HAPPY LIFE 13

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駿を大事そうに胸に抱くつくし。

病院のロビーには見送りの人であふれかえっている。

この病院の寄付は4D超音波診断装置だったか・・・。

これだとエコーで胎児の立体的な画像、しかも動画で素早い動きや可愛い仕草などもリアルに映し出されると言われて速攻で寄付した。

直接お腹の中をのぞいてるような映像。

お腹の中の駿の記録は鮮明に記録されている。

「おめでとうございます」の声に送られて迎えの車に乗り込む。

幾人かの看護師・・・

安堵の表情してなかったか?

「出産から退院までずっと奥さまと一緒に病院で過ごされたご主人様は道明寺様が初めてです」

ため息交じりで言われてた。

「俺・・・そんな邪魔だったか?」

「自覚なかったんだ」

心の中でつぶやいたつもりがつくしには聞こえていたらしい。

「だって授乳室にもついてこようとしたじゃない」

あれは焦った。

他にも先客がいたもんな。

「沐浴も私を押しのけてやろうとしたし・・・」

そして看護婦に笑われた。

そのうち病室から出るなとつくしに睨まれたっけ。

結局俺ができたのって授乳後のゲップにおむつ変え。

あとは横から手を出したら邪魔だとすげなくされた。

それでも結構抱き方は様になってきたと看護師にほめられたぞ。

病院での1週間・・・。

終わってみれば短い感覚。

誰にも邪魔されず子供の顔を飽きずに眺めるには短い時間。

こんなにゆっくり子供の顔を眺められるのんびりとした時間は仕事に戻ればいつ取れるとも分からない。

今のうちにしっかりと楽しもう。

屋敷に帰ればうるさいやつらいっぱいいるぞ。

駿の面倒見たくて取り合いになるかもな。

俺が渡さないけど。

屋敷では門をくぐったとこから総動員のお出迎え。

先頭にはタマ。

「お帰りなさいませ」

顔がしわに埋まりそうなくらいくしゃくしゃになってる。

駿を抱いた俺は膝を曲げてタマに駿が見えるまでかがめてやる。

「駿、うちの生き仏のタマだぞ、怖くねぇからなぁ」

「怖くないとはなんですか、それに駿ぼっちゃまはまだ目が見えてないはずですよ」

「でも坊ちゃんがこのタマのことを無欲で慈悲深に人間と思ってくれてたとはうれしいですね」

タマが目頭をそっと押さえる。

鬼の目にも涙か?

無欲で慈悲深い?

ん?

生き仏ってそんな意味?

「いやそうじゃねぇ。ほら!道明寺の事をタマほど把握しているやついないだろう?」

「それって・・・生き字引でしょう」

横からつくしに訂正された。

どっちでもほめてることには変わりねえだろう。

「坊ちゃんの生まれたころにそっくりだ」

生き字引は聞こえてねぇ素振りでつぶやく。

「そうだろう」

喜々とした声を上げる俺。

似てると言われるたびに顔がゆるむ。

「眉毛なんて書いたみたいに濃ゆくて、目鼻立ちもしっかりしている」

「髪の毛が生えてないのが残念ですね」

「そこまでそろえば完全に坊ちゃんの子だ」

髪のことは余計だよ。

天パじゃなくても間違いなく俺の子だぞ!

「この顔だと、クルックルのほうが違和感ないですよね」

つくしが俺と駿を見比べてクスクス声を上げる。

駿を中心に使用人が取り囲む輪の中。

その中からもククッと笑い声が上がる。

こんな穏やかな雰囲気はつくしと結婚するまではあり得なかった状況。

俺ンち平和だな。

「フゥエーーーン」

腕の中の駿が泣きだした。

俺が抱いたままでは収まらない。

不機嫌な駿をあやすのは俺じゃまだダメみたいだ。

つくしが腕を伸ばして駿を胸の中に抱き込む。

「お腹すいたかな?」

胸のあたりで口をもぐもぐ、小さな手は胸のあたりを押さえてる。

「坊ちゃん、ヤキモチ妬くんじゃありませんよ」

「子供が出来たら父親は二の次ですからね」

やけにうれしそうにニンマリするタマ。

わかってるよ!

まだしばらくはつくしは駿に貸してやる。

俺んだから返せよ!

叫んだらつくしにどつかれそうだ。

3Dではなくて今は4D超音波診断というのがあるんですね。

うちの子の場合は普通の超音波でしたけど・・・

すごくリアルに映像処理されています。

サンプルDVDつきで本も出版されていたと思います。

HPでも見れるのがあるみたいです。

興味のある方は検索してみてください。

今から出産の方がうらやましい

拍手コメント御礼

しずか様

ホンワカするお話は書いててもペースが上がります。

次の話との応援メッセージありがとうございます♪

けいさ☆様

私も最近知りました4D。

うちの子供の時は3Dも近所の病院にはまだありませんでした。

すごいですよね。