第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 3

 *

-From 1-

眉目秀麗。

容姿端麗。

無駄のない筋肉。引き締まった体。

すらりと伸びた足。

三人三様、どこも卑下することができない完璧さ。

目の前にさらされる上半身の裸体。

目のやり場に困った。

普通目のやり場に困るのは男性の方だよな。

そう思ってもかなしいかなそこまでのスタイルには程遠い。

豊満な胸には程遠く、ずん胴体系が恨めしい。

花火で遊んだ次の日の朝。

私たちの代わりと手配されてやってきたのは一流ホテルの従業員という手の入れよう。

この子たちは僕達の世話をしてもらいますからと涼しい顔の美作さん。

オーナー夫妻からキツネにつままれたような顔で見送られていた。

プライベートビーチとかホテルの貸し切りプールなんて絶対いやだとわずかな抵抗。

普通に海水浴場で食事も海の家に付き合うならOKって、この人たちにしたら無理難題気味の条件を付け足す。

「別にかまわない」って楽しそうにかえされた。

拍子抜けだ。

もっと・・・こう・・・

抵抗とかないのか?

普段出来ない様な事が面白いと西門さんも涼しい顔だ。

着替えて海辺にパラソル立てて、座ったまま3人の姿に見惚れていた。

このまま売り切れ間違いなし、太鼓判つきのイケメン写真集でも出来そうだ。

カレンダーでもいいかも・・・

周りから注がれる視線は太陽の熱よりもとろけそう。

せっかくの新作水着を披露する勇気もなくて、パーカーを脱げずにかぶっていた。

「泳がないの?」

「・・・気分が乗らない」

何気なくひょこっと顔を出した花沢類の顔もやけに眩しい。

その途端「キャー」って、悲鳴が上がる。

羨望と妬みの混じったような視線。

いつもの事だ。

道明寺がいるとたいして気にもならないのに、いないと無性に居心地の悪さを感じてしまう。

きっと・・・

側で守ってくれている安心感を道明寺が常に私に向けいてくれるからだと気がついた。

「なあ、ビーチバレーやらないか」

「あそこでコート貸し出してるぞ」

「昼ごはんをかけて勝負だ」

美作さんの誘いにすぐに反応する西門さん。

「今度は負けないから」

3人を見るにつけ道明寺を思い出す。

その気持ちを打ち消す様に強がった。

今ここに道明寺がいればどんなに楽しいだろう。

そう思ってしまう私はかなりあいつにいかれている。

会わずにいる時間が愛しい思いを増長して会いたい気持ちを湧き立たせる。

もう一週間以上も会えずにいるなんて大学に進級して以来初めてだ。

なにも考えたくなかったからバイトに没頭したかったのにッ。

恨めしい気持ちになっていた。

「楽しそうじゃねぇか」

Tーシャツに海水パンツ。

ラフな格好の道明寺が腕組みをして立っていた。

「うそ!なんで?」

「花火に、海水浴、俺がいなくても楽しそうだな」

「えっ・・・花火って・・・」

逐一俺が報告してたと携帯の画面を西門さんが見せる。

「二週間いないと言っても平然としている牧野が許せなかったんだって」

「俺のいない寂しさを分からせろって無理難題押し付けられた」

無理難題という割には楽しそうに見える美作さんは気のせいだろうか。

「牧野・・・司がいないとつまんないって顔してたよ」

花沢類がクスッとほほ笑む。

「司の方がもたなかったんじゃないの」

からかい気味に美作さんが道明寺を煽っている。

「わるいかッ」

照れながら怒ったような顔になって道明寺が私の首元に腕をまわして強引に抱き寄せた。

-From 2-

「くるしーいッ」

手加減なしに力を入れられ息を吸うのも絶え絶えになっていた。

突然の道明寺の出現に心拍も急激な上昇を見せる。

慌てて首を離した道明寺の片方の腕はしっかり私の腰に巻きついたままだ。

しっかりと耳元で感じる道明寺の息使いに身体が火照る。

離れてほしいと身体に力を入れるが吸盤みたいにピタッと道明寺が身体を密着させてはなれない。

わざとやって私の抵抗も楽しんでいる感じだ。

「久しぶりだろう」

耳元で小さく囁いて唇が耳たぶを微かにかすめる。

絶妙な感覚にブルッと身体が震えた。

確信的に私の感じるポイントを付いてくるなんて嫌がらせにしか思えない。

今はあんまり触れないでほしい。

そう言えたらどんなに楽か・・・

「・・・いつ・・・帰って・・きたの?」

気分をそらせとばかりに場違いな質問。

「今朝」

「成田についてそのままヘリ飛ばした」

「こいつらがお前のバイト先に押しかけると言っていたから無性に気分悪くなった」

「仕事はいいの?」

「仕事になるか」

そこは胸張って威張って言うところじゃないと思うがやけに鼻息が荒い。

「俺だけ仲間外れじゃたまんない」

仲間外れって・・・

自分がみんなに頼んだって言ってなかったか?

自分から仕事でいないと言っておいて、その時の私の反応が気にくわなかったって・・・

どう考えても子供のわがままだぁーーーーーッ。

さびしいとか・・・

ついて行きたいとか・・・

行っちゃいやだとか・・・

そんな言葉が聞きたかったのだろうか。

どれも私のキャラじゃないだろう。

「別に仲間はずれにしてないわよ」

「本当は海で遊ぶつもりもなかったんだから」

「せっかくみんなそろったんだから楽しくやろう」

さすがはまとめ役の美作さん。

私たちを残して海に飛び込んでいった。

「泳がねぇの?」

「見てるだけでいいかな・・・」

「その水着、俺が選んだやつじゃないのか?」

「・・・そうだけど・・・」

ビキニはヤダッて言ったのに彼氏が喜ぶの選ぶものだろうって無理やり押し付けられた。

「パーカー脱がないのか?」

「だって・・・」

「身体のライン自信ないし・・・」

「露出度多いし・・・恥ずかしい」

「水着だろう」

パーカの胸元から指を入れて道明寺が覗き込む。

「バ・バカ!なに覗いてんのよ!」

慌ててパーカーの胸元を握りしめた。

「思ったより谷間あるぞ」

満足そうにほほ笑んでる道明寺を真っ赤になって見つめていた。

「今さら照るな、それ以上のもん見てるぞ」

「泳ぐぞ」

自分で言ってなにを思い出しているのか一目瞭然。

目が泳いで一気に挙動不審になっている。

私の方がますます赤くなりそうだ。

「いいの?」

「なにが?」

「他の人に水着姿見せても?」

「えっ!」

「美作さんも西門さんも花沢類もいる・・・」

涼しい表情が顔を歪めて固まった。

「だめだ!絶対見せねっ」

「これを着ろ」

自分のTシャツを脱いで私に渡す。

これならまだましか・・・

クスッと笑って水着の上にTシャツを重ねる。

だぶだぶのTシャツは道明寺の移り香がして鼻先をくすぐった。

海水は冷たくて肌を刺激する。

波の合間を漂って・・・

みんなで海水をかけ合って・・・

浮輪に戯れて・・・

たわいないひと時を楽しんだ。

砂浜に座って二人で海を眺める。

家族連れやカップルでにぎあう海水浴。

笑い声と波の音が都会のしがらみをなくしていく。

「こんなゆっくりするの久しぶりだね」

「明日からバイト頑張らないと」

背伸びをしてハーッと息を吐く。

やる気が身体の隅々まで行き渡り充足されていく。

「お前のバイト断った」

「えっ?なんで!」

「今日手配した奴らがお前の代わりに働いてくれる」

「バイトの残り時間を俺にくれ」

怒って睨みつけようとした表情が思わず緩む。

真剣な表情の奥から見つめる熱い瞳から目がそらせなくなっていた。

-From 3-

居住地変更!

結局そうなった。

ペンションでは道明寺の泊まるところが確保できなかったからだ。

私と同じで構わないなんて無理な話。

優紀を追い出すわけにはいかないと必死で抵抗。

F3なんて一人じゃないと寝れないなんて薄情この上ない。

人目を引くイケメンがもう一人増えて静かなはずのペンションがザワツキを増し落ち着かなくなってきていた。

いったいどこから聞きつけたのか女性の姿がちらつきだしていた。

移ったホテルの最上階。

当り前に一緒の部屋だと引っ張ってこられたスイートルーム。

このまま全員で泊まれそうな広さ。

ここのフローアー全体貸し切りだからと言い放つ金持ちの感覚にはついていけない。

男性4人に女性2人どう考えても一室で十分だ。

「なあ、夜・・・」

夜!?

もう夜の話しですか?

思わずギクッとなって身構えた。

「・・・したい・・・」

したい!?

したいって・・・

したいって?

したいってーーーーーーーーッ!

いくら久しぶりだからってあまりにもストレートすぎないか!

「ど・・・どうみょうじ・・」

顔をぎりぎり接近させる道明寺にムズッと目をつぶった。

「・・・」

「・・・・・」

この沈黙が恐いよッ・・・

道明寺の息遣いだけを身体に感じてしまっている。

妙な緊張感。

けして期待じゃないとヘンないい訳。

「花火やるぞ」

「は・・花火!」

閉じた目をシカっと見開き道明寺を見つめる。

途中で買ってきたと道明寺が花火の袋を手にニンマリ悪戯っぽく笑っている。

安堵感!

安心感!

消失感

期待喪失?

ドッと全身の力が抜けていた。

「別な事を考えていたか?」

「べ・・つに・・・」

道明寺から視線を外してもバレバレに頬が火照る。

「俺はどっちでもいいけど」

しっかりと背中に腕を回されて身体を包まれる。

「まだ・・・昼間・・・」

「暗くなるまでたっぷり時間がある」

「そんな問題じゃなく・・・みんないるし・・・」

「それじゃ帰らせるか?」

「そんなのダメ!」

「冗談、そんな真顔で怒るな」

「そんなにがつがつしねえよ、お前の時間たっぷりもらってるしなっ」

焦る私の反応を楽しんでいる道明寺が無性に憎らしい。

「あっ!花火って言えば、今日花火大会だって」

「どうせならそっち行きたいな」

道明寺の腕をようやく振りほどき身体を離した。

「この部屋から見えるぞ」

「部屋からじゃなく祭りに行きたいの」

「夜店でかき氷食べて、トウモロコシもいいかな?焼きいか?たこ焼き?」

「全部食べ物じゃねぇえか」

呆れるような顔を道明寺が作って、くったくなく笑い声を上げる。

「どうせなら浴衣着たかったな」

「そんなのすぐ準備させてやるよ」

「みんなを誘わなきゃね」

このまま二人きりで部屋にいたのでは身がもたない。

いい口実を思いついたとホッとしながら道明寺の手をとって部屋を出たのだった。

続きは 花に嵐のたとえもあるが・・・4 

司登場でこの後は~

どうしましょう?

夏になにを体験させましょうか?

浴衣で花火大会なんてどうでしょう?

海がすめば山?

後はなにかあるかな?

まあなんでも楽しくてラブラブならいいか♪

庶民の夏満喫満喫のプチが若干多かったのでそちらでお話進めたいと思います。

最後は豪華なバカンスと甘マアを表現できればなおさらいいんですけどね(^_^;)

拍手コメントありがとうございました。

ともとも様

花男』のその後のお話楽しいものがあったと言ってもらえるだけでエネルギーになります。

今日は書けるかな?と思いつつPCに向かう日々。

コメント読んで書けそう♪と励みにさせてもらっています。

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