戯れの恋は愛に揺れる  8

婚礼の準備は着々と進んでるはずですよね。

司皇子とご対面すれば、めでたしめでたしのハッピーですぐにお話は終わってしまうはず。

そうはならない!

そうはさせない仕掛けをご用意しております。

それは何?

東宮のお妃候補はつくし姫だけじゃなかった。

  注)お妃選びコンテスト開催。

➁ 皇后(楓様)反対。

➂司の正体を全く気づかないつくし姫に司翻弄中

④その他!

ほかにないかな~?

募集中。

「許せねぇ・・・」

ぶつぶつとつぶやきながら一段高い場所で胡坐をかいて座る司を意外な表情で見つめるに3人。

無事につくし姫を妃に迎える許可も父君から頂き有頂天になっていつもの不機嫌そうになる顔をこれ以上崩せないくらい崩していたのはつい10日ほど前のことだ。

出世に興味のないというよりは欲がないつくしの父親。

その娘なら東宮妃となってもそこまで影響力のあるものではないと他の貴族は考え、司が望むならと大した反対も出なかった。

たどれば摂政家にたどり着く血筋の良さもすんなりとつくしを受け入れる好材料となってトントンとつくしの入内はきまり牧野家に意向が伝えられた。

つくしは司との約束が守れないと心を痛めてるとは知る由もない司。

会いに来るように進めても断り続けるつくしに司のいらつきは限界に近づいている。

「少しは落ち着け」

膝を上下に揺らす落ち着きのない司に総二郎は顔をしかめる。

「これが落ち着いていられるか。

俺様が待ってるのになかなか会いに来ないってありえないだろう」

言葉を吐き捨てるようにいった司に睨みつけられたのはあきら。

おいおい、俺に当たるな。

本音は表情におくびにも出さずあきらはまっすぐに動揺することなく司を見据える。

「あのな、司、お前の妃になるってことは簡単じゃねぇだろう。

皇室のしきたりを覚える教育も必要だし準備もあるだろうからな。

それに対面できるのは婚礼を上げてからになるのがしきたりだろう」

「しきたりなんて、俺には関係ねぇよ」

あきらが正論をつきつけても司は鼻で洗う。

宮を勝手に飛びだして数日も帰らない皇子だ。

宮家の中でも異端児といわれても自分の考えるままに行動してしまう司だ。

周りの迷惑など大して感じてもいないのだと思う。

今回の件でも司よりこの3人が父親から叱咤を受けたのをかばってくれたのは司の母親の皇后。

婚儀が終わるまでは司の我儘を聞かぬようにと釘をさされてる。

「だから内緒で呼び寄せようとしてるんだろうが」

司から言付かった文をつくしに届けたのは司の近習。

文の内容が恋文と違うのなら絶対届けなかったと今初めて文の内容を知った3人だ。

「ばれたら、婚礼が取りやめになるかもしれないよ」

黙って話を聞いていた類が何気ない声でつぶやく。

その声に司は食い入るように類を見返した。

「ダメなのか?」

コクリとあきらがうなずいて見せる。

「婚儀が延期になるのか?」

「延期じゃなくて最悪は、なかったことになる」

総二郎が司を追い込むようにつぶやく。

「一か月後にはお妃教育も始まるから入内してくるだろうし、

顔を会わせることも出てくると思うぞ」

それまでまて!

そう3人は思っている。

「俺たちが様子だけ見てこよう」

「きっと、姫も婚儀を待ちどうしく思っているんじゃないいか」

そう言いおいて牧野家に向かった3人はつくしの部屋のどんよりとした空気の重さに驚きを隠せない。

通されて部屋の御簾の先に人影が浮かんでそれがつくしだとはわかる。

まともに表情が見れず致し方ないが部屋に通されてからまだ一言もつくしの声を聞いていない3人だ。

「元気だったか?」

総二郎の声にも小さく蚊の鳴くような声でハイとと聞こえてきた。

「今日、俺たちが来たのはだな・・・

姫の様子を見に来て、司に何かことづてはないかと思って来たわけなんだが・・・」

あきらの声に微動だにしないつくし。

そっと膝を進めたあきらは不作法だと知りながらも御簾をわずかに上げて中を除きこんだ。

泣いてる・・・

頬を伝う一筋の涙。

その涙を啜りあげるようにつくしの鼻がひくつくのが見えた。

「もう、私のことは忘れるように伝えてください」

しっかりとした声が部屋に響く。

忘れるって・・・

ひと月もすれば入内の決まって相手に?

「それはどんな意味だ?」

相思相愛じゃなかったのか?

つくしの気持ちが理解できずに総二郎があきらを押しのけるように、前に出た。

今となればつくしがどんなに嫌がっても司との婚儀を回避できるはずがない。

「私、東宮との婚儀が決まったの。

だから・・・

迎えに来てもらっても・・・

一緒に行けないから・・・」

東宮?」

確かに司は次期東宮となるが今はまだその地位にはいない。

婚儀が済めば譲位されるはずである。

「一回りも年上の東宮と結婚が決まりました」

司の伯父になる現東宮が3人にはすぐに浮かんだ。

もしかして・・・

東宮と次期東宮を間違ってる?

つくしの勘違いに気が付いた3人は互いに顔を見合わせながら息を飲んだ。

この時になって3人は自分たちの身分を明してなかったと気が付く。

隠遁生活を送る姫がれっきとした貴族の姫だということもまれだが、勝手に山奥で過ごす気楽な若者が皇子だと思われる確率も確かに低い。

司は自分が皇子だとはつくしに告げてない。

あいつ・・・

大事なとこ抜かすなよ。

「姫は、本当は東宮より司を選びたいって思ってるってこと?」

勘違いをただそうとしたあきらを総二郎が押しとどめながらつくしに問いかける。

「私は司の君が迎えに来るのをいつまでも待つつもりでした」

司・・・お前すげーいい子見つけたな。

地位に取らわず司本人だけを見つめてくれる相手。

3人はつくしの言葉に感動すら覚えてる。

「あの・・・3人にお願いがあります。

司の君に会わせてもらえませんか?

私が見てるとわからない方法で・・・」

最後に一目あってないしょで別れを告げたいと思う女心だと総二郎とあきらは察知した。

早く勘違いをただしてやらなきゃかわいそうだとと思う感情も芽生える。

「会って君はどうしたいの?」

会えばますます辛くなるんじゃなかと思うのに御簾の中から出てきたつくしはしっかりと決意を込めた瞳で3人を見つめた。

「内緒で司の君を見ていたら嫌いになれそうなところを探せるかもしれないでしょ。

違う人を思ったまま嫁ぐの東宮に失礼だから、少しでも好きな気持ちを私の中から追い出したいの」

司を嫌いになる。

婚儀を迎える相手を?

必要ないのに?

「だから、私を司の君の屋敷に連れていってもらいたいんです。

下働きでもぐりこめば何とかなると思うんです」

姫が・・・

未来の東宮妃が・・・

下働き・・・

勘違いをただすのはもう少し後でもいいような気になってきた3人。

暇を持て余してる司にはちょうどいいかもしれないと思い始めてる。

「力をかそう」

総二郎に言葉にあきらと類がうなずいた。

拍手コメント返礼

スリーシスターズ 様

シリアスな場面になりそうでもつくしちゃんの勘違いはここからもっと飛躍しますよ♪

お楽しみに。

3人は勘違いに気が付いてるのに訂正しない小悪魔ぶりで対処。

日ごろのうっぷんをここで仕返しかな?

まい2様楽しいコメがまだ増えてるんですよね。

どう使おうか悩むところです。

ご心配おかけしました。

ドンピシャ!

喉からの風邪で扁桃腺を腫らして痛いわ、熱出るわで寝込んでいました。

さすがにPCまでたどりつけなくて更新できませんでした。

今日はほんの少し気力出てきたかな?

明日には復活する予定です。

akko

お久しぶりです。

余震の影響はないですよ。

ありがとうございます。

なんて素敵にジャパネスク

懐かしいなぁ~

私も好きでした。

やなぎ 様

そうです!

簡単に事は収まりません!(笑)

twitterでのお見舞いありがとうございました。

まだもう少しかな。

yumi 様

つくしちゃん涙にくれていたわけじゃないんですよね。

結婚しない方法を考えるとおもいきや、司を嫌いになる方法を考えるあたりがつくしちゃんらしいといえばらしいかと・・・

家族を捨てられないつくしちゃんがどう行動を起こすべきか。

どれが面白いかと考えてたどり着いたんですけどね。

やはりシリアスに話を進めそうもないです。

>ぜひつくし姫に芋の煮付けを作ってほしいなぁ。

手作りクッキーでつくしを思いだした司。」

芋の味でつくし姫を思いだす司皇子。

なるほどそれは面白いかも♪

給仕をつくしにさせては直ぐにばれるな・・・(;^ω^)