恋の駆け引きは密室で 19

クリスマスのお話でちょっと中断してしまいました。

そろそろわが家の家族も正月休みに突入。

甘々な話に没頭できるのも今年は今日が最後かな?

心配がなくなって元気を取り戻したつくしちゃんで、年を越せそうで良かった。

*

優紀に滋に桜子・・・

3人が帰った後にポツンと取り残された道明寺邸の客室。

道明寺の部屋には行けないままに一人冷たいシーツにくるまる様にベットの中に身体を滑り込ませた。

高級な調度品に塵一つ落ちてない部屋。

生活感のない空間は寂しさを心の中に植え付ける。

すぐ近くに道明寺がいると思うとその寂しさは切なさに変わる気がした。

ここしばらく眠れなくて寝不足気味の疲れた身体。

シーツが私の体温と同化する頃にはウトウトとした眠りの中に誘い込まれる。

「牧野」

ドアが開いて差し込む温かい光。

光りが眩くて影だけが浮かび上がる。

聞こえた声は道明寺で顔をなぞる指先が優しくて、温かくて、

夢とも現実とも分らない感覚に包まれる。

確かめたいのに瞼が重くて言うことを聞いてくれない。

ヤッパリ夢?

道明寺が優しく私を覗き込む表情が近づいて私の唇に触れた。

照れくさいのに幸せで、もっと道明寺に触れられていたいって思う。

夢ならどんな恥ずかしい事だって出来ちゃうじゃないか。

「道明寺・・・キスして・・・」

広い背中に腕をまわして道明寺の耳元で囁く私。

「牧野」

熱のこもった道明寺の声を確かに聞いた気がした。

胸元に顔を押し付けて道明寺の腕に包まれていく感覚を憶えながら深く眠りに吸い込まれる。

本当に道明寺が私の隣りにいる様で、抱き締められてる感触。

髪の毛を揺らす道明寺の息遣いまでリアル。

そんな幻を夢見るくらいに私は道明寺を欲してたのかな?

明日の朝は一番に道明寺に会いに行こう。

「んっ・・・」

枕の柔らかさを感じない。

筋肉質の硬い感触。

薄く目を開けた先で鼻筋の通った顔と睫毛の長さを強調する目もとがかすかに揺れる。

「えっ?どうみょうじ・・・えーーーッ」

まさか、自分で道明寺の部屋に行ってベッドに忍び込んだとか・・・

部屋の中を見渡せば私が案内された客間だって分かる。

頭から冷や水をかけられたように一気に目が覚めた。

自分の服を、下着を着てる事を手で触って確認。

この前の騙された時と同じ仕草をしてる自分が情けない。

「俺の腕の中でさっきまでグッスリ寝込んでたのに、逃げるな」

浮き上がりかけて腰を元に戻す様に道明寺の腕が私を捉える。

シーツがはだけて均整のとれた筋肉質の裸体に視線が行き場を失った。

直視するには艶めかしい裸体。

「逃げるなって、道明寺、なんで裸で寝てるの」

「私服を着たままじゃ寝難いから脱いだだけだ」

だからって裸で寝るか?

一応あたしへの礼儀ってものあるでしょう!

「初めて見るわけじゃねぇだろう」

「そうだけど・・・そうじゃなくて、道明寺がどうしてここで寝てるの!」

悪びれてない道明寺に私の方が動揺を隠せない。

確かに道明寺と一緒にベッドにいるのは初めてじゃない。

けど!

夢だと思っていたものが現実に目を前にあることにあたふたとさせられてしまってる。

「俺も、ここしばらく寝不足だったんだ。お前の側だとぐっすり眠れる気がして、寝こみを襲うような事はしてねぇから心配するな」

片腕で身体を支えて横を向く身体。

身体の向きを変えたと同時にシーツが下に滑り落ちて下腹部の大腿の付け根まで見えそう。

「寝こみって・・・」

言葉よりも道明寺の引き締まったボディーにドキッとなってしまった。

これ以上シーツが下がったらどうするの。

変なもの見せるな!

「もしかして、襲って欲しかったか?」

肩を引き寄せられて鼻先が触れあいそうな距離で道明寺が囁く

「んな、わけないでしょう!」

逃れるように道明寺の胸元を拳で左右交互に打つ。

抵抗するには微弱な力。

本気で抵抗できないって身体の奥からキュンと湧き上がる熱。

「牧野がいつもの牧野に戻って安心した」

そのまま道明寺の腕が背中にまわって私を強く抱きしめた。

このまま道明寺にすべてを投げ出せば、私のカン違いだって身体で確認できる気がする。

そんな思いで道明寺に抱かれたらダメだよね。

道明寺に触れてほしくて、キスしたくて、抱きしめてもらいたいのに。

頬に触れた道明寺の唇は熱くて、優しくて、それだけで幸せになれる。

壊れそうなくらいに強く抱きしめてくれる腕の力。

今は痛みよりその力強さがうれしくて安心させてくれる。

「目を覚ますなら、もっと早く起きろよ。あんまり時間ねェンだ」

チュッと音をたてた唇はそのまま向きを変えてベッドか 降りた。

「冷たい、シャワーでも浴びねぇと仕事にならない」

私を責める様な不機嫌な表情は直ぐに消えて口元が微笑む。

「事が落ちついたら、寝かせないから逃げんなよ」

不敵な表情で横暴に呟く声。

「えっ・・・あっ・・・」

傲慢さ全開の俺様な道明寺。

さっきまでの私を労わる様に見えた優しさの欠片もない。

あの道明寺も夢だったとかじゃないよね?

「イタッ」

シャワー室に消えていく道明寺を見送くりながら自分で頬をつねった。

拍手コメント返礼

あずきまめ 様

素直なつくしちゃんもここからは徐々に影を潜めていくようなぁ~。

司君本当に離しそうもないですよね。

みなさんそろそろ正月休み突入ですね。

昨日からうちの姫は発熱。

病院が休みになる前で良かった。

明日には治ってくれるといいんですが・・・

どうなるかな。(^_^;)

佳扇 様

司が変わればつくしちゃんの反応も代わるということなんだと思うんです。

素直ないつもと違うつくしちゃんも好きなんですよね。

オオイタッコ様

年末の濃厚さは何時もよりソフトですけどね。

このくらいならいいかと・・・(^_^;)

年末まで忙しそうですね。

私も残り3日は大掃除と実家に帰省で忙しく終わりそうです。

今年はオオイタッコさんと知り合えて、楽しく過ごさせていただきました。

いろいろ悩みを聞いてもらったり、本当に精神的な拠り所にさせていただいたって感じです。

来年もよろしくお願いします。

良いお年をお迎えください。

おくら様

大人と単純な司が行ったり来たり♪

今回は大人の色気で攻めてます。

司応援団増殖中ですよ。