愛を叫べ! 13

司君三段活用は無事に達成されたのでしょうか?

その割にはお☆様ついてない・・・

訝しい展開ですね。

頻繁にPW付のお話は登場したらうちの二次ロマンス小説にカテゴリを変更しなきゃならないような気がするんです。(笑)

ということで(どういうこと?)濃厚なLOVEはクリスマスまでお預けって言うことでお許しを~~~~~。

「俺を置いてきぼりにするのはお前の趣味か!」

怒鳴り声が聞こえたスマホを慌てて塞ぐ。

出勤時間が違うのは会社の重役とまだ駆け出しの新米弁護士との違い。

いくら説明しても道明寺の苦虫をかみつぶした顔は変わらない。

「お前は俺の妻だろう」

二言目にはこれだ。

帰りは一緒に帰れるんだからいいじゃない。

黒塗り、ダークスーツ集団の護衛付きで会社の玄関に横付けされた車から降りるときの私の緊張感を道明寺は全くわかってない。

特に朝まで私を離してくれなかった日には体中が妙に道明寺を意識してしまう。

少しでも早く離れて道明寺の記憶を頭から、身体から追い出さなきゃ仕事にならない。

朝までべたついたのだからすっきりとさわやかに私を離してほしいよ。

「昨日報告書が書けなかったのは道明寺のせいだから!」

ネットに投稿された動画や写真の記事のことを知らせにいってそのまま仕事には戻してもらえなかった。

お昼に食べ損ねた遅めの昼食は道明寺と一緒にラーメンを頬張った。

「やりたいこと!服を脱がせたい。

したいこと!お前とつながりたい

行きたいとこ!ベッド。以上」

私の意見を求めていたはずの道明寺は、拒否権を私に与えることない独裁者に戻っていた。

近場のホテルの最上階の一室。

そこは道明寺が仕事で帰れなくなった時のために1年中貸切にしてる部屋。

何度か連れこまれたことはあるので自分の部屋みたいな感覚もある。

着替えの服も下着も私の分までそろえられたのはいつの頃からか・・・

う~ん・・・。

思いだせなくなってきた。

いつもなら時間差が1時間はあるのに出勤時間の短縮は30分。

すでに道明寺は会社のエントランスについているのだとスマホの向こう側から聞こえるざわつきが教えてくれる。

社員のおはようございますの途切れることのない声。

あいさつの多さは人が一番行き来するエントランス入り口付近に近い。

「チン」と聞こえたエレベーターの到着音で私より長いストロークを持つ長い脚を生かして道明寺がすでにエレベーターに乗りこもうとしてることがわかる。

「今、行くから待ってろ」

どす黒い凶暴さがにじむ不機嫌な声。

悪役のセリフそのままの迫力。

道明寺と一緒に起きなかったことで、ここまですごまれるのは割に合わない。

「チン」

エレベーターのドアが閉まるのを知らせる音が警告音に聞こえてきた。

来なくていい!

逃げよう!

どこに!

道明寺が私を見つけ出せないわけがない!

追い詰められたら捕獲されて、好きなように触られて、煽られて、落とされる。

昨日と一緒だ・・・

デジャブ。

過去に戻って、同じ時間を繰り返すというどこかで読んだパラレル的な発想が浮かぶ。

道明寺のことは忘れて仕事に没頭させて!

「おはよう」

ガチャッとドアの開く音にビクッとなった私の背中はそのまま声の方向に振りかえる。

朝の明るさそのままににこやかな弁護士の先輩松山玲子さんにほっとしてる。

朝は怒鳴り声じゃなくこの明るさが一般的な職場の雰囲気。

この雰囲気がもうすぐ乱れるのだと募る不安。

どうしよう・・・・

「あれ?つくしちゃん顔色が悪くない?

大丈夫?」

私の目の前の席に座る玲子さんが私の顔に自分の顔を近づけてきた。

「体調はいいんですけど・・・」

「なるほどね」

私の声と重なった玲子さんの声。

玲子さんの視線が弁護士事務所の入り口に釘つけになってる。

機械人形のようにぎくしゃくと首を回す私が見たものは、威嚇のオーラーを解き放つダークスーツを着た悪魔。

その後ろで委縮して立ちすくむもう一人の先輩弁護士甲斐さんの姿が見えた。