第12話 ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 21

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-From 1 -

「俺の満足度は120%」そう言ったら「私の不安は120%」と牧野が言葉を返す。

何の不安だ?

俺との関係ばれたこと?

隠す必要なんてあるわけない。

「まだ騒がれたくないのに・・・」

ぶつぶつと小声でつぶやきながらしっかりと俺のスーツの裾を握って歩く牧野。

その指をほどくように指をからませる。

「どうせならこっちがいい」

絡めた先からほどかれて指はさっと牧野の背中に隠れてた。

「さっきは俺の膝の上に座ってたのに」

手をつなぐよりそっちの方がすげー恥ずかしいはずだぞ。

「あ、あれは道明寺が無理やりやったんでしょう」

「私が望んだんじゃないからね」

「食べさせ合いはうれしそうにやってたじゃねぇか」

膨れっ面が膨れてはじけた。

「バカ言わないでよね」

頬を染めて声が震えてる。

うれしかったこと認めてる仕草。

無性に笑いがこみ上げた。

つかの間の二人の時間は目の前のオフィスのドアを開いて終焉を迎える。

俺の部屋に行くつく前に秘書室の部屋を通る。

西田に牧野を返すのはしゃくだが仕方ない。

類?

西田と何やら会話中。

こいつらに何か接点なんてあったのか?

あるとしたら牧野と俺がらみ。

「花沢類、どうしたの?」

俺より先に牧野が驚愕の表情で見つめてるぜ。

「弁当食べれた?」

「あっ・・うん」

間を外すのは天性のものなんだよな類のやつ。

牧野の意識がさっきの時間にとんでいる。

それを示すように顔が赤くなって俯いた。

「類!なんでお前がここにいるんだ?」

「暇だったからかな」

「・・・そうか」

納得しそうになる気持ちをふるう。

んなわけねぇだろう!

「お前も相当暇だな、西田につきあうなんて」

「人聞きの悪い事を言わないでいただきたい」

「私はそっちの趣味はありません」

付き合うってそっちじゃねぇだろう!

どいつもこいつも話をわざとそらしてないか?

ここで怒りを露わにしたら西田の思うつぼ。

グッとこらえる。

「都合良く類が現れたもんだよな」

「俺が来て困ることなにかあった?」

「せいぜい牧野との時間を邪魔されて司が機嫌損ねるくらいでしょう」

「西田さんと何か企てる必要性そこにはないと思うけど」

図星過ぎて言葉に詰まる。

だが・・・

今まで俺にないしょで事が進んできてるから余計なことも考えてしまうんじゃないか!

「あっ、でも今、西田さんに頼まれたんだよね。牧野のこと」

「「はぁ!?」」

牧野と二人大口開けて同時に声を上げていた。

「冗談」

類の口元がクスッと動いてほほ笑んだ。

 

-From 2 -

「ごちそうさまでした」

弁当箱を西田が牧野に渡す。

怪訝そうな顔で弁当箱を左右に振る牧野。

カサカサと聞こえる音。

開けた弁当箱にはクッキーにチョコレートにアメ玉。

「弁当のお返しはどうしたらいいか女の子に聞いたら、空の弁当箱を返すのは駄目だと教えられたので」

相変わらずの無表情さで口元が動く。

聞かれた部下は何事かと思ったんじゃねぇのか。

「西田さんが弁当箱を洗って、お菓子つめてくれたんですか?」

怪訝そうに聞く牧野。

意外に誰も予想できない信じられそうもない光景。

「そういうことになりますが」

いつもの真面目っぷリで答える西田。

「プッ」

思わず噴き出す俺。

周りの部下からも我慢できない声が漏れてるぞ。

あの西田がちまちまと弁当箱を洗ってお菓子を買ってきてつめる。

どんな顔で詰めていたのか・・・

無表情!渋面!仏頂面!

それとも意外に口元が笑ってるとか?

どれにしてもおもしれぇ。

鼻歌なんて聞こえてたら爆笑大賞もらえるぞ。

高級店の名前の入った包み紙のお菓子。

「すいませんこんな高いお菓子をいただいて、弁当代より高くつきましたね」

さっきの不満げな表情は完全に消失。

にこやかな顔で牧野が西田に頭を下げる。

「いえ、坊ちゃんのお弁当の分も入ってますから」

「坊ちゃんは気が利かないでしょうし・・・」

相変わらず一言余計だ。

「道明寺は弁当箱洗うより捨てそうですもんね」

「お返しなんて全く考えてなさそうだし」

お前まで同調すんなッ!

そんなお菓子よりもっといいもん買ってやるぞ!

言ったら「いらない」と速攻で返されると予測できる。

西田と似たようなこと出来るわけがない。

「司にしか出来ないことで弁当のお返し考えたら?」

「そんなのいらないから」

類の言葉に牧野が手を振って思いっきり否定の態度。

俺にしかできないこと?

身体で返すとか?

何でもするぞ!

ニンマリしてきた。

「変なこと考えてるでしょう!」

間一髪入れず牧野が焦り丸出しで睨む。

今の俺には効果ねぇぞ。

イヤとか・・・

ダメとか・・・

わずかな抵抗が吐息に変わる瞬間がたまらない。

これって俺への褒美か?

どっちでもいい。

牧野そっちのけの勝手な解釈。

「ちょっと、人の話聞いてるの?」

「聞いてねぇ」

「もぉッ」

牧野の頬が膨らんだ。

「じゃれ合いはその辺で」

西田の言葉に牧野が表情を元に戻す。

耳たぶまで赤くなってんぞ。

ところで、西田と類!

何画策してたんだ?

聞いてねぇーーーーーーッ。

またはぐらかされてしまってた。

続きは ないしょ?ないしょ!ないしょ!? 22

そろそろクライマックスちかいかな(^_^;)

早く終わりたい・・・