれを料理番に伝えてここ数日作らせてる。

それでもあの味にたどりついていない歯がゆさ。

あいつの作ったあの味を味合えばそばにつくしがいない寂しさを紛らわせるのではないかと考えてる司であった。

コロッと転がる丸い芋。

醤油で煮込んだ茶色色合いとふっくらとした柔らかさ。

そこから香る匂いはあの時嗅いだ香りがした。

箸を動かして口の中にいれる。

1噛みするごとに口の中に広がるその単調なはずの味が口元をほころばす。

つくしが司に為に作ったあのいもの味がした。

「誰かいないか!」

司の厳しい声に部屋の前に使えていた女官が直ぐ様飛びだす。

「何かありましたでしょうか?」

その声は司に震えた顔を床に擦りつけたまま動かずにいる。

「面を上げよ」

頭を上げた女官の唇は青白く色を変え震えを止めることができない。

「今日の食事は誰が作った」

「誰と申しましても・・・?」

女官が返答に困るのは無理もない。

下働きのものだと殿上人と声を交わすどころか顔を見ることも一生できないような雲の上の存在だ。

それは女官を一緒で司の言葉を料理番の長に撮り次をするだけの存在である。

下働きの名前など知るはずもない。

「呼べ」

「呼べとは?」

ますます混乱する表情を浮かべる女官に司は痺れを切らしそうにぶるっと腕が呼ばれた。

「俺の味わいたい食事をつくったやつを褒めたいだけだ」

「皇子がほめるのですか?」

それは司に怒鳴られるより女官を驚愕させた。

「さっさと連れて来い」

即座に司の命は女官から料理長に伝えられて下働きとして入ったばかりのつくしに伝えられた。

呼びだしってなに?

私なにかへました?

下働きのつくしが少しでも司の姿が見えるように段取りをとってくれたのは総二郎にあきらに類の3人である。

おかげでそこまで無茶な仕事はさせられてない。

普段は見ることもできない司の姿が見える距離までつくしが宮の奥まで入りこめるのはそのためだ。

机に向かって筆をとるその姿は真剣でとてもきれいになれそうもないとつくしは息を飲んだ。

山奥の屋敷で言いあいをした相手より数段頼もしく見える。

だめよ。

嫌いになるところを探さなくては・・・

そう何度も思いつくしは自分に言い聞かせる。

私がここにいられるのは5日くらいしかないのだから急がなくては。

綺羅になれそうもない気持ちがつくしを焦らせていた。

おかげで後片付けもうまく進まない。

そんな時の呼びだしである。

それも若君からの呼びだしだから粗相があってはならない、自分から声を出してはダメだと念入りに言われてつくしは屋敷の奥に連れていかれた。

ここにきて1日のつくしには屋敷が広すぎて一人だと迷いそうだ。

連れてこられた中庭。

その砂利の上につくしは料理長に言われたままに膝をつく。

つくしを一人のこして誰もあたりにはいなくなった。

ろうそくの炎がゆらりと揺れたのが人の動きだとわかるのにそう時間はかからなかった。

「お前か?」

司の声につくしの胸にジンとした思いがあふれる。

頭を下げたままのつくし。

その姿うす暗闇の中ではっきりと自分の姿を認識できない明るさしかないことにつくしはホッと小さく息を吐いた。

「お前が、あの料理を作ったのかと聞いている」

お前かしか言ってないのに・・・

そんな思いが山奥での司の重なってつくしはうれしくなって口元が少しほころんだことに自分で気が付いた。

「ハイ・・・」

唇を小さく結んで小さく答える。

気が付いてほしいのか・・・

気が付かないでほしいのか・・・

どうにもならない感情がつくしの小さな胸の中でせめぎ合う。

小柄な若い娘。

背中を丸めて震える肩。

司の前にいる下働きの娘は自分に脅えてるように司には映った。

「これからも、頼むと伝えたかっただけだ」

そう言い残して床を踏みしめる足音が遠のくのをつくしは聞いていた。

ばれてないよね・・・

ばれたらどうなってたのだろう・・・

山の中の助けられた出来事のように抱きしめられたら・・・

口づけされた時の甘く幸福な気持ちが思いだされてつくしはだんだんと胸の奥が苦しくて辛い。

つくしの宮での初めての夜は切なく、悲しく、寝苦しいものになってしまった。

今回のおいもネタはコメントでいただいたものです。

バタバタと司がつくしを必死で探そうとするかどうかは次回までのお楽しみということで~。

拍手コメント返礼

akko

蛍がり子供が小さいころいってましたね。

平安絵巻のつかつくのデートコースにぜひ入れてみたいですね。

どこでいれましょう?

やっぱりばれてからよね。

yumi 様

お見舞いコメありがとうございます。

そうなんですよ。

無理は利かなくなりましたね。

風邪ってこんなにきつかったかしらと思っちゃいました。

おいもネタありがとうございました。

実は御芋が伏せんとなるお話になってますので、続きも楽しみにしておいてくださいませ。

御芋を挟んで見つめ合う二人って・・・絵になるかな?(;^ω^)

スリーシスターズ 様

体調は復活しました。

まだ少し咳が残ってるくらいかな。

咳喘息を持ってるのでこのまま落ち着いてくれることを願うだけですが身体のほうは元気です。

つくしちゃんのところに飛び降りちゃえばね。

直ぐにわかるのに、一応育ちのいい皇子ですからね。

見えないところに警護の目が光ってるのよ~

つくしちゃん自分が宮廷に来てるとは思ってない設定です。

司のお屋敷つまりどこかの有力な貴族のお屋敷にもぐりこんでる設定。

それは次回説明のつもりです。

暴走しない司は物足りないですよね。

しばしお待ちを~