木漏れ日の下で 31

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二人の早口の会話について行けずに茫然と道明寺の表情を観察中。

今のところ手を出しそうな気配はないと安心する。

私の横で椿お姉さまだけが楽しそうにほほ笑む。

「二人で何言い合ってるんですか?」

「司はしっかりつくしちゃんは自分の妻だと説明したわよ」

「それでも構わないってジムは言っちゃったけど」

一瞬ニヤケそうになった顔がすぐにこわばった。

構わないって言われて「そうですか」と納得する道明寺ではない。

ゆらゆらと体中から立ち昇るどす黒いオーラが見えそうな雰囲気。

このままではやばくないか!

胸の中に不安が渦巻く。

二人の間を割く様に道明寺の前へと身体を押し込んだ。

「何やってんだ、お前」

「えっ」

「このままだと危なくないかなって・・・」

首を後ろに曲げる様に動かして見上げた視線。

その先で道明寺の漆黒の瞳とぶつかる。

肩越しに交差するように延びてくる腕の中に抱きすくめられた。

「こいつに用事があるんなら、俺の前で言え」

英語での二アンスでも脅す様な響きがこもる。

それなのに私を抱きすくめる腕は優しくて俺のもんだと見せつけてる様。

相手は高校生だぞ。

そう思いながらもその腕を拒むことができずにいる。

「つくしは僕に今日付き合ってくれるって了承してくれたんですけど」

ジムの言葉にそんなこと了承したのかと道明寺がじっと見つめたまま無言で責める。

「言ってない!」

「・・・あっ・・・YESって言ったの・・・このことなのかな?」

「ははははは・・・ハァ・・・」

ぎこちなく笑ってため息に変わる。

「こいつは君の質問の意味を理解してたなかったようだ」

「俺の妻だと分かってんなら年上だし付き合う意味ねえだろう」

落ち着いた道明寺の低い声。

ゆっくりと発音するのは私にも英語が分かる様との配慮なのだろう。

「約束は約束ですから」

柔軟な少年の明るい笑顔とは対照的な意思の強い声。

ムッとした表情を押し殺し冷静さを装うように道明寺が手のひらを握りしめている。

私の心臓がもたないというようにギュッと絞めつけられた。

その道明寺をじっと見据えるジム。

道明寺に負けない強気な視線はさすがは大企業の御曹司と言ったところか。

生まれながらカリスマをやっぱりジムも備えてる。

チャーミングとか可愛いいみたいな単語を付け加えながら続く会話。

そしてそのあとの長々とした英文にはついてゆけなくなった。

分からないままに交互に道明寺とジムの顔を見つめる。

「ったく」

「食えネぇ野郎だよ」

「えっ?」

「おれはこいつのおやじの会社と提携を模索中なんだ」

「うまくいくためには家族同士の付き合いも大切だとよ」

「それになぁ、お前のこと昨日パーティーが終わった後・・・」

言葉を途中できって「ハーアー」と道明寺が深く息を吐く。

「お前・・・ジョン覚えてるよな」

ジョンて・・・

大学卒業前に少しの間道明寺の会社でバイトしたときに接待の相手を女性と思って引き受けたら実は女装した美男子だったのジョン?

未だに会社がらみの付き合いはある相手。

ジョンはなぜか私を気にいってる様で日本に来るたびに会いに来るのだ。

私のそばで威嚇する道明寺をからかって楽しんでる節もあると私は思っている。

ここでなぜジョンが出てくるの?

ジムとジョン。

共通点はアメリカの大会社の御曹司。

さぁ!答えは!

なんて、自問自答してる場合じゃない。

「ジョンにお前のこと妹じゃないって訂正されたらしい」

「ジョンもいまロスにいるんだと」

「えーーーーッ!」

久しぶりに驚愕の声を上げてしまってた。

ハルチ様に頂いたコメント

『私は「ないしょ?」シリーズのジョン氏も好きでした。

いつかまた登場する事密かに期待しています。』

登場させるにはここか!と思いつきまして再登場してもらうことにしました。

オリキャラのジョン氏をここで使うことになろうとは・・・

でも面白いかもなんて思って、最初考えていたお話と比べると90度は折り曲げてしまっています。

木漏れ日からは遠くなる~

そして最初の設定からすれ過ぎてしまってることを反省してお詫び申し上げます。

どうして司法修習からこんなお話の流れになってるのか(^_^;)

自分でもわかりません。

べつものだよなぁ・・・

反省

拍手コメント返礼

りんごじゃむ様

木漏れ日シリーズの更新5日ぶりでした。

結構書いてませんでしたね。

言われて気がつく私(^_^;)

つくしちゃんにベタ惚れでヤキモチ焼きな司くんしかかけない様な気がします。

やっぱり王道ですものね♪

マリエ様

ご期待に添える展開になりますか少し心配ですが続きを頑張ります。