ハロウィンの夜に 3
*にぎやかに流れる音楽。
人込みをかき分けるように牧野を探す。
背中に羽をつけた堕天使。
白い大きな羽が視線を遮る。
「邪魔だ!」
思い切り羽を引っ張って押し倒した。
外れた仮面の下には知らない顔の男。
滋のダチか?
「なにする」
床に転がったまんまの男が俺を睨む。
俺にはむかう気か!?
命知らずな奴もいたもんだ。
んっ?この格好じゃ誰か分かんないか?
そう思いながらも赤い天狗の鼻高仮面の下で睨みつける。
結構効いたぞ!
なにも言わずに俺の横を通り過ぎて足早に姿が見えなくなった。
「司・・・顔見えなくても威力あるな」
「誰も近づけねぇ」
「しかし・・良く仮装したなお前」
両脇から俺の肩に手を回す、海賊とドラキュラ。
「天狗って意外だよな?」
「もしかしてその高慢ちきな鼻を折ってほしいとか?」
ニヤつく総二郎とあきら。
「お前ら人の事を笑えるのかよ?」
「ハロウィンの仮装にしたら妥当じゃねぇの」
「でもお前の天狗には負けるわ」
こいつらの高笑いで少し気が抜ける。
「お前ら牧野しらねぇ?」
「そういや見てねぇな」
「司が見つけられないんじゃ、俺たちに無理かもね」
ゾロがにっこりほほ笑む。
後ろから「キャー」の悲鳴。
自分がほほ笑みかけられたと勘違いしてる赤ずきん。
牧野のやつ!何に変装してるんだ!
いい加減に辟易してる俺。
こんなパーティー早く牧野を見つけて出ていきた。
一斉に部屋の電気が消えて暗闇に包まれる。
そして中央の1段高い舞台上がライトで照らされた。
「ただいまから滋ちゃん主催のチャリティーオークション開催です」
「収益は恵まれない子供たちに寄付されますのでみなさんよろしくね」
壇上の上にはピーターパン。
相変わらずの高いテンション。
キャピキャピと相変わらずのうるささ。
絵画に、骨董。
写真?
俺らの隠し撮りじゃねぇかぁぁぁぁぁ。
天下のF4の Before !After!
って・・・
変装前の私服の写真と変装後の写真が引き延ばされて額縁に入れられている。
そして俺らの私服が横に並ぶ。
俺の天狗の写真・・・
すね毛飛び出たまんまの白い装束と長い鼻の赤いお面。
どう言ってもダサイの一言。
さすがに後の報復を恐れているのか周りからの笑いは起きてない。
「今日はこの格好で帰らないといけないみたいだぜ」
総二郎から耳打ちされた。
お前らはまだましだよ。
「1万円からお願いします」
壇上で始まるオークション。
5万、10万、簡単に跳ね上がる金額。
それよか、牧野。
探し出せず焦る俺。
そして会場のザワメキが大きくなった。
壇上にはあきらに総二郎に類。
F4がディナーデートをエスコート?
俺聞いてねぇぞ。
俺たちまでオークションの対象なのか?
「F4リーダー道明寺司君はエスコートなんて惚れた女以外には出来るタイプじゃないので今回は除外してます」
それでも熱気はグンと上がってる。
色めき立つ会場。
あいつらも良く付き合ってるよ。
総二郎とあきらなら喜んでデートオークションにのるだろうけど。
類は意外だよな。
どうやって説得したのかそれが気になる。
キャーキャー言って盛り上がっていつの間にかあいつらのデートオークションが終わる。
上限50万で切ったらしい。
ほっとけばそれ以上に値がついたとか。
次に運ばれてきたのはバカでかい箱。
おとなひとりくらいは入っていそう。
出てきたのはピンクのウサギの着ぐるみ。
「着ぐるみの中にはレオタード姿のバニーちゃんが入っています♪」
「司!あんたが落札しないと大変なことになるよ」
まさか・・・
もしかして・・・
あの中は牧野か!?
着ぐるみの中はバニー!
丸い尻尾の飾りを付けたレオタード。
ウサギの耳をかたどったヘアバンド。
網タイツ、ハイヒール。
身体の線は丸わかり。
妄想の頭の中の牧野は露出度はかなり・・・・ある!
妄想暴走中。
他のやつに落札させらるかぁぁぁぁぁぁ。
「これの商品に関しては落札価格上限なしで~す」
スピーカーから聞こえる滋の声は今日一番のハイテンション。
完全に罠に仕掛けられた気分。
1万からはじまって、5万10万20万・・・。
総二郎!あきら!類!お前らまで参加すんな!
「司が落札できなかったら俺らが牧野の面倒見るから」
にっこりと類が笑う。
「牧野のバニーガールなんてニ度とねぇぞ」
「いつもよりは色気あんのかな」
類の横であきらと総二郎はニンマリ。
冗談じゃねぇーーーーーーッ
つくしの変装いろいろコメントいただきましたがなかなかこれっ!というものに巡り合わず、思い浮かばず・・・。
話の設定が別な方向で浮かんだので、司が一番喜びそうな仮装にしてみました。
最後はどうなる?
いろいろなご意見ありがとうございました。
猫娘のつくしと天狗の司ならべて見たかった。