木漏れ日の下で 34

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目で追う後ろ姿。

モデル並みのスタイルに挟まれ、頭一つ小さくなる真ん中。

人目を引くのは両脇の美人だけの影響じゃない。

クルックルと表情を変える横顔。

黒髪の下の明るい笑顔はこの青空の下に映える。

「つくし可愛くなったな」

ジョンがうれしそうに笑った。

「日本の女性って好みなんだよな、小さくて、抱き心地よさそうだよね」

「そのへんどうなんだ司?」

ジムの言葉を受け取ってジョンがニンマリとなる。

「ジョン、お前は初めて会った時に俺の目の前でつくしに抱きついてたじゃないか」

いやらしくなくさらりとスマートな対応で挨拶だと言う様につくしに抱きついてたジョン。

「すぐ抱きついてくるからから外国人て困るよね」って、言いながらもいやそうじゃなかったつくし。

最初の時は姉貴のキャサリンに化けてたから俺も笑ってみてられた。

「そんな昔のこと引っ張りだすんだ」

昔のことじゃねえだろうがぁぁぁぁぁ。

ジョンは日本に来るたびにつくしにわざとらしくちょっかい出すんだよな。

俺の目の前でッ!

最後はたしか結婚前。

婚約発表を大々的にした後。

自家用ジェットとばして日本にやってきたジョン。

「おめでとう」なんて言いながらつくしに抱きついてやがった。

ついでに「まだ間に合う」

「思いなおすなら僕が助ける」

「心配してくれたありがとう」と間の抜けた返事をするつくしに切れかかった。

つーか、切れた。

俺と結婚したくないのか!

他の男に愛想振りまくな!

浮気するじゃねぇ!

いつもの様なじゃれあいのケンカのつもりが、膨れて、機嫌を完全に損ねさせて、3日は携帯にも出なかったつくしのやつ。

今思い出してもジョンのやつをぶん殴りたくなる。

思わず拳を作り両手に力を入れていた。

「ジム、司は俺が日本に行くと自分の身体をバリケードにして、つくしと接触させてくれない」

「友達がいのない奴だ」

わざとらしく右腕を目に当てて涙をぬぐう仕草。

友達になった覚えはねぇ!

「その目をかいくぐってつくしにハグするの下手なゲームより楽しいぞ」

「そうなんだ」

つぶやいたジムが俺達の列から離れて数メートル先の女性陣をめがけて駆け寄る。

つくしと姉貴を割く様に真中に割って入った。

つくしの肩にジムの腕がまわされる。

「わっ!ジム!びっくりした」

聞こえるつくしの声はにこやかに答えてる。

俺の目の前で他の男とべたべたしてんじゃねぇよ。

「司は結婚してもつくしのことになると余裕ないな」

大きく一歩踏み出した俺の動きを止める様にポンとジョンの手のひらが肩をつかむ。

「仕事でそんな姿を見せてくれると助かるんだけどなぁ」

「るっせッ、仕事とプライベートは別だろうがぁ」

「折角の時間だから俺達も楽しもう」

「お前らがいないほうが楽しめる」

「つめたいな、司」

そういいながら顔は笑ってるジョン。

笑みをつくったままジョンまで前を歩く4人の中に割って入る。

キャサリン、ジョン、つくし、ジム、姉貴の並び。

置いていかれる俺。

駆けよってあいつらから取り返す様に後ろからつくしに抱きついた。

「ギャァーッ、倒れるっ!」

前につんのめりながらつくしが悲鳴を上げた。

拍手コメント返礼

マリエ様

もうちょっとハラハラですか?

どんなスパイスを用意いたしましょうか?

Gods&Death様

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