第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 10

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-From1 -

トントントン。

人差し指で机の上を叩く。

リズムが速くなるのはイラつき感の現れ。

「西田!まだか!」

「仕事で社内を回っていらっしゃるようですので・・・」

「秘書室にも来られる予定ですから私に連絡が来るようになっています。御信望を」

社内全館放送で呼び出せと言っても騒ぎが起こったら困りますとガンとして聞き入れられなかった。

「下手を打つと会長がつくし様を坊ちゃんから分からないところに避難させることも考えられますが」

なんて脅してくる。

牧野から出向いてくるのを待つしかない状態にまたイラつく。

「的場産業との提携の調印がありますので会議室に移動をお願いします」

「それが終わったころにゆっくり話し合われれば良いでしょう」

頭を下げて先にと西田は会議室に向かうため部屋を出て行った。

やってられねェ・・・

そんな気持ちのまま部屋のドアを開ける。

エレベーターの側まで歩みを進めた時、廊下を塞ぐように邪魔に置かれたコンテ。

その先に的場産業の息子・・・

絡まれる牧野・・・

絡まれてると言うより迫られいると気がついた。

牧野が動かないようにガードして玉の輿にのせるだと!

俺の方が牧野は玉の輿じゃねぇか!

地面の底からマグマが拭きあがるような感覚。

あの禿息子上等じゃねぇか!

「なにしてる」

俺の声じゃないみたいなすごみの効いた声。

いつもよりは数オクターブは低そうだ。

牧野が目を閉じたまま顔を俺の方に向ける。

的場の息子は驚いたように目を見開きやがった。

すぐに営業スマイルを作って「今日はよろしく」と手を差し出した。

握手なんて出来る訳ない。

力入りすぎて指を全部折ってしまう可能性がある。

それを無視して牧野に手を伸ばして腕をつかんで引き寄せた。

「うちの社員がなにか?」

俺の女に手をだすな!

気持ちは全部視線でぶつける。

「いえ、私事ですから・・・」

相変わらずの落ち着いたもの言い。

ここで提携相手に殴りかかるほど俺もバカじゃない。

「来い」

返事を全部聞く前に牧野を無理やりに連れ去る様に斜めの部屋のドアを開けて押し込んだ。

ガチャッと冷たく響く金属音。

誰にも邪魔されないようにカギをかけた。

「的場常務とはなにもないから」

「くどかれてるじゃねぇか!」

「断ろうと思ったら道明寺が出てきたの!」

「良く私だって分かったねぇ・・・ハハ・ハ・・・」

笑えないくせに笑おうと小さく動く口元。

それがまた俺に牧野をいじめたくなる気持ちを増長させる。

「類が恋人の次は的場の御曹司かよ」

「なんで花沢類とのこと知ってんの!?」

素っ頓狂に声が上がる。

「全部ばれてる」

感情を押し殺しながら冷たく言った。

万事休すみたいに目をシカっとつぶる牧野をテーブルの上に押し倒す。

両手をつかんで動かないように張り付けた。

「どう責任取ってもらおうか?」

白いほっそりとした首筋に唇を押し当てる。

「ギャー!タンマ!」

手足をばたつかせて反抗する牧野。

押さえつけるように唇を強引に押し付ける。

両足を俺の下半身で割って入って入りこませる。

結構卑猥な体勢。

最後までするつもりはないが、結構高ぶる。

力が抜けて静かになったと束縛を緩めた。

「テッ!」

いきなり牧野に思い切り脛を蹴られてしまったのは少しの油断。

俊敏にドアのもとに移動されてしまった牧野が俺を睨む。

「この馬鹿!会社でなんてことするのよ!」

カギを開けドアを開ける牧野。

「スケベ!変態!バカやろう!」

罵詈雑言叫ばれてバタンとドアを閉めらた。

 

-From 2 -

まったく何考えてるのよ!

道明寺の行動で最悪の危機のはずなのに怒鳴って飛び出してしまった。

どうすんのーーーッ。

考えなしの行き当たり場的状況。

追いかけてこられたら逃げ場はない!

全部ばれてることもなにも言い訳できないしどうなるのよーーーっ。

飛び出した目の前には的場常務。

まだいた!

そんな感じだ。

ぎくしゃくする感じは隠しようがない。

「・・・話・・・途中まででしたよね?」

何を確認してるのだか。

「もういいよ、僕の独り相撲みたいだし・・・」

「今なら傷も浅くて済みそうだから」

「いいもの見られたし」

ニコッとすべてを悟ったみたいに的場常務がほほ笑んだ。

いいもの・・・ってなんだ?

「道明寺の御曹司が罵倒されるとこなんてレアものだよ」

言われてはじめて気がつくその場の雰囲気。

廊下に何事かと秘書室から顔を出しているお姉さん方が数名。

西田さんもいた。

「てめぇ!俺の脛を蹴って、スケベ!変態!バカやろう!ってなんだ!」

「彼氏に言う言葉じゃ・・・ねぇ・・・だ・・・ろう・・・」

周りの状況に道明寺の言葉の勢いも呑み込まれる。

女性陣からは「キャー」の声の後にざわざわとした話声。

西田さんからきつい視線を投げられてシーンとなって秘書室のドアが閉められた。

「西田さん~」

西田さんにすがって背中に隠れた。

「こらッ!にげるんじゃねぇ!」

近づいてくる道明寺から姿を隠すように身を縮めた。

「そろそろ会議のお時間ですが」

「るっせ!それよりこっちのほうが問題だろうが!」

「こっちと申されますと・・・」

「決まってるだろうが、背中に隠くれてるやつ渡せ」

「会議が済んでからゆっくりとと申し上げたはず。納得されましたよね」

「相手方の常務も来てらっしゃることですし、失礼です」

西田さんが動いてこそっと道明寺だけに聞こえるように耳打ちする。

照れたようにほほを染める道明寺が逃げんなよの視線を向けて会議室に消えていく。

その後ろを的場常務が追った。

「つくし様こちらの部屋でお待ちいただけますか?」

開けられた部屋は道明寺のオフィスらしい。

やっぱり・・・

どうしても・・・

ぜったい・・・

道明寺と話し合わないといけないよね。

話し合いできるのだろうか・・・

また襲いかかってきたらどうすんのよーーーっ。

こんどは道明寺も警戒するだろうから蹴りなんて入れられないかも!

「大丈夫ですから」

西田さんの穏やかだが含みを持った言い回し。

そういえば西田さんの耳打ちで道明寺が簡単に素直になった。

「道明寺に何て言ったんですか?」

気になる西田さんの道明寺操作話術。

「的場常務は振られたのですからこれ以上恥をかかせることはないでしょうと・・・」

「それだけですか?」

「聞きたいですか?」

「落ち着ける時間を持ったほうがつくし様も坊ちゃんに優しくできます」

「つくし様のほうが引け目がありますからと付け加えておきました」

それって・・・後は私次第っていうこと?

「素直に謝って甘えればいいだけです」と簡単そうに西田さんが言う。

これが簡単そうで簡単じゃない!

「あの・・・これからのバイトは・・・」

「続行させますよ」

頑張ってくださいと頭を下げて西田さんは私を残し部屋を出て行った。

続きはないしょ?ないしょ!ないしょ!?11

ただいま我が家で流れてるバックミュージックは嵐のtrouble maker。

運動会のダンスの曲らしいです。

何でも学校の女の先生が嵐のファンらしくて(>_<)

去年も確か嵐だったよな・・・

ついでに親子ダンスだそうで・・・

毎日子供と一緒に練習中です。[emoji:v-393]

災難だってもう sweet sweet で泳ぐ真似。

そうLet’sGoのSign do it!do it! で腰振って。

子供はかわいいですけどね(^_^;)

今年も小学校では嵐の曲が行進からダンスまで目白押し♪