DNA で苦悩する 28

いま、合間にクリスマスのお話を書いてるのですが、甘々なお話へのリクエストが多くて妄想が暴走中。

なんだか連載のお話がかすんでしまいそうです。

DNAどう進めるつもりだったけ?

駿君はまだ甘々までは遠いからなぁ・・・。

*

「大丈夫だったか?」

蒼はソファーに座ってお菓子をぱくつきながらテレビ鑑賞中。

テレビの中では今はやりのアイドルの歌が流れてる。

「俺、この子好きなんだよな」

遠慮なく、くつろいでる蒼。

周りに僕しかいないことで蒼は気楽な態度を見せる。

父さんが居た時の蒼は顔色が悪かったもんな。

「思っていたよりはね」

僕が逃げた後も「あきらにこれ以上手を出さねェからな」そんな声が響いてた。

芸能プロダクションに僕と舞を入れたってしても何か変わると思わないんだけど。

「これで駿と舞のことを簡単に使えなくなるわけだ、事務所を通す必要があるからな」

父さんに連絡がある前に僕の方にはしっかりと了承を得る必要があるからなってあきパパから連絡があった。

母さんには説明したからの一言付きで・・・。

ということは父さんが一番最後に知ったってことになる。

これを知ったら父さんの機嫌は最悪にまずくなりそうだ。

「しっかり客間準備してあったろう」

「ああ、下着もパジャマも準備してあって、俺んちより居心地いいゾ」

「あっ、わりいな全部お前の借りてしまって」

シャツを引っ張りながら蒼がつぶやく。

「それ、僕のじゃないよ。新品だぞ」

「俺が着ていいのか!」

着換えの準備がしてあることで焦った顔してるやつ初めて見た。

「突然の来客とかあるから大体のサイズとか準備してあるんだよ。それ、持って帰っていいぞ」

「おい、これブランド品だったぞ」

「誰も着ないからもらってもらった方がいいんだ」

「俺、これからもおまえんちに泊まりに来ていいか」

真面目な顔で蒼が僕に迫る。

「次は着換え持って来いよ」

「それでもいいや」

一瞬考えこんだ蒼がニンマリと笑った。

「ところで、どうなった?」

「どうって?」

「しらばっくれるな!鮎川のことだよ」

「妹だってことは説明出来たから」

「それだけじゃないだろう!」

蒼の横に腰を下ろした僕の首を蒼の腕が締め付ける。

「白状しろ、俺には聞く権利があるぞ」

「どれだけ怖かったかお前には分かんないだろう」

ギュッと首を絞めつける蒼。

父さんに平常心で対応できる相手ってそうはいないって。

「気絶しなかっただけ蒼はすごいぞ」

もう少しで舞のBFに間違いかけられた蒼に向けられた父さんの睨みは半端ないって思う。

「鮎川と付きあうことになったから」

締めつけられて絶え絶えの声でそう告げる。

一気に蒼の腕の力が緩んだ。

「ずりーな、お前だけ」

クッションを抱え込んだままごろりとソファーの上に蒼が転がった。

真ん丸に丸まった幼虫の出来上がり。

「でもさ、今日の騒ぎが収まんなければデートも出来ないんじゃねぇの?」

上向きだった蒼の身体は勢いよく僕の方向に向きを変える。

「なんで?」

僕をじっと見つめる蒼の視線。

その気の毒そうな表情・・・

さっきまでの羨ましげな感情がない!

「今日は自分の学校だけじゃなくて他校からもお前のこと見に来てたろう」

「道明寺 駿 見学ツアー御一行様が出来上がってたぞ。いつまで続くかなぁ・・・」

「あっ・・・」

意外とこれからの生活にこっちの方が問題ありか?

静かな僕の高校生活、英徳に通っていたころより目立ちそうな気がしてきた。

あくる日、蒼と二人、牧野家に一度戻って学校に向かう。

通学の途中で僕に向けられる視線。

確かに、昨日より多くなってる気がした。

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