St. Valentine's Day 6(司 20years)

 *

「何よッ!」

俺の力に抵抗できずに膝の上に引き戻される格好で帰ってきた牧野。

強気な瞳が遠慮なく俺を見つめいてる。

「なに不機嫌な顔してる」

やきもち妬いてる牧野にニンマリとする心の内を隠してわざと声を上げた。

「別に不機嫌になってない」

そっぽを向く顔も拗ねている。

俺に嫉妬心見せるこいつは滅多に見れねぇ。

いつも無邪気な行動にいらついて嫉妬するのは俺の専売特許みたいなもの。

こいつの不機嫌がおれへの嫉妬だと思うとかわいくてしょうがなくなる。

俺の嫉妬心もしょうがないと笑ってくれるとケンカにならずに済むと思うのは心の叫び。

「お前があいつらにチョコやるの俺が気に食わねぇのと一緒だろうがぁ」

腕の中から逃れようと躍起になっていた動きが止まってギュッと牧野が唇をかむ。

「お前がいなくなったら寒むっ」

二人ですっぽりとくるまる様に頭から毛布をかぶる。

ここだけ二人っきりに遮断された様な別世界。

おとなしく柔順な牧野をこれ以上にないくらいに密に抱き寄せる。

「私は3人にあげる友チョコだって分かってるけど、道明寺は私の知らない人からいっぱいもらってるんだよね」

次元が違うとでも言いたそうに拗ねる唇。

「俺が直に受け取ったのお前のだけだからな」

「気に食わなきゃ全部送り返してやるよ」

見つめ合ったまんまの視線を牧野がこらえきれないように外した。

「そこまでしなくていいけど・・・」

つぶやいて毛布の中から顔を出す牧野。

聞こえた声は拗ねたものに甘えた色をにじませる。

「熱っ」

一言叫んで赤く染まる頬。

耳たぶまで真っ赤になっている。

肩まで落ちた毛布をそれ以上ずり落ちないように両手で掴んだ。

「すげー熱くなってる」

「今日は帰さないからな」

すりよせる様に合わせた頬に牧野の熱が俺に伝わる。

「一晩中こうやっていろんな話するってどう?」

触れ合った頬を照れくさそうに外して小さな声が聞こえた。

話だけって・・・

思い出話になったらまたやり合う可能性もあり。

この状況で1年前の話にでもなったら・・・

記憶喪失の話にもどる可能性はどんよりと広がる雪雲よりも高い。

よくも私だけ忘れたとか・・・

海ちゃんとベタついたとか・・・。

会いに来た私を追い返したとか・・・。

記憶を思い出させようとどれだけ恥ずかしい思いをしたとか・・・。

etc・・・。

今まで幾度か言われて責められた。

結局最後は「思い出したからいいじゃねぇか」と俺の一喝で話が終わるパターン。

そのまま甘く最後まで行くのは天文学的な数字の奇跡になりそうで俺の分は悪い。

それより、何より、この状態で朝まで何もせずにいるって拷問だぞ!?

目の前においしいえさ・・・

じゃねぇっ。

好きな女と一緒に一晩一緒にいて何もないなんて・・・

エレベーターの時や遭難しかけた時とは別物だろうがぁぁぁぁぁぁ。

子供じゃねぇし・・・

恋人!

婚約者!

俺たち結婚すんだよな?

「話って・・・まさかそれだけで終わらせるってこと?」

「本気か?」

焦る様に問い詰める口調。

「もう少し自信ない」

そういなながら半身を俺に預けて来るって・・・・

煽ってるじゃねぇかッ。

今さら我慢できるものじゃない。

牧野の顎をもち上げて上を向かせる。

潤った熱に熱をもったような瞳。

「限界」

つぶやいたまんま唇を奪った。

この後は・・・

3度目の正直!

2度あることは3度!

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