西田さんの坊ちゃん観察日記(呆れるほどの~番外編)

『呆れるほどの無駄なジェラシー(旅行編)』

リクエストにお答えしての西田さん日記をお届けします。

続きからお楽しみください。

*

「にし~じぃ~」

用事を追えて戻った秘書室。

バタバタと小さい3つの足音が私にまとわりついて離れない。

「どうしたんですか?今日はお父様はここにはいらっしゃいませんよ」

横浜支店にヘリで向かう代表を屋上で見送ったばかり。

つくし様も確か事務所から外出中のはず。

「にしじぃに会いに来たの」

あどけない声が甘えるようにキラキラとした瞳を私に向ける。

大きなクルクルとしたした瞳はつくし様ゆずり。

舞様を代表が必要以上にかわいがる気持ちもわからなくはない。

思わず緩む口もと。

部下の女性秘書がクスッと微笑んだ口もとを隠した。

子供より孫が可愛いとはよく言ったものだ。

じぃと呼ばれて心が躍る感覚を呼び起こさせてくれるあどけない声。

「西田さん、仕事中にすいません」

真面目な表情で大人びた口調の駿様。

父親から受け継いだくせ毛。

額にかかる前髪を整えるように指先が掻き上げる。

意志の強さを表すきりっとした眉。

その下にクッキリとしたラインを見せるアーモンドアイ。

吸い込まれそうな純粋な瞳が真直ぐに私を捉える。

大人に対して引かない強さをたたえる輝き。

微笑を浮かべる口元は人の心を捉えるには十分すぎる魅力。

周りを穏やかに包み込む雰囲気は子どもながら頼もしい。

代表の緊迫感を生みだす雰囲気とは対峙出来る魅力。

「お願いがあるんだけど」

なんでもどうぞと言いたくなる気持をまずは飲み込んだ。

「私にですか?」

「うん♪」

明るい元気な声で私の足を跨いで翼様が足の甲にお尻を降ろす。

足を持ち上げて揺らすたびに翼様が落ちない様に膝にしがみ付く。

体力が誰かみたいに余ってないんですから5回で満足してもらいたい。

「翼、遊ぶために来たんじゃないだから」

翼様を止めながら舞様が入れ替わって私の足にしがみ付いただけ。

私の負荷は大して変わらない。

私を取り合いしてくれるのはあなたたち双子だけですよ。

「静かにしないともう二度と連れてこないぞ」

お兄様の声にシュンとなった表情が私に助けてほしいと言いたげに覗き込む。

二人の頭を撫でる手から感じる温もり。

自然と優しく顔が緩むのは大目に見てもらいたい。

「今度の日曜日と土曜日パパにお仕事を休んでほしいの」

その日にちは確か・・・

数秒後に代表とつくし様の結婚記念日を頭の中ではじき出す。

「僕らでパパとママの記念日に何かプレゼントしたいの」

駿様の背負ってるリュックから出てきたのは500円玉をためる貯金箱。

「僕ら3人のおこずかいから何かプレゼントできるかな?」

全部たまったら10万円の量からすると4分の1程度。

「なにをプレゼントするつもりですか?」

膝をついて視線の高さを駿さまに合せる。

「あきパパ、そうパパ、類パパに聞いたらパパとママに二人っきりの夜をプレゼントしたら、パパが泣いて喜ぶって言ったんだ」

「夜って売ってるの?」

周りで聞いていた部下の「プッッ」と吹き出す声が聞こえた。

「駿様たちが生まれる前の時間に戻して上げようということだと思います」

司様は泣いて喜ぶかもしれませんがつくし様の反応はどうでしょう。

半分はF3の方々の悪ふざけが入ってると思われれる。

「ご両親に一日ゆっくり仲よくしてもらえるプレゼントをしますか?」

「「「うん」」」

お子様たちの予算は18000円

道明寺の御曹司とお嬢様が真剣な面持ちで500円を数える姿は楽しすぎです。

「いっぱい貯めましたね」

女性秘書が気を聞かせて金額に驚く様子に満面の笑みを浮かべて、月で餅をつくウサギのように飛び跳ねて喜びを表現してる。

両親の愛情いっぱいを受けて育ったと思う素直さ。

代表が味合うことがなかったであろう家族の温もりがお子様たちを見ていて私の心を打つ。

目頭が熱くなる思いに、今、私は耐えてます。

一泊の一般のホテルなら十分に泊まれる金額。

たまにはシンプルな部屋で過ごす夜も代表には新鮮でいいかもしれない。

折角のお子様の思いをくみ取って私から無駄に手をまわすことは今回は避けさせてもらいます。

道明寺とは関連性のないホテルをピックアップ。

予約のセリフを駿さまに書いて覚えてもらい電話番号をまわす。

「もしもし、予約をお願いします」

ニッコリと私に微笑む駿様が顔より大きい受話器を必死に握る。

その受話器に左右から耳を近づける舞様と翼さな。

子猫が3匹寄り添うようなかわいらしさ。

「かわいいっ~」

周りで心配そうに膝を眺めていた秘書たちから黄色い声が響いた。

拍手コメント返礼

ことり様

にしじぃ~3人に呼ばれたらさすがの西田さんもメロメロな気がします。

お祭りもたのしいですよね。

子供の無邪気な笑顔は安らげます。

マリエ様

「夜って売ってるの?」

子供って大人は思いつかない発想しますよね。

まだまだこの程度なら答えられますが・・・(^_^;)

アーティーチョーク 様

ちびっこたちにとっても西田さんは頼りになる大人なんでしょうね。

道明寺家にはなくてはならない存在。

西田さん長生きしなきゃ~

あさみ 様

「じぃー」「若!」って感覚?

信頼感半端ないんでしょうね。

二人のいいとこどりに周りの環境は超一流♪

確かに安泰ですよね。