第2話 抱きしめあえる夜だから 29

 *

-From 1 -

輝く白い砂浜。

打ち寄せるレースの白い波。

紺碧の海ははるか遠くで空と交わる。

ここ・・・どこ?

突然乗せられてヘリ。

「これなら誰にも見られない」

自信満々の態度の道明寺にも納得。

どこのビーチに連れて行ってくれるのかとワクワクしながら乗り込んだ。

そして・・・

誰もいなくなった。

私たちを二人残してヘリは空の彼方へと去っていく。

「思い出さないか?」

満足な笑みを浮かべて道明寺がはるか遠くに光となったヘリを眺めながらつぶやいた。

「何を?」

「結婚前に俺たちが置き去りにされた島」

「はぁ?」

確かに地平線をたどっても空との交わりしか見られない。

目の前全部が海!

ハワイはどこ行った?

ヘリで来れる距離だからそこまで離れてないとは思うけど・・・。

ワイキキビーチ。

カイルア・ビーチ。

アラモアナ・ビーチ。

ハナウマ湾。

旅行マップで見たエメラルドグリーンの海に白い砂浜はどこ?

何処にも見えないよ~。

「何考えてるの?」

半分呆れて半分ムッとする思い。

「あの後ハワイじゃ俺たちのこと騒ぎになっていたみたいでさ、さすがに目立つことはムリだ」

ホテルからもなかなか出れない感じなんだぞと脅される。

「ビーチを立ち入り禁止にして泳いだりするのはお前が嫌がるだろうからやめた」

SPに囲まれた中で泳ぐなんてどう考えても楽しそうじゃないもん。

「プライベートビーチも静かに泳げそうじゃない雰囲気でな」

「俺たちから人の来ないところを選んだというわけ」

そのわけがこの無人島?

飛躍しすぎだぁぁぁぁぁぁ。

無理なら私はビーチ諦める。

道明寺みたいにわがままは言わないわよ。

いまさら遅いか・・・。

「あっ、ヘリは明日まで迎えに来ないから」

「あの時の置き去りみたいに何もないってことはないから、楽しめるぞ」

砂浜を少し歩いたところにはテントと食卓が準備されている。

キャンプの準備が万全に整っていた。

「準備万端だろう」

子供みたいに好奇心いっぱいの笑顔。

道明寺なら何でも楽しめそうだよね。

あの時もクレジットカードから刃物作ったり、魚の取り方も要領よくうまくなっていた。

道明寺がいたから生きていけてのだと今なら思う。

道明寺に無人島で生き延びる順応性がなかったらどうなっていたのだろう。

文明の生活よりも自然の中のほうが喜々として道明寺が雄大に見えてしまう。

「ねえ覚えてる?」

「あの時言ったこと?」

「おまえを愛してるって言ったこと?」

「いつも言ってもらってるけど」

クスッとこぼれる声。

「つらいこと、悲しいことは、二人で分け合って半分になって、たのしいこととかうれしいことは、二人で喜んで2倍になるね」

「そうかもな」って、道明寺が顔をほころばせてくれたんだよね。

声を出さずにつぶやく。

「この暮らしも、ホント悪くねぇかも知んねぇな」

「牧野とずっと向き合ってられるし、誰にお邪魔されねぇ」

何のためらいもなくさらりと言って道明寺がゆっくりと歩み寄る。

「愛してる。もう絶対離さない」

道明寺の腕の中に包まれる。

まるであの時の再現みたいにゆっくりと。

「やっぱり愛してるじゃねぇのか?」

耳元で道明寺がつぶやいた。

もう・・・

ビーチでの海水浴なんてどうでもよくなった。

 

-From 2 -

「オプショナルツアーで砂浜でバーベキューってなかったけ?」

焼けた肉を頬張りながらつくしの視線はロブスターに止まってる。

ツアーの内容なんて覚えてねぇよ。

ほとんどがお前しか見てなかったし。

満天の星空に、聞こえるのは浜辺に打ち寄せる波の音。

置き去りにされた無人島じゃ、のんきに星空を眺める余裕なんてなかったもんな。

チェアにもたれかかって降り注ぐ星を見つめる。

「星座の話って悲恋が多いよね」

「星座って、ギリシャ神話か?万能の神ゼウスとかのやつだろう?」

「ゼウスって俺みたいだって言わないでよね」

いきなり図星を指された。

「よそにいっぱい女のひと作ってるんだから」

言葉にせずに助かったと苦笑する。

「俺がするわけねぇだろう!」

「何を?」

答えを知ってるくせにわざと俺に言わせたがってねぇか?

膝の上に乗せる様につくしをいざなう。

「俺、お前意外には反応しねぇの」

そっと腰に腕をまわしてつくしを抱きとめた。

耳元から赤く色ずく頬。

寄せあう頬に互いの体温が心地よく伝わる。

「いいよね、こういうの」

「時間がここだけ止まってるみたいで」

二人の時間をゆっくりと楽しむように流れ出す刻。

会話がなくても通い合う気持ち。

抱きしめているだけで他には何もいらなくなる。

波の音は宵の中に静かに溶け込んで徐々に聞こえなくなる様。

重なる呼吸音だけがかすかに耳元に響く。

俺達二人以外はすべてが静寂の中に消え去って行く様な感覚。

やっぱ、ほかには何にもいらねぇみたいだ俺。

離さない思いを胸に押し込めたまましっかりと抱きしめて眠った。

「迎えが来たぞ」

朝やけを眺めながら歩いた白い砂浜。

残された4つの足跡が並んで続いてる。

ヘリの中からそれを眺めた。

別荘へ降り立つヘリ。

「ヘリポートが完備なんだ」

どこまで豪華なのと言いたげなつくし。

「残りの時間はここでゆっくり過ごそう」

つくしの肩に腕を回し同じ足並みで建物へと歩く。

「お土産買ってない!」

突然立ち止まったつくしが思い出したように声を上げた。

「土産?」

きっと今の俺は間の抜けたアホ顔をさらしてると思う。

「職場のみんなでしょ。パパにママに進!」

「花沢類や西門さんに美作さんも」

「西田さんにも買わなくっちゃ」

喜々と瞳が輝きだすつくし。

類も総二郎もあきらもいらねぇと思うぞ。

その前に・・・

こいつどこで買い物する気だぁぁぁぁぁぁ。

新婚旅行でどこまでつくしに振り回されるのだろう。

頭痛くなってきた。

続きは抱きしめあえる夜だから30

無人島での海水浴、トラブルで置き去り!なんてリクエストをいただいておりました。

使えないかなと思っていた考えをようやくここで文章にできました。

ファイナルの無人島場面と何とかつなげられないかと模索。

話が合うように持ってくるのに数日。

頭フル回転♪

そうでもないか・・・(^_^;) 

他の話書いていたしね(突っ込まないでくださいね)

お土産って、何買うのかな?

ハワイのお土産の定番?

マカデミア チョコ、ジャキー etc~

定番お土産に目が点のF3を見てみたいものです。

あっ!水着着て泳ぐの忘れてた(^_^;)

拍手コメント返礼

nanaco

ありがとうございます。

ずいぶんと咳はよくなりました。

nanaco様も、もしかしたら咳喘息じゃないですか?

咳止めが全く効かなかったら喘息の薬が効きますよ。

私の周りにも結構いるんですよ。

薬の見せあいっこしてこれが効いたとか情報交換してます。

b-moka

ついヘリを飛ばしてしまいました。

私は乗ったことありませんが(^_^;)

次はお買いものですね♪

貸し切りだろうか・・・

ねぼすけ 様

「俺、お前以外には反応しねぇの」

司に言われちゃったら何でもします!