呆れるほどの無駄なジェラシー(旅行編)

『呆れるほどの無駄なジェラシー』

この題名でのお話いくらでも作れそうな気がします。

今回は、はる様のコメントから思いついたお話を一つ4周年記念作品としてUPさせてもらいたいと思います。

はる様に感謝!

ドライブ編3話とのつながりはあるのかどうか?

続きからどうぞ♪

番外編で 西田さん日記 もあります♪

*

『いつも、ぼくたちのお世話ありがとうございます。

今日はパパとママたちが結婚して10回目の記念日だと聞きました。

舞と翼と仲よくお留守番してるので、パパとママも仲よく遊んできてね。

パパとママがぼくたちのパパとママで幸せです。

駿、まい、つばさ』

助手席で5回目の朗読。

かさかさと閉じたキャラクタ―入りの便箋を丁寧に閉じて大事そうにバックにしまった。

どうせ、また信号で車が止まったら取り出すんだろ。

昨日の夜子供達に渡されたチケット。

海沿いに建つホテルの宿泊券。

西田に相談して準備したプレゼントだと舞が必死に背伸びして俺に渡してくれた。

「僕らがためたおこずかいでプレゼントだからね」

ドヤ顔で胸を張る翼に「内緒でしょう」と舞が睨む。

こいつ等のおこずかいって確かひと月500円じゃなかったか?

駿の部屋にたまれば10万円の500円硬貨の貯金箱があったのを思い出した。

まだ半分もたまってなかった。

こいつ等も西田に相談するあたり抜け目がない。

急に「休養をおとりください」と、二日間の予定の空白に見せられた。

すきまなく黒く埋め尽くされるスケジュールに慣れてたせいか、素直に喜べなかった。

また何か企んでるんじゃないだろうな?

警戒する俺を感知してない西田は表情を変えずに執務室のドアを開く。

西田にせかされるように帰りついた自宅。

待ち構えたように並んだちっこいのが3つワクワク感いっぱいの表情を並べる。

俺の帰宅時間にこいつらが起きてるのも久しぶり。

俺に会えてうれしいのかと親心をくすぐる。

そして、幼い声が同時に読み上げた手紙。

つたない短めな文章。

読む長さよりつくしが鼻を啜る時間の方が長め。

膝をついたつくしは感激のままに3人を両手でいっぺんに抱き締めた。

一人くらい残しとけよ。

駿、舞、翼の順に頭をクシャリと撫でる。

こんなうれしいプレゼントは初めてだよ。

俺を見あげるつくしの笑顔も最高の喜びを俺に告げてる。

つくしの喜びが俺にも完全に伝染して頬のゆるみが直せそうもなかった。

二人で一日中過ごすって久し振りだぞ。

初めてデートした時の高揚感。

恋人時代に戻って二人の時間が楽しめる。

隣りで規則正しい寝息をたてるつくしを抱きしめて眠りについた。

「うれしいよね」

俺と二人でいる事より子供達のプレゼントに心を躍らせてるのは、また手紙を取り出す仕草が示してる。

飽きないものだ。

「俺と、二人っきりなことが?」

キョトンとなった顔がクスッと小さく微笑んだ。

「結構、時間があるときは二人でいること多いと思うけど・・・」

すぐ、一人で寝息をたてるの誰だよ。

寝入ったつくしの隣りに身体を滑り込ませるだけの夜が多いぞ。

会社でも声を一言二言かけて忙しく働いてること多くて素通り。

二人で食事をしても周りの視線を気にして、握った手をひっこめる様なやつ。

べたついた記憶なし。

膝の上に置かれた手のひらの上に重ねる手の平。

つくしが欲しいと購入した軽自動は運転席と助手席の距離を程よい位置に保つ。

「運転に集中してよね」

「してるよ」

オートマ車って左手は意外と暇なんだよ。

高速で休憩のために立ち寄ったサービスエリア。

名物と限定の文字を見つけては食いつくつくし。

昔から代わってない色気のなさ。

「おいしいよ」

ペロッと舐めるアイスを俺は横からぱくつく。

「あ~、そんなに食べないでよ」

ムッと膨れた頬はすぐにアイスを俺から隠す様に遠ざける。

「そんなに食べたいなら店ごと買え」

「それ、冗談に聞こえないから」

車のドアに身体をもたれながら、はしゃいでるつくしに俺は目を細めて見てる。

「誰も、気がついて声かけてこないのもいいもんだな」

「まさか、軽自動車から道明寺フールディングス代表が降りてくるとは思わないでしょう。

それにスーツじゃない司を見るのも久しぶりだし」

ジーパンにVネックのシャツをラフに着こなす私服。

つくしも俺に合せるラフな服。

俺の横に同じく車に身体を預けてつくしが並ぶ。

「いい天気」

見上げれば雲一つない青空。

「あの子達、大丈夫かな?淋しがってないって思う?」

あいつ等なら飽きさせる暇がないほど使用人たちがこぞって面倒見てるぞ。

「このアイスクリーム絶対舞がスキだと思うのよね」

昨日からつくしの口からでるのは子どもの事ばっか。

側にいる俺の事、分ってんのか?

久し振りに、大事な滅多にない二人の時間だぞ!

「ア―――ッ」

つくしが手に持ってるアイスのコーンを指まで食べる勢いで口の奥まで押しこんだ。

「ちょっと!」

剥れた声。

これで俺のこと思い出したろッ!!!

忘れんじゃねェよ!