第14話 DOUBT!!  2

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-From 1 -

あれから三日。

完全に無視され続けてる。

・・・って・・・言っても・・・

私から連絡もしなければ私の携帯が鳴ることもない。

いったいどうしちゃったのか・・・。

けんか別れなどぜずに『仕事で疲れてるんだね』くらいの愛情を見せるべきだったのかと後悔の念。

そんな大人の余裕なんて持ち合わせていないけど・・・。

こと道明寺を目の前にすると天邪鬼化してしまうんだよなぁ。

その根底にはなにを言っても、猪突猛進の行動もすべて受け入れてくれる道明寺いたからで、喧嘩してもすぐに抱きしめてくれるって思ってた。

大学の構内にいても虚ろになる心。

司法試験が終わったあとでよかったよ。

ベンチに座って風にゆられて落ちてくるイチョウの葉っぱを眺めてる。

物悲しくなるのは秋のせい?

マリッジブルーになるのは早くない?」

「花沢類!」

大学を卒業してもまだ働きたくないと大学院に残った花沢類。

今では私のお目付け役みたいな存在。

類が残るなら俺も残るって息まいていた道明寺も「牧野に変な虫がつかなくていいわ」と今では花沢類の存在を重宝している節がある。

私のことを思っていろいろ優しくしてくれるのはありがたい。

大体は私の道明寺に対する愚痴を聞く専門となっているけどね。

マリッジブルーって、まだ結婚も決まってないし・・」

「牧野が卒業したら結婚するって、司の口癖だけど」

私の横に花沢類が腰を下ろして並んで座る。

やさしく私に笑いかけて花沢類の視線が遠くを見る様に動いた。

「なんかあった?」

いつもならあの馬鹿っ!から始まって連絡くれなくて、人をほっといてなんて花沢類に聞かれる前から喋り出しているはずだ。

それができないの道明寺の雰囲気が今までと全く違うから・・・

高校3年の冬、NYで道明寺に追い返されたのがトラウマになってたんだと気がついた。

「なんだか違うんだよね」

「何か隠し事されてるような気分」

足元の小石をコンと蹴った。

転がる小石を視線で追う。

花沢類と眼が合わせられないのは心の中をすべて見透かされてしまいそうだから。

「隠し事って、司が?」

「あいつはウソつくの下手だけどね」

「だから不機嫌でごまかしてる」

「何があってもいまさら司は牧野とは別れられないと思うけど」

私の顔を下から覗き込むように花沢類が背を丸める。

やっぱり心を見透かされてるようで思わず身体がキュッとなる。

「会えないのに連絡くれなくて、会いに行ったら喧嘩しちゃった」

「それから連絡してないんだ。こんなこと初めてだし」

「私たちのケンカの冷戦期間更新中」

笑顔になってもうまく頬が動かない。

「そのうちさ、牧野!ってケンカしたことも忘れて押しかけてくるんじゃない。司のことだから」

「司が牧野のことを思ってないなんてあるはずないんだから」

「まあ、俺の方からも聞いてみるけど」

「いつもごめんね」

慰めてくれるように私の頭にポンポンと手のひらで花沢類が触れる。

「結婚するまでやきもきさせられそうだ」

それはそれで飽きないけどとクスッと優しく花沢類の口元に笑みが浮かぶ。

「遊ばれるのは、西門さんと美作さんだけにしてほしいのだけど」

ニコッと自然な笑顔をなんとか花沢類に向けられた。

 

-From 2 -

そびえ立つ高層ビル。

地上65階で司は仕事に追われているのだろうか。

最近は屋敷にも帰ってないと情報をつかむ。

司にしては珍しい。

受付に名前を告げて面会を依頼しようとロビーを進む。

歩くたびに俺を振りかえる視線が増えている。

色を帯びる視線は邪魔にしか感じない。

「代表でよろしいですか?」

名前を言う前に慌てたように受付の女性が受話器を持ってボタンを押した。

チラチラと連絡を取りながら俺を盗み見る女性から目をそらすように入口を眺めてた。

司、受付の人事を考えたがよくないか?

最初はアポイントの確認だよな?

それとも俺と司の関係を知ってればの対応?

それよりも俺に浮足立ってんじゃダメだろう。

俺んとこも似たようなもんかもなぁ。

司が来たらもっと騒ぎになるかもしれない。

「すいません、今は会えないとおっしゃってるのですが」

中越しに落ち込み気味に聞こえる声。

「司はいるんだよね?」

「ハイ」

「じゃあ、いいよ。力づくでも会うから」

にっこりと顔はほほ笑んでいるが心の中はさすがに高揚している。

あいつが俺に会わないと言うことはうすうす、牧野のことで訪ねてきたと悟っているためか。

俺が会わずに帰るとは思ってないはずだ。

「あの、困ります」

「心配しないで、君には迷惑かけないから」

そう告げると振りかえることなくエレベーターに向かった。

執務室を目指し廊下を歩く。

シーンと静まり返ったビル内。

目標の場所にたどり着く前にガチャッと途中の部屋のドアが開く。

どうやら受付嬢は司の秘書に連絡を入れたらしい。

まあ、妥当な対応だよな。

「類様、何かご用で?」

「司に会いに来たんだけど、珍しく追い返されそうになんたんでね。直接文句を言いに来た」

心の中をお互いに見せない駆け引き。

相変わらず読めねぇよな、司の秘書の西田。

表情を変えないまま「どうぞ」と執務室まで案内された。

「代表、花沢様です」

書類に目を落としたままの司が頭をかすかに動く。

「何しに来た?」

一瞥するような鋭い視線を俺に向け革張りの椅子から立ち上がった。

「分かってると思うけど?」

「ったく」

かすかに漏れる司の舌打ちの音。

「牧野も心配してた。いつもの司じゃないって」

「なにか隠し事されてるって勘ぐってるよ。俺もそう思うけど」

じっと俺に向ける司の表情は不機嫌だ。

「簡単に動くんだな、牧野の為だと」

両手をスラックスのポケットにつ込んだままのふてぶてしい態度をとっている。

「牧野の落ち込んだ姿は見たくないからね。

それは司も一緒でしょ」

窓際のソファーに腰かけ視線を司にぶつけた。

「相変わらず、イヤな野郎だ」

「・・・だけど信頼してる」

うつむいて黙り込んでいた司がようやく重たい口を開いた。

続きは DOUBT!!3

まだ展開は見えませんねぇ~。

なんかじらしてる感じが・・・。

すいません(^_^;)

話が見えてこない展開もドキドキしませんか?

・・・でお話が進んだらな~んだってことになったりしてがっくりさせたらすいません。

今のうちに謝っておきます。

この話はゆっくりUPしていこうとおもっています。

とはいっても、みなさんの反応がいいとついつい気を良くして書いてしまう悪い癖♪

今度は封印出来るかなぁ(^_^;)

拍手コメント返礼

hiro様

ゆっくりでいいとおっしゃっていただけると心に余裕が~

ありがとうございます。

b-moka

ピンチの時の花沢類私も大好きなんです。

kotonoha様

初コメありがとうございます。ドキドキさせる展開ですがもう少しお付き合いを♪

こう様

続き気になりますよね。

このお話は丁寧に書きたいと思ってるのでいつものテンポが出てこないのです。

休み明けにUPで着るといいのですが(^_^;)。