我儘な僕に我儘な君 6
二つの恋模様を同時に描く手法は結構難しい。
最近思えてきました。
素人が手を出すもんじゃない。
ほぼ泣き言です。
翼より佑と舞の恋の行方が気になってしかたないんですよね。
駿君と比べても翼君の影が少し薄いんです。
ここは翼君に一念発起で頑張ってもらいましょう。
「それは作者の能力がないせいじゃねぇの」 by翼。
翼君が一番司に似てたりして・・・(~_~;)
「相変わらず、二人でいると注目を浴びるよね」
頭のてっぺんを擦ってる俺の横で教室の外をわざとらしく背伸びをして舞が眺めてつぶやいた。
「翼が、すずなと付きあいだしてから人気は急降下だと思ってんだけどな」
浮気してないでしょうねの、俺を信じてない視線。
それが実の姉の態度かッ!
槇が嫉妬するんなら許せるけど舞の態度はムッとする。
「今日はすずなと一緒じゃないって珍しいね」
休み時間は俺と槇は一緒に過ごす時間が増えている。
それは一緒にいたいって気持ちもあるが、俺と付きあってる事で恨みをかってる槇を守るため。
さすがにトイレまではついて行けないけど、一緒にそこまでついて行きたい気持ちはある。
やらしい気持ちはない。
ドラマだとトイレの中で連れ込んでなんて場面があるだろう。
槇に異変があったらどうなるかは、そいつらも分ってるとは思うけどな。
純に槇を守りたいって気持ちだけが強く心を占める。
「なんだよ」
机に頬杖をついた佑の何か言いたげな表情を促した。
「槇と付きあって一か月だろ?そろそろ別れるんじゃないかって噂になってるぞ」
それは今までの気のない相手に付きあっただけの長さ。
槇との気持とは全然違う。
側に槇がいるってだけで胸の奥がクスぐったくて、俺が見つめてるの気が付いた槇が『何?』って、キョトンとなる表情がスゲー可愛んだぞ。
いまは槇のどんな表情も気に食わなくてムカッいていたのがウソみたいに全部かわいく思えてしょうがない。
好きになるってこんなに簡単なんだって初めて知った。
「槇と俺はいたって順調だよ」
「今までが今までだからな」
鼻で笑う様にフッと佑が息を吐く。
「佑、それ、槇の前で言うなよ」
ギロリと睨んで佑の鼻先に顔を近づけた。
気分はほぼ佑の襟をつかんで締め上げてる。
「今さらでしょ、すずなだって翼の交友関係は聞きたくなくても全部耳にしてるはずだから」
机に両手をついて身体を支えて舞が上から俺を見下ろす。
その・・・
母さんに似たくるっとした真直ぐな強気な視線で睨むな。
説教を受けてる気分にさせられるんだからな。
「そうなのか?」
全部って・・・今までの全部か?
中等部から数えたら手の指の数じゃ足らないぞ。
「さすがに、全部じゃないよな」
槇は高等部からの編入だから多くても・・・
一人・・・二人・・・三人・・・
こんなもんじゃないか・・・
人間の指が片手で五本は少なすぎるんだ。
多くても気味が悪いっ。
そうじゃなくて、それまでの俺が悪い。
でも、全部別れてるから!
それに、俺が好きだったわけじゃない!
でも、それにって、言い訳の接続詞を付けてる自分が自分をうろたえさせてる。
あっー!もう!
「1組の・・・次が3年の・・・それから・・・べつな高校の子もいたよね?」
すらすらと舞が手の指を折る。
それ以上思い出すなッ!
「わっ!」
舞が右手を全部折りまげた所で耐えられずにその手を包み込んだ。
「舞、おまえ実の弟の付きあったやつ覚えてどうするんだ」
「好きで覚えたわけじゃないからね」
「周りの女の子たちが数人寄ると翼の噂してるんだもん」
「すずなと別れないうちから後釜狙ってるみたいで注目されてるんだからね、君は!」
舞の姉貴ぶった表情がムカつく。
数分早く生れただけで姉貴ぶるなよなッ!!
「俺のことより、自分の恋愛に気を配った方がいいじゃねぇの?」
「なによ!」
きりっと上がった眉の下でちらりと佑に動く視線。
ミリサイズの微動が感情のブレをしっかり俺に見せる。
舞が佑を気にし出したのは最近だって分かってるけど、わが姉ながら単純。
気が付いてないみたいに佑は机の上に顔を伏せる。
佑の気持が今一つ読めない。
兄妹にそばにいたから近すぎて、あいまいすぎる情。
それでいて、佑が誰とも今まで付き合っていないことは俺が知っている。
「好きだって意思表示しないと相手は気が付かないまま終わるかもな」
「好きな奴いるんだよな?」
舞より佑に聞かせるように音量を抑えながら低くつぶやく。
佑の耳がピクンと動いたように見えた。
「別に、好きじゃないから」
真っ赤になった顔で拗ねた声を発して、腰が床まで降りて舞が机にぶら下がってその下に顔を隠して深いため息を付く。
まるで熱を逃がす様な長いため息。
解かりやすいやつ。
誰が見ても佑に気があるって丸わかり。
舞の動作で揺れた机から伏せた顔をもたげ腕に顎を乗せる佑。
その口先は舞の前髪を揺らす様に小さく笑った。
すげー優しい眼差し。
今舞が机の下から顔を出したら顔の近さにびっくりするんじゃないか。
佑の奴も舞のこと好きなんじゃないか。
澄ましてんじゃねェよ。
舞!顔を上げろ。
言いものが見れるぞ!
延ばした足で舞の尻を叩いた。
「なにすんのよ!!」
ビクッとなった身体は佑の前を急上昇して飛びあがった。
飛びあがり過ぎだろうッ
ダセッ。
楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。
拍手コメント返礼
いの 様
Jrの恋模様これからどうなるのか。
色々悩ませたいんですけどね。
司にも~♪ ← これが一番ワクワクしていたりして。(*^_^*)
ぷりん 様
そうなんですよね。翼君より佑君。
話のはじまりの誘導はバッチリだったんですけどね。そこで終わった気がします。
ここからどう読者を取り込んでいくかが私の腕の見せ所なのかなあ・・・(^_^;)
ハードルが、高いんですよね。<(_ _)>