HAPPY LIFE 23
*-From 1 -
小春日和の休日の午後。
ただ一人除いてはだけど。
楽しみにしていた休日も西田さんからの慌ただしい電話で飛び出して行った約一名。
背中を見送って出るため息。
「今日も二人だね」と軽く駿に愚痴る。
仕事に復帰したいかもなんてことが頭に浮かぶ今日この頃。
でも駿の成長も見たい!
究極の選択の中でうろうろしてしまってる。
たまには実家にでも帰るか。
思いついて実行に移す。
これが結構大変なんだよな。
運転手付きの車にSP付けて普通の一般的家庭の訪問。
重要人物ここにありみたいで落ち着けない。
目立ちすぎも困りものだ。
こそっと裏口からベビーカーを押して屋敷を出た。
初めて乗るバスに駿は興奮気味に声を発してる。
通路を挟んで向かい合った席で女子高生が愛想よく駿に笑いかける。
「かわいい」
「絶対この子将来カッコ良くなるよね」
自分が褒められてるの分かっているのか「キャッキャッ」と機嫌がいい声で答えてる。
女性の視線を集めるのはやっぱりパパ譲りか?
愛想がいいのは似てないけどね。
数回バス停を過ぎて実家の近くでバスを降りる。
行くと連絡を入れておいた結果、バス停で家族総出のお迎えに苦笑した。
そんなに飛び上がりながら手を振らなくても分かるよパパ。
「よく来たな」
感激にむせび泣く寸前のパパ。
あの・・・・
住んでるの同じ都内なんですけど・・・・
駿をすぐさま抱っこするママ。
無人のベビーカーを押す進。
「進も暇だね。休日に会う相手もいないの?」
「姉貴に心配してもらわなくてもいいの」
生意気な口をきく進も今年から社会人。
「駿に会うのも久しぶりだもんなぁ」
進のやつ私からの追求を逃れる様に駿をあやし出した。
家についてのんびりと羽を伸ばす。
やっぱこのくらいの広さがいいと10畳程度のリビングに腰を落ち着ける。
駿を相手に大人3人。
笑いあうにぎやかさは自然に増幅する。
見つめながら和む気持ち。
「実家はいいね」
「このまま泊まっちゃおうかな」
冗談で言った言葉にシーンと静まり返る。
「もしかして・・・道明寺さんとケンカしたとか・・・ある?」
親子で視線を交わして遠慮がちに進が口を開く。
「ケンカして家でてきたわけじゃないからね」
「そ・・そうだよなぁ」
ドギマギとした雰囲気でパパがぎこちなく笑った。
「心配しなくても幸せですから」
「分かってるわよ」
いいながらホッとした表情のママ。
安堵のため息って・・・。
微妙にうれしくない。
夕刻近く。
そろそろ帰るかと立ち上がる。
「ピンポン」
玄関に響くチャイムの音。
「つくしッど・どう・どうみょうじさんッ」
転げる様に興奮気味のパパ。
そこまで焦るものか?
一応義理の息子なんですけど。
駿を抱いて玄関に向かう。
「迎えに来てくれたんだ」
笑いかけた口元が固まった。
なんだか・・・
やけに機嫌が悪いと言うか・・・
焦ってる様な・・・
息も上がってる感じって・・・
なに?
「車も使わずにSPも付けないってどう言うことだ?」
「えっ?実家に帰るだけだし、すぐに帰るつもりだったから・・・
大丈夫でしょ?」
最後は控えめに声を落とす。
両手を肩に置いたまま頭を下げる様に「フーッ」と司が息を深く吐いた。
「・・・っ・・・騙された・・・」
「騙された?」
「愛想尽かして出て行ったんじゃないんですかって、タマが・・・」
タマ先輩にはのんびり実家に行ってきますって言っておいたはずなんだけど。
「もしかして・・・出て行ったと思って迎えに来てくれたの?」
「悪いか」
気まずそうにつぶやく司にクッと小さく笑いがこみ上げる。
「心配しなくても大丈夫だから」
「心配なんかしてねぇよ」
慌てた様にここまで来て強がって見ても効果はないんだけどね。
「それじゃ、帰るから」
司に駿が抱っこをせがむ様に手を伸ばす。
緩んだ表情で駿を抱っこしながら「先に行ってるぞ」と玄関を出て行った。
「あれは相当尻にしかれてるな」
「そうだね」
パパと進がこそっと言い合う声。
聞こえてるんですけど。
そんな声に見送られて車に乗り込む。
焦った顔で迎えに来てくれたたのがうれしかった
なんて・・・
言ったらどんな顔するのかな。
そんなことを思い浮かべながら見つめる横顔は、穏やかな優しい瞳で駿をあやしている。
「幸せだね」
ぽつりとつぶやいて司の肩にもたれかかるように身体を預けた。
拍手コメント返礼
しな様
コメントありがとうございます。
和むとコメントいただけてうれしいですね。
まだまだホンワカしたお話UPしていきたいと思っています。
マリエ様
ほっこり家族♪
いいネーミングですね。
らんらん様
好きだと言ってもらえるのが何よりの書くエネルギーになります。
駿君中心でしばらくはお話が続きますのでお付き合いをよろしくお願いします。
Noemmi様
今回はタマに活躍してもらいました。
西田さんですか?
そういえば最近日記書いてない(^_^;)
annie様
HAPPY LIFEの司は大人に成長していく感じで書いています。
そこにちょっと焦る部分を入れこんで暖かくって、優しくって、堂々とたパパぶりを書いていけたらと思ってます。
b-moka様
おほめの言葉ありがとうございアンす。
次も楽しいお話をお届けできる様に何か考えないとなぁ。
hanairo様
子供が小さい時代って過ぎてしまえばあっという間ですよね。
現実逃避、私もしたくなるときあります。
かっこいい、頼りがいのある司パパもそのうちに出てくるお話考えますね。