リミット 7
4周年のお祝いメッセージありがとうございます。
コメント、メールからもいっぱいいただいてます。
こんなにたくさん頂けるなんて~(/_;)
昨日はコメント投稿のお知らせメールがアイフォンに頻繁に届いて、メールを読みながらニンマリして、一緒に居いた友達から変な目で見らちゃいました。
今日は今から子供の文化祭です。
行ってきます♪
*「駿がさらわれたって!」
血相を変えて飛び込んできたのは美作さん・・・。
だけじゃなく西門さんに花沢類。
この三人のただならぬ雰囲気は初めて見た。
駿を連れ去った犯人の目的はあまりにも的外れで、犯人の要求通りに速攻で釈放された軽犯罪の容疑者。
新聞の片隅に数行書かれた事件。
明日にでも釈放予定。
警察としては釈放しても痛くもかゆくもない容疑者。
なんで、誘拐なんて重大な事件を起こしたのだろう。
GPSで駿の所在も把握済み。
犯人と一緒の元気な駿の姿も確認できた。
望遠レンズでとらえた映像は、オトナに跨って馬乗りで遊んでる駿。
テーブルの上の丸い穴がいくつも開いてるプレート。
白いとろとろの液状の粉を入れて出来上がる丸っこいもの。
たこ焼き・・・
テーブルに両手をついてぴょんぴょんと足を跳ね上げる駿。
タコ焼きってまだ作ったことなかったっけ?
生命を脅かす状況じゃなくてある意味ホッとしてる。
「誘拐したのはどこの組織だ!」
「俺が抹殺してやる」
え・・・と・・・。
司より美作さんの方が怒髪天。
今の状況を説明したら逆に司の方が責められるんじゃないのだろか。
事の成り行きを遠慮がちに説明した。
徐々に風船から空気が抜ける状態の3人。
「もう、ほとんどカタはついてるのか」
俺の怒りどうするんだ的なするどい視線が美作さんから司に注がれる。
F4の中で一番怒らせたらやばいのはこの人かもしれない。
「無事なら良かったよ」
緊張を解いた微笑を西門さんが浮かべる。
コーヒーを差し出した秘書がほんのりと頬を赤らめる。
この状況で女性の視線を釘付けにさせるのは流石だ。
「駿を抱きしめるまで牧野は安心できないでしょ」
私を気遣う花沢類の温かさがグッと胸にくる。
駿に会うまでは安心できないのは確かだ。
「でも、さすが司の息子だな肝が据わってる」
「大人を手玉に取ってるぞ」
映像を見た3人は余裕の笑み。
左右から両手を上げて駿に襲い掛かるような動きを見せる男性が二人。
その合間をすり抜けて駿が逃げてる。
一人が床にしりもちをつくのが見えた。
緊迫してる様子じゃなくて鬼ごっこをしてる雰囲気。
「しょうもねぇ、事件に巻き込みやがって!」
「速く確保しろ!」
唸る様に怒号が司の口から飛び出す。
蜘蛛の子を散らす様に執務室から警視総監を先頭に刑事たちが一斉に飛びだした。
「俺達も行くぞ」
私も司の後を追う。
目の前に迫る司の背中。
「突然止まらないでよ」
歩きを止めた司の背中に私の鼻先がぶつかった。
鼻がこれ以上低くなったら司のせいだからね。
「お前はここで待ってろ」
何時もの威圧的な命令口調。
「やだ」
「何かあったら、鼻が低くなるだけじゃすまねェぞ」
鼻ってッ!
本当に低くなってる?
思わず鼻の頭を押さえるがいつもの高さと変わるはずがない。
こんな時にからかうなッ!
「少しでも早く駿に会いたいに決まってるでしょ。ダメだって言っても勝手に行くから」
駿がいる場所は分ってる閉じ込めらても抜け出して行ってやるから!
「牧野の性格をいまさら知らない訳じゃないよな?」
私と司の間に割って入ってくれたのは西門さん。
「ここは牧野も連れていくべきだろう」
美作さんの落ち着いた声が私を包み込む。
私の知ってる温厚な美作さんが微笑んだ。
「牧野のことは俺達が守るから心配ない」
花沢類の極上の微笑。
今にも吸い込まれそうなビー玉の瞳が私を見つめる。
「つくしを、守るのは俺だ」
わぁぁぁぁっ!
司が花沢類のシャツの襟元を締めあげる。
「今は、牧野より駿じゃねぇの?司パパ?」
「危ないのはど考えても牧野より人質になってる駿だよな?」
緊張感のない美作さんと西門さん。
この二人はモッ!
まだ司で遊ぶの早いよ~。
それは、それだけ、この誘拐事件が単純だと思ってるって事なんだろうけどね。
気心の知れたこの人たちの態度は私の心を軽くしてくれる。
「迎えに行きますか」
遊園地にでも迎えに行くようなノリの声が私と司の背中を押す。
それでも、最後まで気は抜かないでよね。