木漏れ日の下で 32
*日本にいたときは公平。
日本を飛び出してアメリカまで来て、ここではジムにジョン。
増えてるじゃねぇか!
お前に色目を使う奴。
自分がモテてるのを未だに気が付かない鈍感さ。
これだから気が休まらねぇンだよ。
まあ・・・
俺がホレ込んだ女だからしょうがねぇッ。
って!
それで気が収まるわけはない。
さっきからニンマリと傍観気味に眺めてる姉貴の表情も気に食わない。
あれは絶対楽しんでいる。
ラスベガスでショーをみてる様なリラックスさ。
そしてもっと楽しくなる様に要求を出すんだよな姉貴の場合。
「ジョンって久しぶりだね。会えるの?」
「会えるの?って・・・あいつに会いたいのか?」
「優しいし、紳士だし、日本語話せるし面白白い」
俺の前で他の男を褒めるんじゃねっ。
「司、落ち着くのよ」
そういいながら姉貴は俺を本気で落ち着けさせる気があるのだろうか?
「つくしちゃんもこっちで知り合いに会えるのは心強いわよね」
男じゃなけりゃなッ。
全然俺を落ち着けさせる気なんて姉貴にはありはしない。
「会うんだったらこの屋敷内にしろ」
一歩もつくしをここからだ出さない。
これが俺の最大の譲歩だ。
「用件があるならここで終わらせろ」
ジムに向ける早口の英語。
「それじゃ約束をやぶることになる」
ッて悪びれずに返された。
「つくしに付き合ってもらわないと」
ジムは視線を俺からつくしに向ける。
それは許さなねぇッていてんだよ!
俺の睨みも全然通じねぇTeenager。
俺もこのくらいの頃は傍若無人だったけどなッ。
人の女には手は出さなかったぞ!
てか・・・
俺の場合つくししか興味なかったつーのが現実だけど。
「・・・っ、この野郎」
ジムに近づくために1歩足を進める。
「ダメだからね!」
つくしのピンと張った声に近づきかけた距離が手の届く手前で止まる。
ここで手を出すほどガキじゃない。
つくしはそう思ってない雰囲気で表情に緊張が走ってる。
「何もしねぇ、心配するな」
今のところたぶんという条件付き。
「つくしとなにをするつもりだ?」
震えそうになる声を押し込んでゆっくりと冷静を装って喉の奥から声を出す。
「最初は高校生かと思ったから本気でデートに誘ったつもりだったんですけどね」
「デートって・・デートするの?」
つくしもそこだけ英語がわかるってすげーやりにくッ。
「しねぇ!てか、させるかっ!」
ジムを睨みつけたまんまの形相をそのままつくしに向けていた。