ウエディングベルは二度鳴らす  番外編

おはようございます。

ここでなぜ番外編?

先日ふにゃろば様からいただいたコメント。

そのコメントから拝借してお話つくりました。

一粒で二度おいしいコメントありがとうございます。

「よっ。来たんだ」

会場を探していた私の前に、明るい日差しの差し込むに庭園に聞こえるにぎやかな笑い声。

その中で穏やかに笑んだ公平が軽く手を挙げて私を呼んだ。

「誘ってくれてありがとう」

「後ろにいる奴はそう思ってないみたいだな」

「来てやったぞ! ありがたく思え!!」

ずんと胸を突きだすように一歩私の前に出た道明寺。

完全に毛を逆立てて威嚇してる。

「何威張ってんのよっ。そんな態度とるなら帰ってくれていいから!」

とに、もう誰にでも突っかからないでよ。

「クッ…、変わらねーな」

気分を害してない明るい声の公平にほっとした。

「ゴ、コメンね、公平。何なら今すぐ帰らせるから」

「あ? お前本気で俺一人で帰らせる気かよっ!?」

「当たり前でしょっ! 今度失礼なことしたら、西田さんに連絡してすぐ帰社するように手配してもらうから!!」

「っ! ………」

西田さんの名詞に道明寺が次の言葉をぐっと唇を噛んで飲み込んだ。

よし!勝った!

「プックク。相変わらずだな。天下の道明寺ホールディングの代表を尻にしけるのは、お前くらいだよ」

ここで一番楽しそうな声を上げる公平。

公平ってこんなに失礼な奴だったったけ?

ちらりと気になって見上げた視線。

道明寺の不機嫌な表情。

だよね・・・っ。

わたしじゃなくもろに公平は道明寺を煽ってる気がする。

「///あ、ねぇ、今日の新郎新婦は何処? お祝い言わなくっちゃ」

「何も急に話を逸らさなくても…。あそこだよ、ホラ」

私が道明寺を気にしてるって公平は気が付いてる。

私がいないほうが平和な気がしてここからから離れよう。

「あ、じゃちょっと行ってくるね」

道明寺は待っていてと視線で念を押してその場から離れた。

「ああいうところは変わんねーな…」

つくしを見送りながらうれしそうにすんじゃねぇよ。

「……、オイ」

「はい?」

「アイツは俺の妻だからな」

「あぁ、それじゃ婚姻届出せたんですね。いや、まだ出してないって聞いてビックリしましたよ。けどまぁ、牧野らしいのかな?」

余裕を見せるこいつはいつも気にくわない。

司法修習が終われば二度とつくしにこいつを近づかせない。

「てめぇの入る隙なんかねぇぞ」

「何です、それ? 法的な手続きはともかく、あんた達が愛し合っている以上、余計なことはしませんよ。勿論脈ありとみたら、再度挑戦する気は満々ですがね」

「んなもん、あるわきゃねーだろーがっ」

「だったら不要なことは口にしないこと。男を小さく見せるし、あいつにもうざがられるだけですよ」

「チッ…。やっぱりてめぇは気にくわねぇ」

「褒め言葉と受け取っときます。あ、牧野が戻ってきますよ」

俺を見るよりさっきからこいつの視線はつくしを追っていることは一目瞭然。

「公平…、どうしよう」

帰ってきて最初に声をかけたのは俺じゃねぇのかよ。

ガシッと握りしめたグラス。

漫画ならここでグラスにひびが入ってるはずだ。

「?」

「あの…、あのね。今日式を挙げた二人がね、私達にも記念写真に入ってほしいって」

「? それ、何か不味いのか? 一緒に写真を撮るだけだろ」

「公平っ、道明寺は写真が嫌いなのっ! 私と一緒の写真だって数えるほどしかないんだから。なのにこれから新しい生活を始めるおめでたい門出の記念に仏頂面の道明寺が入っちゃったら、縁起悪くて申し訳ない…」

「お前…、相変わらず気を回しすぎ。向こうが望んでるんだから、とりあえず頼むだけ頼んでみたら?」

相談するならこいつじゃなく俺だろうがぁぁ。

相談内容は全部俺の耳に届いてる。

そしてちらちらと俺をちら見するつくしの視線。

俺はそこまでお前に遠慮させてんのかよ。

マンガじゃなくてもグラスにひびを入れるぞ!

「でも…」

「っていうかさ、お前今でも旦那のこと苗字で呼んでんの?」

「っ! ///」

「んじゃさ、折角正式に入籍したことだし、頼む時に名前で呼んでやれよ。可愛く『司♡』って言って頼めば、上機嫌で引き受けてくれるぜ」

お前に司♥で呼ばれたらぞっとする。

もう限界!

つくしにこれ以上近づくなつーの。

「てめぇらっ! 何ヒソヒソ話してんだっ!?」

「ほら、おかんむりだ。後はうまくやれよ」

「ちょっ、ちょっと、公平っ!?」

「何二人で話し込んでんだよっ」

写真を撮りたいんだと素直に頼めばいいだけのこと。

でも俺は素直にOK出さないけど。

俺を通り越して松岡に相談した事態がムカつく。

「そんなに凄まなくても…。あのね、今日の主役の二人が私達にも写真に入ってくれないかって」

「あぁっ!? ヤダね、何で見ず知らずの奴らとの写真なんざ」

「(ハァ~、やっぱり…)わかった、断ってくる…」

おい!あきらめるの早過ぎだろう。

お前のお願いに俺は弱いんだぞ。

さびしそうに肩を落としてションボリしながら立ち去ろうとする姿を見せられてら俺でも心が痛むんだよ。

お前限定だけどな。

弱い。

くそっ!

俺がいじめてるみたいな罪悪感を持たせるな。

「オ、オイッ。……チッ、わかったよ。すりゃいいんだろっ」

「エッ、ホント? ホントにいいの!?」

「………、オゥ」

そんな満面の笑顔で強請られたら、きかない訳にはいかねーだろーが。

「ありがとっ、嬉しいっ」

「お前も変な奴だな…。高価な服や宝石を贈ったら怒るくせに、こんなことくらいでそんなに喜ぶとはな」

「いいのっ。さ、行こ行こ♪」

こいつの笑顔一つで俺の機嫌も直るって、すげー単純。

こんな集合写真俺の人生の中じゃ初。

はい笑って~って笑えるか!

隣から笑わない俺に肘鉄をくらわせるんじゃねぇよ。

笑えって命令するのもつくしくらいのもん。

お前が笑えば俺もわらえっけどな。

「つくしっ、来てくれてありがとう! 道明寺さんもありがとうございます」

「別にアンタらの為じゃねえ。コイツの為だ」

返事をするのも面倒。

「道明寺っ!

 ゴ、ゴメンね。コイツも悪気がある訳じゃ」

「いいって。ていうか、つくし、道明寺さんのこと『コイツ』呼ばわりしてるんだ。そのほうがオドロキだよ」

「あ、こ・これは別にそのっ」

「クスッ、慌てなくてもいいよ。ねぇ、お礼と言っては何だけど、今度は二人っきりで撮ってみたら?」

「え?」

「いらねぇよ」

「そんなこと言わないでくださいっ! 私達の結婚式につくしが来てくれたっていう記念の思い出にしたいんです」

「道明寺、私もしてみたい…。ダメ?」

必殺のウルウル上目目線が俺を見上げてる。

その目線今日何度目だ?

「///し・しかたねぇなぁ。一枚だけだぞ」

くそっ照れる。

「ありがとうっ」

「しっかし…、お前の友達も変わってんな。『俺(道明寺)』との縁故じゃなく『お前(友達)』との思い出を欲しがるとはな。数は友を呼ぶってか?」

「(それを言うなら『類』でしょ…。ヘソ曲げられると困るから言わないけどっ)」

「ね、つくし。どうせ写真を撮るならこのヴェール貸したげるよ。顔だけ写すなら、結婚式みたいに見えるでしょ?」

「えぇっ、いいよ」

「遠慮しないっ。じゃ道明寺さん、ちょっとつくしをお借りしますね。お化粧なんかも直したいから」

時間を一人でつぶす数十分。

化粧直しをしてウェディングヴェールをかぶったつくしが現れた。

普段あんまり化粧をしないあいつの素顔を引きだたせる可憐なメーク。

俺たちの結婚式を思い出す。

「あ、あのね」

「ん、何だ?」

「今日はありがと、司」

「っ! ///」

今・・・こいつ俺のこと司って・・・

テレくさそうにはにかんだ笑顔。

後日届いたあの日の写真。

そこにはつくしより幸せそうな極上の笑みの俺がいた。

誰にも見せんなよな。

これだとこのお話これで完結ですが、お話はまだまだ続きます。

拍手コメント返礼

うさこ 様

あいつは公平で俺はいまだに道明寺かよ。

お前も道明寺だろうがぁぁぁ。

心の声。

そこを攻める公平クン煽ってますよね。

そして結局いちゃこら~

ゆみん 様

入籍記念フォトはそのまま司のデスクの上に飾ってくれないかな~

気に食わないはずの公平のこと意外と司は信頼してるんですよね。

だから私も遊べるぅ~。