第11話 花に嵐のたとえもあるが・・・ 5

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-From 1-

ようやく見つけ出した牧野。

「良く見つけられたね」ってクスクス笑っている。

もう二度と離れないようにギュっと手をつないでた。

「どうせ食べ物の匂いに釣られているだろうからな」

手当たりしだいに必死で人の波をかき分けて探していた。

心配していた気持ちはこいつの笑顔を見て吹っ飛んだ。

類とイチャイチャしていたことを除けばだが。

「ひどーい」

「綿菓子を食ってたろう」

指ごと類にくわせやがってーーーッ

目の前で繰り広げられていた情景はどうみてもバカカップルだ。

思い出してまたムッとする。

「なあ・・・綿菓子・・・」

「もう食べたでしょう?もうないよ」

無邪気にキョトンとしたまん丸な瞳を向けられた。

「そうじゃねぇ」

そんな表情でさっきも類を見つめてた。

それも楽しそうな顔をして。

無防備な表情を俺以外の男に向けやがってッ。

やっかみ、嫉妬、憎悪、ドロドロとしたもんが溶岩みたいに流れ出す。

あの後、綿菓子を全部一人で口の中に放り込んだ。

あいつらに言われた通りに指でつかんで食べさせようとする牧野。

「俺にも食わせろ」

そう言ったら袋ごと俺に押しつけやがった。

「司、あんまり牧野いじめんなよ」

後ろから総二郎の声がする。

「うっせッ」振り返って不機嫌な顔を向けてしまってた。

いじめられているのは俺の方だ。

リンゴ飴たべよって駆け出した牧野を追いかける。

食べ物に負けていた。

その露天の横にお好み焼きの文字。

「小さい頃、祭りのお好み焼き食べたかったんだよな」

姉貴にダダをこねてつくってもらったことを思い出す。

「お好み焼き食べたかったんでしょう?お姉さんに聞いたことあるもん」

「ガキの頃の話だ」

目の前にお好み焼きを差し出す牧野が無性にかわいくて照れくさくなっていた。

歩いて着いた海岸通り。

そこに座りこむ人影のまねをするように膝を並べる。

ギャーギャー言いながら露店で買った物をみんなで食べた。

パックに入った焼きそばにお好み焼き。焼き鳥、たこ焼き、ジュースにビール。

今までこんなの食べたことねぇ。

衛生面大丈夫なのか?

が・・・

無性に楽しくておいしくて幸せだ。

腹こわしても文句は言わない気分になってくる。

「パァーン」「ヒュー」

「あっ、花火!」

夜空に舞い上がり広がる色とりどりの模様。

「綺麗」

見入って牧野が歓声を上げる。

「道明寺と見れるなんて、うれしい」

俺の腕に自分の腕を絡ませて牧野がほほ笑む。

花火を見てるよりクルクルと変わるお前の表情を見ていたい。

俺の横で無邪気にほほ笑んでいる牧野を見つめる。

これ以上の幸せ、喜びが他にあるものか。

誰にもやんねぇ・・・

やれる訳がない。

「お前の方が・・きれ・・」

牧野の耳に届かないまま後の言葉が花火の音にかき消される。

伝わる様に牧野の肩に腕を回し耳元に唇を近づけた。

 

-From 2-

「お前ら俺達の事、忘れてねぇ?」

あきらが珍しく俺に絡みつく。

邪魔なのは当たり前。

分かってて気がつかない素振りで聞いてくるのも癪に障る。

「忘れているから俺たちの事は気にするな」

あきらから顔をそむけたまま言い放つ。

次々と上がる花火の祭典。

俺達の事など気にせずそっちはそっちで勝手に眺めていればいいだけだ。

「牧野はそうは思っていないみたいだぜ」

俺の横で座っていた牧野は真っ赤になってドギマギとした表情を作っていた。

「暗いから分からないとか花火の音で話声は聞こえないとか思ってなかった?」

俺と牧野の間からそれぞれの肩に手をおいて肩を組む格好で総二郎が腰を下ろした。

「花火が上がった瞬間の光の明るさ結構なスポットライトになって照らされていたんだけど」

いったい総二郎はなにを言うつもりか・・・

「しましまな気持ちはねえぞ」

別に俺はやましい事してねぇし!

「それ言うなら邪だろう」

「思いっきり思っていただろうがぁ」

思わなきゃ男じゃねぇーッてニンマリしやがった。

こいつらはいったい・・・

どっちの味方なんだぁーーーーーー。

「は・・花火!綺麗だよね」

総二郎の言葉に牧野がとってつけたように声を上げる。

逃げ出したいなんて雰囲気で牧野は腰まで浮かせてる。

「司は花火なんて見てなかったぞ」

「人がいなけりゃすぐにでも司は牧野を押し倒してるかもな」

完全に牧野がゆでダコになっていた。

「人を盛りがついたネコみたいに言うなッ」

「猫や犬なら人目気にしねェぞ」

「まだ司は常識がある」って・・・

さっきから俺をすかしたり持ち上げると見せかけてズドンとおとしやがる。

「てめえら、俺に恨みでもあるのかァーッ」

「俺らがお前らを恨む訳ねえじゃん」

「しっかり応援してるだろう」

そのどこが応援している態度なんだ。

応援すると言うのなら、俺達を二人っきりにしてやるとかそう言う心遣いを見せるもんじゃねえのかよ。

「二人っきりになりたい気持ちを押し殺して我慢して爆発させる!」

これもいいもんだぞって総二郎が耳打ちする。

「夜は長いぞ」

あきらまで俺の想像を書き立たせる様な言い回しをしやがる。

花火が終わって部屋に戻ったら牧野と二人。

誰も邪魔する者はいない。

こいつらの言うことも確かにある。

「普段出来ねぇ事も出来るかもな」

???

普段できねェ事って・・・

総二郎・・・

どんなことだぁぁぁぁぁぁーーーーー!。

頬が緩んで、キョトンとなって固まった。

そして、響くこいつらの馬鹿笑い。

その横で牧野と優紀と類が3人で夜空の花火を眺めて歓声を上げていた。

 

-From 3-

「こうやってつくしと花火を見るの久しぶりだよね」

「中学校以来だね」

「同級生6人で行ったのが最後だっけ?」

「そうそう!」

優紀と二人思い出話に盛り上がる。

「優紀の初恋の男の子いたんだよね」

「なかなか優紀が話せなくて、私が通訳みたいに間に入ってさ」

「今考えたら私はお邪魔ムシだったよね」

二人をどうにかしなきゃって必死に考えて無理にはしゃいでたんだよな。

花火なんて見た気がしなかった。

それは、たぶん今現在も同じような状況を作っている。

「でもね、きっとつくしがいなかったら全然しゃべれなくて気まずかったと思う」

「「純粋だったよねッ」」

二人で顔を見合わせてケラケラ笑ってた。

「優紀ちゃんの初恋は中学か・・・牧野は?」

私の初恋が花沢類なのは周知の事実。

それで聞こうとする西門さんって・・・・

どう考えても私にしゃべらせて道明寺の反応を楽しもうとイタズラをしかけている。

誤魔化すか・・・

今さら誤魔化してもね・・・

頭の中は急速回転。

どうすればいちばん無難な対応ができるのか・・・

考えているのは道明寺の反応。

「バイト先で花沢さんの話を良く聞かされましたもんね」

優紀!それはフォローになってないよ。

どっちに転んでも道明寺の気分を損ねていることは間違いないと私の横で青筋をピキッと一本浮かび上がらせた現実が物語っている。

「どんな話してたの?」

うれしそうに追い打ちをかける西門さん。

「階段の踊り場で会えたっていつもうれしそうで・・・」

頬を染めて答えるなッ~

西門さんに従順な優紀は鬼門と化している。

花沢類も横で聞きながらまんざらないでもない様な顔をするものだから道明寺の青筋は2本に増えた。

美作さんは笑いを必死でこらえているし、あてにはならない。

「いつも花沢さんには助けられているって話してくれていたし・・・」

「襲われかけたところを花沢さんに助けられた・・・とか・・・」

「襲われた?」

さすがに西門さんと美作さんの表情も真面目になる。

「あっ、なにもなかったよ」

花沢類だけがにっこりとほほ笑んだ。

「誰に襲われた!?」

「初耳だ」

初耳って・・・

やらせたのはあんたでしょうがぁぁぁぁ。

もし花沢類に助けられなかったら今の私と道明寺の関係はありえないと断言できる。

「あんたの金魚のフンがやったんでしょう!?」

「えっ・・・そうだった?」

道明寺の沸騰寸前の顔から殺気がぷつんと消える。

私の運命を変えるかもしれない様な命令も軽いノリで出していたのだろう。

道明寺の高校時代の人格最悪だったもんなぁ・・・。

自分にはむかう者を全部排除して高笑いしていたからな。

私もその犠牲者だけど・・・

「道明寺さんの話も良く聞きました」

さすが優紀だ。ありがとう。

ホッと一息つけそうだと思ったら、最初は悪愚痴ばかりでしたけどって・・・

フォローになってないよーーーーッ。

「へぇ・・・俺のは悪口だったんだ」

意地悪な顔で道明寺が私の正面に迫っていた。

続きは 花に嵐のたとえもあるが・・6 で

この後の展開どうしましょう。

蛇のなまころがし作戦思案中だったのですが・・・

ち**様に見破られ~

司応援を宣言されました。

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この作品で200話となりました。

これも皆さまの励ましのお陰と感謝いたします。

良く書いたな・・・

あとどのくらい書けるのか・・・

今までのパターンではプッンと終わる感じがほとんどで・・・

どこかで気力が切れるんでしょうね。

それでも結構花男シリーズ続いてます。

まずは無事に1周年を迎えるのが目標でしょうか。

拍手コメントお礼 

ちょびん様

コメントありがとうございます。

類がお好きなんですね。

私の中でも愛しい存在ではありますが、司とつくしの恋のスパイス代わりにつかっちゃっています。

まだまだ暑い日が続いていますが、夏バテに注意してお互いに乗り切りましょう。

ひなつゆか様

毎日本当に熱いですね。

プールに行く娘を羨ましく思いながら過ごしております。

目指せ1周年!!

出来るところまで頑張ります。

いつも今日はどこまで書けるかな~なんて思いながらPCの前に座っています。

毎日書けるのが不思議なくらいで(^_^;)

書きだす1行目を思いついたらなんとかいけるんですよね。

書きながらストーリーを組みたたている手法がいつまで持つか・・・

それが問題で~

サイトめぐりするとリフレッシュしますよね。

私も好きです。

応援メッセージ感謝いたします。