戯れの恋は愛に揺れる 29
司皇子中途半端に帰っていきましたが・・・
想いのままに猪突猛進の司君が好きなですよね。
ここは押し倒すとか、押し倒すとか、押し倒すとか?
胸元に滑り込んだ指先が揺らめいたはだける白い肌なんて場面が欲しかったな・・・(;^ω^)
そんな期待感を持ったのは私だけかしら?
でも書けなかったんですよね。
「聞いて、おられますか?」
御簾の中に映る人影に恐る恐るわずかに身体を前に伸ばしながら席を取る近習は御簾の中からの聞こえてくる声を待った。
「うむ・・・」
どことなくいつもとは違うように聞こえた音質。
お風邪でも召したのかと近習の頭の中に御簾の奥の人物が皇子以外の疑いを持つことは微塵もない。
ただ司の命令で身代わりとなったあきらはさっきから緊張を緩めることはできなかった。
意見を求められる時は御簾の向こう側の横に並ぶ類と総二郎が皇子に名代として言葉を継げる。
「ふっ・・・」
ようやく人の途切れた途切れたところであきらの肩から力が抜けた。
「まだ、帰ってこないのか?」
御簾を手で明けながら一段高いところから二人のところに降りたあきらはもう身代わりがごめんだというように二人に向けた視線を
外のほうに向けた。
シーンと静まる御所の奥からは女官たちの賑やかな声の一つも聞こえてはこない。
「次は、総二郎が代われ」
「どうして俺が?」
とぼけた表情をあきらに向けて総二郎はにっこりとほほ笑んだ。
「こうなったのはお前が原因だよな?」
「俺はつくし姫は元気だと言っただけだぞ」
宮廷の儀式を司る西門家の御曹司は未来の東宮妃のために教授として毎日のようにつくしのもとに通っている。
それを不満そうに、憎らしいといいながら羨む皇子をからかう気持ちが総二郎にあったのを総二郎も否定するつもりはない。
「司は姫に会いに行く口実を無意識に探してたって思うけど。
なんにでもこじ付けてきたって俺は思うよ」
類の言う司の思いは二人も十分に気が付いている。
結局この3人全員が皇子の共犯になったことを悔いてはいない。
「少し、遅くないか?」
「長居しないと約束はさせたよな?」
「会うだけにしとけッてこともな」
顔を見合わせる3人に不安が募る。
「会うだけで済むかな?」
「さすがにそこは司も・・・」
「理性で本能を抑えられると思うか?」
「やりたいようにやってきた我儘なやつだからな・・・」
そろそろ迎えに行くかと思い始めたころに板を踏みつける騒がしい足音が響いてきた。
「間抜け面を3つそろえて、何見てるんだ?」
「間抜け面って・・・
お前が帰りが遅いから心配にしてたんだろうがぁ」
「恩着せがましくいうな」
面倒くさいとでも言いたげに上げた腕で総二郎の胸を押しやりながら司は部屋の奥へと進んで御簾の中に腰を下ろす。
「会えたのか?」
あきらの問いかけに「会えた」と何かを思いだしたように司はにっこりと笑みを浮かべる。
その顔を見れば一目瞭然だと、総二郎と類が顔を見合わせた。
「ばれなかっただろうな」
「あのな、俺だとわからせなきゃあいつは暴れたぞ。
もう少しで俺の腕にあいつの歯型は残るところだった」
袖を捲って腕を3人に見せる司は、たとえ歯形が残っていても嬉しそうに見せたのではないかと思う3人だ。
「そうじゃなくて、御付きの女官たちにだ」
のんきに応える司に歯がゆい思いであきらは詰め寄る。
「俺が、そんなへまするか」
「やりそうだから心配なんだろうが」
同調して重なる3つの声。
無遠慮な友にも感情を荒げることなく機嫌のいい表情を司は浮かべてる。
こいつ・・・
全然俺たちの話を聞いてない・・・
会っていた姫のことを思いだして真昼の夢を見てる光悦の表情の司を3人は無言のまま見つめてた。
拍手コメント返礼
yumi 様
この4人の中じゃ一番あきら君が損な役を引き受けることになっちゃうんですよね。
>婚儀が済めば堂々と一緒にいられるし、いつでも押し倒せるし(´ψψ`)
おっしゃる通りです。(^^♪