Perfect dungeon 7

いよいよお話が動きます。

6までの緩やかな感じからザバザバと何かを匂わせながらの展開!

正月明けのはずだったのなぁ~。

*このお話はアメーバーブログ限定記事のつくしサイドからのお話をもとにしてUpしてます。

*

「西田・・・これって・・・」

西田に差し出された書類を食い入る様に読み返した。

昨日までの牧野と過ごした時間も忘れるくらいに。

競争相手の会社に情報が洩れてるとしか思えない入札の惨敗。

新しい製品開発の極秘資料の漏えいの疑惑。

使途不明金の二重帳簿の発覚。

「俺が大学も卒業しない状態で道明寺ホールデングスの代表に就任したのを、面白く思ってないと思ってるやつがいるってことか?」

「敵は身内ってことだよな」

デスクの上に投げ出した書類を西田が目で追う。

「受けてたってやるよ」

全ての責任を俺に押し付けられるヘマはしない。

「首謀者を絞り込めるまではあまり表だって動かないでください」

冷静な西田がいつも以上に真剣な眼差しで俺を見つめる。

「代表の弱点はつくし様だということを忘れないでください」

「牧野になんかあったのか!」

ガシャッ!

立ち上がった拍子に派手な音を発てて後ろの壁に椅子がぶつかった。

無機質に響く金属音は一瞬にして俺の動揺を表してる。

「今のところは大丈夫です」

今のところはって、もったいぶった言い方をするなッ!

用心しろってはっきり言えばいい。

「しばらく、牧野に会うなとかぬかすんじゃねェだろうな」

「あれだけ派手なプロポーズをして、大学で婚約指輪まで贈って、これ見よがしにつくし様の薬指に豪華なダイヤが光れば、相手方が情報を掴んでないとは思えません」

いまさら離れる必要がなければどうするんだ?

「代表が海外の出張が入ってる間にうまくかたをつけることが出来ればと思ってます」

「つくし様にもSPはつけるように手配しました」

「あいつは嫌がるだろう」

「慣れてもらわないと困りますから」

西田なら牧野は反論できずに渋々受け入れるに違いない。

そして、その不満は俺に向くぞ。

数日何事もなく過ぎたところで俺は牧野に見送られて空港にいる。

西田だけじゃなく俺なりに動いて情報を集めていた。

俺は身の危険も視野に入れなければならないくらいに相手は追いつめられている。

西田の言うとうりにこの出張が済めば平和が戻るって確信できた。

「いつも、急だよね」

「講義をすっぽかして見送りまでさせるって強引過ぎだって思うけど」

プライベートジェット専用ターミナルは車寄せから専用の豪華な待合室まで直通で他人が入り込むことは出来ない空間。

プライベートジェットに乗り込むまでのわずかな時間を牧野と二人で過ごすことができる。

「しばらく会えねぇからな。飛び立つまでの少しの時間も一緒にいたい」

「大げさだよ、1週間会えないだけでしょう」

胸の中に抱き締めた牧野のくぐもる声。

牧野も一緒に連れて行きたいって思う衝動。

俺の傍にいる方が危険だって分ってるから強引な態度を見せられないでいる。

トラブルを抱えたまま、お前を置いていくことに感じる不安。

落ちつかない俺の感情は高校時代にお前と離れてニュヨークに行くと決心した俺とダブる。

絶対お前のもとに帰ってくるって思う俺と、おまえと会えくなるかもしれないって感じてる自分。

だらしねェよな。

「牧野、なにがあってもこの指輪は外すなよ」

抱き締めていた牧野の温もりを強引に自ら断ち切る様に離れる。

ポケットから出したリングを婚約指輪を抜き取ってその代りにはめた。

「えっ・・・これ」

「目立たない方がいいんだろ」

「俺とお揃いだからな」

この前一緒に過ごした時間に何言に「かわいい」とガラスケースの中を覗きこんでいた牧野。

プラチナのシンプルなファッションリング。

「何十個でも買えるぞ」

「これでも私にはなかなか手が出ないんだから」

最近人気があるブランドなんだとか物欲しそうな表情で見つめていた。

それを後で買い求めた俺。

今までカードで買ったやつの中じゃ一番安いかもしれねェぞ。

俺の薬指にも同じデザインのありきたりのリングがはめられてる。

婚約指輪を贈った時より嬉しそうな顔をしやがって。

愛しそうに指にはまったリンクをくるっと牧野が回した。

愛しげに見つめるならリングじゃなくて俺だろうが。

リングを隠して手のひらでギュッと牧野の指先を包み込む。

リングにまで嫉妬してしてしまうってどれだけ俺はこいつに惚れてるのか。

自然と緩む口もと。

「牧野・・・」

離したばかりの牧野の腕を取って胸元に引き寄せた。

牧野のシャンプーの香りが鼻先をくすぐる。

もっとかぎたくて鼻先を髪の毛に押し付ける。

撫でた指先に絡む毛先。

離れたくないって牧野に言われてる気がした。

「しばらく会えねェけど、浮気スンナよ」

「するわけないでしょう」

胸元から離れて強気で俺を見つめる瞳。

甘ったるい感情は微塵も感じさせないかわいげのないやつ。

それが可愛いって思える俺もどうしようもない。

「じゃあな」

大きく手を振って見送る牧野を残して俺はジェットに乗り込んだ。

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拍手コメント返礼

Gods&Death 様

暗躍する敵組織の正体は!

花男の世界と遠ざかる~~~。

ドロドロにはなりませんから~~~~~。