思い出は夢の中で 30
この物語も30になりました。
なんで終わらないんだろう・・・。
後3日が遠い。
早く現代へ還さなくっちゃ~。
*「ひとり?」
私から外れた視線は一度遠くをクルッと見渡してまた私に戻る。
そしてじっと見つめた瞳がにこっと笑った。
涼やかに見つめらてる瞳の中に映る私は心なしか赤くなってる気がする。
未来の私だと花沢類は気がついたみたい。
「どうして制服を?」
やっぱりそこに気がつくよね。
「道明寺が無理やりッ」
「そっか」
どうでもいいけどって興味がないような返事の後「似合ってる」言われて照れくささは最上階に上りつく。
制服を褒められて喜んでどうするッ。
「おい、こら類ッ」
「見つめるな、見るな、しゃべるなッ」
花沢類を弾き飛ばす勢いで道明寺にギュッと抱きしめられた。
『おいおい』
『大丈夫か』って表情の浮かんだ西門さんと美作さんが周りに視線を走らせてる。
きっともう一人の道明寺の姿を探してるんだ。
この3人は私の事を気がいてる。
未来の私だと。
違いがあるんだと喜んでいいのだろうか。
道明寺にも微妙にばれそうでやばい。
「ギャーッ!くっくな!」
両手をばたつかせて最後に道明寺の脚を踏んづけた。
「テッ」って叫んだ顔がわずかに二ヤついてる。
「やっぱ、牧野だ」
「「プッ」」
道明寺の声につられるように西門さんと美作さんが笑う声を漏らす。
「すげー関係」
「こんな恋人関係って司と牧野じゃねぇと築けない気がする」
「将来は少しはましになりそうだけどな」
余計なことを最後に付け加えたのは西門さん。
「俺たちを追い出した後・・・何してた?」
耳元でこそっと美作さんがつぶやいた。
この二人ーーーッ。
言えるかッ。
「ここから離れない?」
これ以上遊ばれるのはたまらない。
話題も変えなきゃ恥ずかしさでいっぱいの気持ちがもとにもどらない。
それよりこの状態で未来の道明寺まで現れたら収拾がつかなくなりそうだ。
「確かにそうだね」
私の考えが通じたように花沢類が小さく「司、近くにいるの?」と耳打ちした。
「たぶん・・・」
人ごみで道明寺と離れてあれから10分も経っていない。
キョロッと頭一つ飛び出したクルクル頭が目の前に現れても不思議じゃないんだから。
ここで一番目立つのは勢揃いのF4。
目立たないわけがない。
これだけで十分すぎる宣伝塔が出来上がってる。
未来の道明寺が気がつく可能性は絶大だ。
過去の俺に会うわけには行かないって思考が働いてくれるだろうか?
「モデル?芸能人?テレビ?」って噂する声が広がりを見せてる。
最後はF4だって行き着いた熱い視線。
そしてあの子だれ?って視線が私を突き刺している。
私の知り合いに会う可能性もあるかもしれない。
どこか目立たないところへ連れてってってお願いしたい気分で花沢類のシャツの端を握りしめた。
「こら、気安く触んなッ」
私の指先を花沢類のシャツからはぎ取るように道明寺の手のひらが私の手首を摑む。
「俺じゃないけど」
わずかに花沢類が口角を上げる。
優しい笑顔がそのまま私に向けられて穏やかな瞳が私を見つめてる。
この瞳が好きだったんだよなぁ。
優しくて、暖かくて、安心できて、ポッってトキメイテ・・・。
「お前もなににやけてるんだ」
「にやけてなんかないからッ」
目の前で付き合わせた膨れ面。
普段の私と道明寺もこんなもの。
出会ったころから成長してないってこと?
笑いとため息が混じりそうな気分。
「牧野は、過去も今も未来も司のものだから焦るなって」
美作さんがポンと道明寺の肩を軽く叩く。
「焦ってねぇよ」
拗ねて膨れた表情をうかべる道明寺は昔から変わってない。
気持のままに感情を見せるのはきっとこの人達がいるときだけなんだと思う。
いい仲間だよなぁ。
道明寺と私で遊ぶのをやめてくれたらもっといいんだけど。
「どこか静かに話せるところに行くか?」
そう言って私たちの前を西門さんが歩き出す。
えっ?
ここから離れたいのはそうなんだけど・・・
静かに、話するってな・・・
やばくないか?
どうせなら道明寺だけを連れ去るとかの行動はできないの!
「ほら、牧野」
催促するように美作さんが私を振り返る。
西門さんと美作さんの肩がクスッと笑いあって揺れてるのが見えた。
拍手コメント返礼
b-moka様
久しぶりの総あきコンビの司で遊び隊でした♪
未来の司君はいずこへ?
パターンとしては二つ。
過去のつくしに出会う。
つくしを探し回って過去の自分とご対面。
どっちで行こうかなと思案中です(^_^;)
ゆげ様
気がついてもらってよかったね♪って言う状態ですよね。
過去の司にばれたら困るでしょっけどね。
どうするんだろう・・・(^_^;)