木漏れ日の下で 35
*「殺す気?」
「誰を?」
「いきなりでかい図体でかぶさってこられたらまともに歩けるわけないでしょう!」
ロスに来て何度目かの日本語での攻防。
日本語の理解できないジムだけがきょとんと見つめる。
他のやつらからは遠慮なく上がる笑い声。
「大人げないわよね」
姉貴がこれ見よがしにつくしを自分の腕の中へ囲い入れた。
いかにもまだ手放さないからの構え。
「先が思いやられるわ」
それは俺のセリフだろうがぁぁぁぁぁ。
たてつけずに言葉を飲み込む。
そのあとも・・・
結局姉貴に付き合わされて連れまわされるつくし。
ブランドの袋が徐々に増えていく。
それを持たされて歩く男3人。
どこが終点かわからない状況。
今日の予算は?
なんて気にしない買い物。
なかなか終わるわけがない。
「僕とつくしのデートは?」
諦めきれないようにジムがぼやいた。
このガキ!本気でつくしとデートするつもりだったのか?
どう考えても無理だろう。
「俺もつくしと遊びたかったかったな~」
ジョンの場合はどうみても俺にケンカを売っている。
「お前らいつまでついてくる気だ?」
「帰るなら帰れ!」
「いや~まだ楽しめそうだしなぁ」
「まだ3日は居るんだろう?」
甘たるくほほ笑むジョン。
俺に笑いかけても何にもなんねぇよ。
「俺らの邪魔して面白いのかよ」
「今日一にだけしか一緒にいられない~なんて別れの待つカップルなら遠慮してやるけどな」
「結婚したんだからそこまで気をつかわないぞ」
「夜は邪魔しないからそうやけになるな」
笑いながら俺の肩にポンとジョンが手を置いた。
「触んなッ」
「触るのも触られるのもつくしがいい!って、顔してるぞ」
睨んだままの俺を何でもないようにスル―したままニンマリとした表情のジョン。
ジョン!
俺はお前が嫌いだよ。
「道明寺!あのレストランで昼食だって」
つくしが俺の方に駆け寄ってきて右手にまとわりつく様に腕を回わす。
今日久しぶりに俺だけに向けられた笑顔。
それだけで・・・
さっきの気分が喜へと変わる。
俺も単純。
「だらしないぞ!司」
姉貴が嬉しそうにほほ笑んで優しい瞳が俺を見つめる。
「仕方ねえだろう」
素直に心の中のまんま言葉を返した。
このお話も5日ぶりです。
お待たせしました。
このお話もそろそろ終了させてあたらしいお話にと思っています。
どこで終わらせるか・・・
そこが問題なんですよね。