花に嵐のたとえもあるが・・・おまけのはなし6

 *

「どうしたの?」

思わず覗き込んだ道明寺の顔。

愁いを帯びて・・・

苦しそうで・・・

せつなそうに唇が開く。

「牧野・・・」

「俺・・・」

「我慢できねェッ」

悲鳴にもに似た狂おしさをぶつけられて抱きしめられて押し倒された。

突然の出来事で言葉を発するのも忘れてしまってる。

みんなに邪魔されて逃げ出した秘境の地。

温泉に一緒にはいってのぼせて待たせた。

夕食も食べてお腹いっぱいで後は寝るだけのこの状況。

目の前には二つ並んだ布団。

この状況じゃ仕方ない道明寺の状態かなと思える余裕。

心には余裕があっても歩きつかれてくたくたで身体に余裕ありそうもなかった。

ブラをしてなかったと気が付き下手に勘違いされたら困ると身体を起こそうと試みる。

時すでに遅く・・・

簡単に開かれた胸元を見て「オッ」とうれしそうに響く道明寺の声。

完璧速攻で顔をうずめられていた。

「やさしくなんて出来そうもないから・・・」

「ごめん」

胸元から離した唇がそう言って私の唇をふさぐ。

後はなるようにしかならなくて・・・

どうしようもなく愛しさがこみ上げてなにも考えられなくなってしまった。

道明寺の指先に・・・

唇に・・・

時折見せるせつなそうな表情に・・・

流されて・・・

そして抱きしめあう。

重なる肌に、体温が混ざり合って溶け合った。

整えるように同じ調律を繰り返す道明寺の胸元に抱き寄せられる。

「次は大丈夫だから・・・」

「大丈夫って・・・なにが?」

「やさしくするから」

「ば・・・か・・・」

強引に奪う様に重ねられた肌も今は心地いい。

大丈夫だと甘えたい気持ちが空回りして小さく照れて発した言葉にまた照れる。

道明寺の顔なんて見られなくなっていた。

抱きしめられたまんまの状態で夜が明けた。

そっと抜け出す布団の外。

結局一つの布団は敷いたまんまで乱れがない。

私の抜け出した布団の乱れに昨日の余韻がそのまま刻まれている。

その場に止まるのは恥ずかしくって・・・

いたたまれなくって・・・

どうしようもなくなって・・・

逃げるように露天風呂へと飛び込んだ。

太陽が上がり始めて完全に夜が明けきっていない静かな風情。

まだ周りの風景も夜の色が包んでいる。

少しぬるめのお湯が皮膚を刺激する。

一つ一つの細胞にしみ込んで身体を目覚めさせる。

筋肉をほぐして疲れを癒す感覚に手足を伸ばしてグッと背伸びした。

「きもちいい~」

自然と口元もほころんだ。

「一人で入るな」

湯気の向こうから寝ぼけ気味の少しからした様な低い声。

ゆっくりと人影が近づいて私の横でそっと身体を落とした。

ちょっと動けば触れ合う微妙な位置。

くすぐったくて、恥ずかしくってクスッと口元がほころんだ。

肩の上にコツンと甘えるように頭を置いて寄り添ってみる。

私の肩に回された道明寺の腕が私を愛しそうに包み込んで抱きしめた。

道明寺が照れくさそうに見つめながら・・・。

書けるかな~と思いつつコメントに勇気をもらいUPしてしまいました。

この後は~

続く様な・・・終わりの様な・・・