第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 24

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-From 1 -

「オッ!居たか」

いるもいないもあんたが私がこの部屋から出れないようにしたくせに。

SPをドアの前に張り付かせるなんて尋常じゃないよ。

落ち着きなく部屋の中を歩き回る道明寺。

挙動不審丸わかり。

「何か隠してる?」

「なにもあるわけねぇだろう」

私から視線をそらして背を向ける。

ますます怪しい。

「そうじゃなくて・・・お前に頼みがある」

意を決したように私を見つめる瞳は動揺が隠しきれてない。

「今日の会議の相手な・・・」

「アメリカの会社だったよね」

「会社が問題じゃなくて・・・その相手が女性で・・・これから付き合わなきゃなんない」

「付き合うんだ」

危機感のない軽めの返事。

「付き合うって言っても別に変な意味じゃねぇぞ!俺にはお前がいるんだし」

「食事だけ、そう食事だけだ」

私に言い聞かせてるのか自分に言い聞かせてるのか自分の言葉にコクコクと頷く道明寺。

「ふ~ん」

「『ふ~ん』って・・・・お前それだけか!」

いきなり私をつかみかかるような勢いの道明寺におされぎみ。

「な・・・なに?」

「金髪の美女だぞ」

「だから?」

「お前心配じゃないのかよ」

「なにが?」

「浮気」

「はぁ?」

俺も男だからなって胸を張る道明寺。

どこの世界に彼女に浮気を宣言する彼氏がいるのか。

道明寺は私に心配、嫉妬をしてほしいわけだと気がついた。

道明寺のそんな反応が私を安心させてるなんて気がついてないんだから。

その子供じみた感情が愛おしい。

ゆっくりと私の肩に置かれてる道明寺の手のひらに手を添える。

「やだ・・・」

「えっ」

「道明寺が私の知らない女性と食事するの・・・」

普段の私からしたら大胆な試み。

道明寺の顔が呆けたような信じられないとでもいうような表情に変わる。

両腕をそっと首にまわして抱きついた。

結構背伸びのこの体勢はきつい。

道明寺の腕が私の腰を抱き寄せる。

そのまま身体を預けて耳元でそっと呟く。

「ウソ、そんなこと思ってないよ」

そしてククっと笑いがこぼれた。

緩るむ両腕での中で出来た空間の中、道明寺の憤慨する顔が目の前で・・・

「お前な~ぁ」

落胆に変わった。

「私を部屋に閉じ込めたお返し」

「だからって、脅かすな」

心臓に悪いってそこまではないでしょう!

「でも浮気は許さないからねッ」

コツンと胸元におでこを押しつけてつぶやいた。

「だからお前も連れて行く」

道明寺の指先がそっと私のあごを持ち上げる。

「連れていくって・・・」

「食事」

「何言ってるの?仕事の付き合いでしょう!私は関係ない!」

目の前の顔が勝ち誇ったようにニンマリと表情を変える。

「俺の婚約者としてなら関係あるだろう」

「俺と結婚したらもっとこんな機会は増えるだろうしな」

そこに展開するとは思わぬ逆襲にあったようなもの。

想定外だよーーーーッ

道明寺に内緒で始まったバイトの行き先どうなるんだぁぁぁぁぁぁ。

バイト終了まであと5日。

無事でいられるのだろうか・・・

 

-From 2 -

思ったよりすんなりと事が運んだ。

牧野は『しまった』って気のない表情で俺を睨む。

「でも浮気は許さないからねッ」

さっきのこいつの言葉が頭の中でこだまする。

そしてリピート状態。

嫉妬されてるじぇねぇか~俺。

あいつの腕が俺の首にまわされて甘えたような仕草。

耳元にかすかにかかる吐息。

自然と牧野の身体を抱き寄せた。

あいつのちょっとしたいたずらに落胆する心。

すぐに帳消しにされた。

「食事に連れていく」

「俺の婚約者として」

そう言った時のあいつの顔。

呆れるくらいの驚愕。

全く自覚ねぇよな。

西田も、おふくろもそろそろこいつに俺の婚約者としての立場をわからせようとしてる下準備してると思うんだけど。

それが牧野らしいと言えばらしいんだがつまんねぇ。

「本気なの・・・」

あきらめの悪い奴。

「ああ」

「まさかいやだとか言わないよな」

「お前を連れて行けば俺は気が楽なんだけど」

どぎまぎとした定まらない視線の動きの牧野。

俺をじっと見つめるように頬を両手で包む。

お前とのことはまだ正式に発表してない。

だから大学を卒業したとたん舞い込んでくる見合い話。

以前はお袋を通してきた話も直接俺に来る様になってきた。

お前をつれて回ればそれだけで効果あるはずのに付き合い悪いもんなお前。

騒がれたくないというお前に配慮してきた俺。

そろそろかまわねぇだろう。

お前を見せびらかしても。

「心配すんな。俺の横でにっこり笑ってるだけでいいから」

コクンとうなづく牧野に唇を軽く落とす。

牧野の瞳の中に映る俺がほほ笑んだ。

「西田、牧野も連れて行くから、しっかり手配しとけよ」

弾む声で西田に指示する。

誰にも気兼ねなく牧野をつれだって行けることに有頂天気味。

仕事がらみで一緒なのは初めてでそれだけで気分は上々。

「まだ説明がありますので」

牧野を西田に連れ去られても大したことでない。

残っている仕事もいつも以上に順調に片づける俺。

能力2.5倍ぐらいになってないか?

もしかしてこれも西田の策略か?

まあ・・かまわねぇかぁ。

牧野のバイトの終了まであと五日。

状況によってはそれ以上伸びねぇかな?

なんてことを考えてしまってた。

続きは ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 25 で

甘えるつくし、嫉妬するつくしが見たい。いつも司だけ嫉妬してかわいそう。

確かにそうですよね。

でもねぇなかなか司のように感情丸出しのつくしは想像が出来なくて(^_^;)

いつかは・・・

きっと・・・

書くことが・・・あるのかな?