Perfect dungeon 番外編 2

番外編の2をお届け。

これで終わりかな・・・。多分(^_^;)

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*

向かい合って食べた朝食。

まともに道明寺の顔が見れなかった気がする。

西田さんが道明寺を連れて行ってくれてホッとしたというか気が抜けたのも事実。

次に道明寺と会う時はどんな顔をすればいいのか・・・。

大学の講義もほとんど頭に入らないうちに過ぎて行った。

夜になって携帯に届いた着信。

「もしもし」のあとの道明寺から届くはずの声がなかなか聞こえなくて・・・

その沈黙が羞恥心を誘う。

「大丈夫だったか?」

くぐもった道明寺の声は低く静かに耳元をくすぐる。

昨日の朝に聞いたことをもう一度聞くなッ。

道明寺の肌の温もりを思いでして身体が熱を持つ。

携帯越しでこれなら、面と向ったらどうなるんだろう。

「うん、道明寺は?」

「俺?」

呆れたように聞こえた声。

道明寺の体調を気にかけてどうするんだろう。

睡眠不足とか・・・

仕事に集中できなかったとか・・・

身体が変だったとか・・・

それって全部私のことだ。

「あああ・・・あのさ」

「ん?」

「なんでもない・・・」

「じゃなくて・・・」

「なにも心配しなくていからな!」

道明寺が焦ってるのが照れくさくてうれしくて、そのまま「ウン」とうなずいて携帯を握りしめる。

そのまま道明寺の声を聴きながら眠ってしまった。

なんだか道明寺がいい訳みたいなこと言っていたけど・・・

なにを言い訳してるのか。

それさえも子守唄みたいで、道明寺の声が耳元で聞こえて、幸せだって思えて眠りを誘った。

大学の周りの視線。

見られてるのはいつものことで・・・。

何時もの妬みの視線よりなんとなく、同情的な感じが見れるのはなぜだろう。

その視線が艶やかな羨望に色を変えたのは私の前に西門さんが現れた瞬間。

「牧野、大丈夫か?」

大丈夫って、まさか!道明寺!私とのこと西門さんにばらした?

思わず目と目が合った瞬間に頬が熱くなる。

「司も、狙ってるとしか思えねェよな」

狙ってるって・・・。

そうなの?

あれは道明寺じゃなくて西田さんがお膳立てしてくれてるみたいだったはずで・・・

ギャッ。

ということは西田さんにもバレバレ?

「牧野が気にしてなきゃいいんだけど、なんかあったら相談しろよ」

ツンと鼻先に整った顔立ちが近づいて魅力的な微笑を向けて西門さんはさわやかに立ち去った。

西門さんが気にするって道明寺はなにを言ったんだ!

上手くいかなかったことがあっただろうか・・・

思いだしても、なにがなんだか分らない。

無事に終わったんじゃないの?

「司に会った?」

午前中の一般の講義室。

隣りの席に座ったのは花沢類。

「きゃー」

悲鳴の原因は周りを引き寄せる艶やかなオーラを惜しげもなく輝かせる。

「今日はまだだけど・・・」

「そっか」

私に向ける微笑は優しくて、そして温かい。

「何かあったの?」

「司が言ってないんじゃ、いいけど」

「司に会ったら思いっきり殴ったらすっきりすると思うよ」

え?

道明寺を殴る?

疑問符満載の私の横であくびをした花沢類は机に眠いと頭を伏せた。

講義を終えた私の前には美作さんが「ヨッ」って、にこやかに現れた。

次から次に今日はどうなってるのか。

「気にスンナ」

「あんなのは大げさすぎるから」

私たちの横を通りすぎた女学生の手からバサッと落ちた新聞。

折りまがった新聞の一面には道明寺の顔が見える。

その横に熱愛って赤い文字が躍る。

私とのこと?

もしかして事件の噂が世間に流れてる?

まままままさか!妊娠のことも載ってないでしょうねッ。

拾いあげた新聞には道明寺の首に巻きつく華奢な腕。

互いに目を閉じて触れ合う唇。

「差し上げます」

ニッコリと笑って高らかな笑い声を上げる知らない女性。

朝からのいつもと違うって感じた視線の正体がようやく分かった。

西門さん、花沢類、そして目の前の美作さんの言いたかったことも!

「これはきっと、わけがあるはずだ」

「司が牧野を裏切るわけはないからな」

「キスしてるのは間違いない事実だよね」

道明寺の携帯の歯切れの悪さは照れてるからじゃなくてこの事だったんだ。

あの夜の携帯から聞こえてきた道明寺の声に安心して、幸せだって思っていた私はピエロじゃないかぁぁぁ。

あのバカッ!

私と別れた後でこれってどうよ。

新聞をそのまま美作さんの胸元に押し付ける。

「道明寺に会ったら、しばらく会わないって伝えて」

言い捨てて大学を出た。

もっ、本当に今日は次から次へと!

目の前で西田さんが頭を軽く下げる。

「今回は私が遊び過ぎました」

これ以上無碍にしないで頂きたいとか・・・

今回の騒動では私も腹にたまるものがあったとか・・・

坊ちゃんへの仕返しが思ったよりインパクトが強いものがったとか・・・

つくし様を不愉快にさせたことをお詫びしたいとか・・・

西田さんが無表情のままに囁く懇願。

道明寺の怒りはそのまま薄れて笑みを誘う。

「ドキリとさせた後で笑顔の一つでも浮かべてもらえれば、気も晴れると思いますよ」

「坊ちゃんは仕事も手につかないほど焦ってますから」

西田さんの方が道明寺より100倍は役者が上だ。

今までずっと西田さんに操られてしまってると思える。

そう・・・

空港で道明寺を見送ったあの日から今日まで。

西田さんにはかなわないよ。道明寺。

西田さんと別れた後は桜子と滋が私を待ち構えていて、そのまま車に詰め込まれて道明寺の屋敷に連れてこられた。

道明寺の部屋にはもうみんなが顔を揃えていた。

焦りを通り越して狼狽気味の道明寺が見えるその横でニンマリぎみの西門さんと美作さん。

花沢類はにこやかに私を見つめる。

「司、今回はそうとう悪だったんだね」

「俺は、何もしてないからな」

「消息を絶ってつくしに心配させたと思ったら今度は王女と浮気だなんて、滋ちゃん許さないぞ!」

「お前に許してもらう必要ねェし、あのキスは不可抗力だ」

「男ってすぐこれだから、つくし、司を許したダメだからね」

ムスッとした声は何時もより道明寺の横暴さが影をひそめてる。

「キスしたのは本当ですもんね」

桜子の声に完璧に落ちつきがなくなって指先が意味もなく宙を彷徨う。

道明寺の慌てっぷりがおかしくて、我慢できなくなりそうで、桜子の胸に顔を伏せて笑を隠した。

ノッテきた桜子は慰めるように私の頭を撫でる。

付した視線の下で道明寺の足元がそわそわと動いてるのが見える。

もっ!

怒った表情なんて1秒持つのだろうか。

「俺はお前は悲しむようなことはしてないからな」

「したじゃん」

そこまでが限界。

「牧野・・・っ」

こんなに切羽詰まった声で道明寺に名前を呼ばれたのっていつ以来だろう。

「うそ、西田さんに聞いたから」

弾ける様に口元が緩んでしまった。

「それじゃ、仲直りに人生ゲームでもしようか」

人生ゲーム?

「滋ちゃん特製だから楽しいぞ」

人生ゲームってサイコロを振って大富豪になるっていうやつ?

もともとセレブのみんながやっても意味あるのだろうか・・・。

渋々みんなが集められて囲んだテーブルに人生ゲームが置かれる。

滋がみんなに渡した駒。

3等身の可愛いチビキャラ。道明寺に渡したキャラは黒髪がクルクルで私のはストレートの長い髪。

似せて作られてるのは一目で分かる。

こんなのを特注で作らせるってお金持ちの感覚は未だに理解不能

「それじゃ、始めるよ」

はじめに滋が振ったサイコロ。

5つ進んで止まった場所は「石油王に見初められて五つ進む」

アルフ王子に変装した道明寺を思いだしてしまった。

アルフ王子が道明寺と重なってどれだけドキッとなったなんて絶対教えてあげない。

次は桜子、止まったところでカードを引く指示。

『高校生で好きになった相手の名前を言う』

「もちろん道明寺様です」

「あっ、今は全然大丈夫ですからね」

苦々しい顔で道明寺がそっぽを向く。

私は桜子に騙されて危ない目にあったんだよなぁ。

道明寺と一緒にいるとそれ以上に危険なことがあるって思える。

道明寺が動かした駒は、右隣の相手に告白の文字に止まる。

左は私だけど右隣は美作さん。

「げー、俺、司にだけは告白されたくねぇ」

「俺も、気色わるッ」

「左隣に変えろ!」

叫んでも、それ印刷されてるからいくら道明寺でも無理だって。

次々にサイコロを振って駒が進む。

「次は、つくしだよ」

出た数はまたカードに止まった。

『初恋の相手を教える』

「花沢類」

『ゲームをしてるこの中で、最初の印象が最悪だったのは?』

「道明寺」

サイコロを振って連続で引くカード。

読んで答えるたびに道明寺の表情が険しくなる。

滋はこのゲームで仲直りできるって言ってなかったか?

ゲラゲラ笑ってるのは道明寺以外。

私が答える度に不機嫌が道明寺の顔に出る。

仲直りの前に問題がある気がしてきた。

次のカードが三回目で、文字を目で追って視線が固まった。

「今の彼と初エッチは何時?」

中々読まない私の手から取り上げて読み上げる西門さんの声がやけに明るい。

「おーーーッこれは司に聞くかな~」

美作さんの声も必要以上に明るい。

「わぁぁッ」

慌てて道明寺の口を手のひらで塞いだ。

「まだ・・・」

「ウソつくな」

無理やり道明寺に剥がされた手のひら。

私の見おろした視線と道明寺の見上げた視線がぶつかって固まる。

「言う必要ないでしょう」

「クッ、司じゃなくて牧野がばらしてるぅ~」

西門さんの口元から零れる笑み。

舌を巻いて発する声は口笛より性質が悪い。

「昨夜は牧野は司のことで怒って訳だから、一緒にいたってことは無いよね」

花沢類!にこやかに推察しなくていい。

「推測すると事件が片付いた夜が一番怪しいってことになるってこと?」

美作さんがつぶやくとやけにリアルに聞こえて艶が濃すぎる。

「もうやめよう」

人生ゲームの盤を身体で隠す様に覆いかぶさった。

滋!

もう二度とこんなゲーム持ってくるなッ!

人生ゲームにこんなの追加♪

あったらお知らせください。

楽しそうな花男人生ゲームが出来上がったりして・・・

欲しいッ!

お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

まめすけ 様

お帰りなさい~。

司で遊べる余裕の西田さん。

部下に持ったら頼りにはなるけど扱いにくいだろうなぁ~。

司には関係ないかな。

人生ゲームの質問まだほかにおたくさんあったんですけどね。

書く時間がありませんでした。(^_^;)

ことり 様

ボードゲームより今は携帯ゲームですよね。

コマの特注品が見たい気がするのですがユルキャラより人気が出たりしてね。

いの様

オールスター勢揃いのわいわい、がやがやってあんまり書いたないんですよね。

なぜか今回は大盤振る舞いしてしまいました。

楽しいですよね。

褒めてもらってうれしくなっちゃいます。

書くスピードが暴走しそう♪

やなぎ 様

電車の中で読む!

変な人に見られる危険性をコメントしてくださる方多いんですよね。

取り扱いには十分ご注意を!

日々ニンマリしてもらいたいと思って執筆してますから~~~~~(笑)

佳扇 様

このシリーズを気に入っていただきうれしいです。

そう言われると終わったの早まったかなと・・・(^_^;)

番外編が続くのかなぁ・・・。

あずきまめ様

いきなり記事をみせられたら・・・

こう、簡単には許してくれなかったでしょうね。

普段は3人でそろって現れそうなF3が一人一人で介入していく作戦はビンゴ?

作戦をたてたの西田さんだったりして・・・(^_^;)