門前の虎 後門の狼 15
勢いでお持ち帰り風の前回の司君。
部屋までどうやってたどり着いたか分からないくらいに夢中になれたってことですよね?
それとも・・・
つくしに鉄拳をくらわされ記憶が飛んだとか?
どっちのオチが楽しいでしょうね♪
最近某クラブ静かだなぁ・・・。
イタッ・・・
背中にひりひりとした擦り傷のような痛み。
絶対赤くなってる。
自分で見ることのできない背中に腕を回しても肌の状況がわかるはずはない。
壁に勢いよく押しつけられた背中は痛みを感じる間もなく道明寺の熱に溶け込んで夢中になった。
身体の中に残るけだるさを感じながらもフッと笑みが漏れたのはうつぶせのまま顔を横に向けた道明寺の安心しきった寝顔は子供みたいに可愛く思えたから。
寝ぐせでいつもより見られたくせ毛の跳ね方一つでも愛しく感じてしまう。
シーツからはみ出した肩甲骨から流れる腕のライン。
しなやかな筋肉は美的な鑑賞。
枕に半分沈む横顔のライン。
すッと伸びた鼻筋は彫刻的な日本人には珍しい深みのある影を作る。
ほんと、平和そうな顔して寝てるな・・・
ベットから身体を起こしてしばらく眺めていたが、道明寺は、まだ目覚めそうもない。
服はどこ?
当たり前のように脱ぎ散らかしたはずの服を探す。
道明寺の服しか見当たらないって・・・
どこで脱がされたんだっけ?
玄関を入ってすぐのところで道明寺が欲情して・・・
必要最低限に服を乱されて・・・
あの時は服を脱ぐ間もなく道明寺が私の中に入ってきて・・・
そしてリビングのソファーでしょ?
そのあとベッドの中になだれ込んだんだっけ?
何度愛し合ったのか記憶を探って脱ぎ捨てられた服を探す手順はどうしようもなく恥ずかしい。
まさか裸のままで部屋の中をうろうろするのも気が引けるので一番身近に落ちていた道明寺のシャツを借りることにした。
自分は最後まで脱がなかったんだ・・・
拾ったシャツが道明寺の抜け殻みたいに思えて笑いたくなる。
袖に腕を通した瞬間に鼻に感じる道明寺の匂い。
包みこまれる感触は本来道明寺に抱きしめられるより濃艶に感じる気がした。
冷たい絹の肌触りが直に肌に触れてその冷たさにぶるっと震えた。
床についた脚はそのまま露出したまま。
下着をつけてないからシャツの白が肌の色を浮かび上がらせる。
早く自分の服を探さなくっちゃ。
そっと、道明寺を起こさないように静かに腰をベッドから浮かび上がらせる。
「どこ行く?」
寝起きの掠れた声が響いてグイとつかまれた手首が私をベッドの上に引き戻した。
「起きたんだ・・・」
振り返った拍子に引き寄せられた身体は道明寺の身体の上に落ちる。
「勝手にベッドから抜けだすな」
頭の上に響く声はまだ擦れたまま。
その掠れ具合が拗ねてるみたいに聞こえる。
「道明寺が気持ちよさそうに寝てたから起こせなかったんだよ」
そんな私の言い訳も不服そうな瞳が私の瞳と重なった。
「あっ」
身体を強引に反転させられてベッドから天井に私の視線が変わる。
道明寺のいいように扱われてしまってる。
「まだ足りねぇし」
裸体のままで、すぐにでも重ね合わせられそうな・・・
拒むことも無理な状況。
もうすでに道明寺の胸元は私の胸に押し付けられてる。
足りないって・・・
背中も痛いし・・・
腰もちょっと・・・
道明寺の残した痕は体中に熱を残してる。
このままだとベッドから出れなくなりそう。
「好きな女が自分のシャツを着てるのはいいもんだな。
誘われてるような気分になる」
「誘ってない。私の服が見当たらなかったから借りただけ」
道明寺を押しのけようとした腕はそのまま枕の上に拘束されてしまった。
「お前の服を脱がせるより興奮するかも」
にんまりと私を見下ろしながら道明寺の指先がシャツのボタンをゆっくりと外す。
ちょっ・・・
くすぐったいッ!
ボタンを外そうとしてる指か軽く肌を刺激してくすぐられてるような感触が肌を刺激する。
何とか逃れようと手首を回しても道明寺は片腕だけで私を押さえつけてびくともしない。
「あっ・・・」
すんなりと入り込んだ道明寺の手のひらは遠慮なしに私のふくらみを包みこんだ。
鼻から漏れた声はどう聞いても甘い熱を含んでる。
「も・・も・・もぅ・・・無理だってッ・・・」
私は牛かッ。
焦って噛む声は完全に落ち着きをなくしてる。
「俺は無理じゃねぇから」
私に落とす道明寺の瞳は昨晩より濃艶で濡れたように光ってる。
道明寺の腕はしっかりと私の腰を押さえつけるから、動けなくなった。
抱きしめらた肌から伝わる熱は言葉より素直に道明寺に反応し始めてる。
二人で暮らす初めての夜からこれでいいの?
そんな理性はすでにはがれ始めてた。
拍手コメント返礼
りり 様
朝からいちゃこらできるのは人生の内では短いと思うのですが、司とつくしには当てはまらないのかもしれませんね。