FIGHT!! 28

ストーカーになった司君のその後 ← 「なってねェよ」イラッと視線を向けられてそうな気が・・・。

西田さん3時間しか与えてなかったんだよなぁ・・・。

『不機嫌~』の30分よりは断然時間は余裕はありますけどね(^_^;)

*

「いつから居たのよ!」

ムッとしたようにとがった口元が俺の目の前でクスッと笑った。

「ストーカーのようなまねを俺にさせるなッ」

笑いにつられておどける俺はそのままつくしの首に腕を巻きつける。

微妙な力加減はふんわりとした感触でつくしの体温を俺に伝えてくる。

「自分でストーカーって、認めたね」

くすぐったい声がつくしの胸元で交差してる腕に触れる。

「ストーカーじゃねぇだろう」

耳元を隠すつくしの黒髪。

柔らかい髪の感触とシャンプーの清純な香りが鼻先をくすぐる。

「仕事は?」

わずかに斜めにずらされた身体。

ゆるりと解けた俺の腕からするりと身体を抜くようにつくしは動く。

それを咎めるほど飢えちゃいない。

「一つ予定が抜けたからもう少し暇がある」

腕時計を眺めて、会社から出てから1時間は過ぎてることを確かめる。

そんなに暇じゃねェのに・・・。

「時間ができたから来てみた」

これだけの言葉で済んだはず。

それなのに、黙ってつくしを見ていたのは久しぶりににこやかに同じ年齢の女性と談笑してるつくしを楽しげに見てる俺がいたから。

英徳じゃ珍しい。

『お嬢様って人種とは合わない』

大学で不機嫌な表情を見せるつくしの理由で2番目に多かったもの。

1番目ってぇのが俺って、どんな付き合い方してたのか・・・。

ほとんどは俺の我儘ってわかってるが、それはいまだに変わらない。

英徳の保護者の身辺調査は完璧に終わってる。

誘拐!

陰謀!

下心アリで接点を持ちたがる輩!

利点も不利もすべて把握する用意周到さがなければ危険が排除できないというのも道明寺が世界有数の財閥だからしょうがない。

つくしが心配してるのは子どもの誘拐!

駿の送り迎えは屋敷から英徳の門の中までSP付きの車での移動。

誘拐される隙はねェよ。

俺にとったらつくしが一番心配なんだ。

初めて会ったやつをすぐに信用するな!

ついていくな!

家に上がるな!

出されたものを食べるな!飲むな!

全て軽く実践してる。

子どもより危ないだろうがぁ。

「道明寺の名前に興味を示さないやつがいるのか?」

「外国が長いって言ってたからかな」

ヨーロッパも中近東もアメリカも「DOUMYOUJI」に「道明寺」のネームはあふれてる。

外国でもばっちり知られてる漢字の表記の一つだ。

「だから、初めからすぐ信用するなって言ってるだろう」

「高校の頃も最初は桜子にだまされたろうがぁ」

「今は仲はいいから問題ないじゃない」

何もなかったみたいな呑気な表情が俺を見つめてる。

「単純でいいよな」

ため息交じりに鼻から息が出た。

「司に言われたくない」

拗ねた口ぶり。

桜子だけじゃねぇだろッ。

織部順平!

金さんんて言うやつもいたっけ?

政界の御曹司。

つくしに知り合いが増えるたびにトラブルがついて来る。

そして巻き込まれるのは俺。

襲われたり、迫られたり、つくしを取られそうになったりなッ。

怪我も負わされた。

全治1か月。

骨のくっ付きは思ったより早かったが、つくしに世話を焼かれるのを楽しんでいた俺。

わざと治ったのに腕を吊って痛がって世話を焼かせてた。

だましたって怒ったつくしにも楽しんでいた。

好きな女を守れた満足感がそこにはある。

それよりッ!

男とベットに寝てる写真をばらまかれたらあの時より被害は大きい。

警戒しろ!

「問題に巻き込まれなければいいけどな」

嫌味っぽくなる声。

「人がいつも問題を起こすような言い方してない?」

「違うか?」

「司が絡んでこなきゃ大丈夫な気がする」

「俺が悪いみたいな言い方だなッ」

「司が顔を出すとタダの会話でもSP付きで大げさになるものね」

俺の嫌みをそらすみたいにニンマリとした顔は目の前に迫る。

「あとで泣きつくなよ」

「心配ないって」

「それにしばらくは会わないだろうし、私も仕事が忙しくなりそうだしね」

「仕事?」

「普通に出社するつもりだけど」

俺も忙しくて、つくしも忙しくなるってことは・・・。

すれ違う確率は広がっていく。

「言わなかったっけ?」

「聞いてねェッ」

つくしからそっぽを向いて車の窓に映る俺はすこぶる不機嫌。

「また会社では一緒だね」

会えるのは俺がつくしのオフィスに行くか俺がつくしを呼び出すかのどちらかだ。

どっちも怒るじゃねェかッ。

そう思いつつ、少し照れてうれしそうなつくしの声に俺も満更でもない。

「心配してくれて有難う」

背中から前に回されたつくしの腕。

背中に寄り添う柔らかい身体の感触。

ゆっくりと俺の感覚をくすぐって浸透してくる心地よさ。

弱いところを衝いてくる。

惚れた方の負けって気がしてきた。

拍手コメント返礼

b-moka

今回はどんな事件!

まだ固まっていません。

何か面白い事件転がってないかなぁ~。

ラジオはあんまり聞いてなかったので、3人の関係がいい感じに聞けて楽しかったです。

リアルで聞きたかったな(^_^;)

なおピン様

今回も何度も投稿がエラーになっちゃったんですね。

どうしてだろう・・・。

惚れた方の負け。

どっちも負けてないと思うのですが素直に感情を表す司君の方が分が悪いでしょうね。

こんなに愛してくれる男性いないぞ~。

うらやましいし設定にしてしまうのは願望かなぁ~。

現実はね・・・。