ハロウィンの夜に 番外編 2

 *

「てめぇーら出せ!」

部屋中にたち込める暗雲。

司の周りには御丁寧にどす黒く渦まで巻いている。

久々の怒迫力。

「出せってなにを?」

ここに集結させられた全員がその理由は解っていての白々しい返事はさすがあきらだ。

「携帯をよこせ」

素直にみんなポケットからそれぞれ携帯を差し出す。

「類、これはなんだ!」

開いた携帯の画面が司の怒りを増長してる。

「何って牧野と俺とのツーショット」

「牧野の写真手これしか持ってないしね」

「よく撮れてるでしょう」

司の怒りなんて全く関知してないような類の反応。

相変わらずだ。

「俺らのもそうだ」

バニー牧野とゾロの類。

バニー牧野と海賊のあきら。

バニー牧野と吸血鬼の俺。

3人で示し合わせたような待ち受け画面。

あきらと俺は司から呼び出し受けたときに速攻で待ち受けの写真を貼り替えた。

それは司の反応を楽しむためのもの。

類の場合はマジだろうけどな。

「ボキッ」「ボキッ」「ボキッ」

「グシャッ」

響く破壊音。

想像どおり真っ二つにされた携帯が3つ床に転がった。

「司、携帯壊しても無駄だよ。今はメモリーっもんがあんだろう」

司が落ち着きかけたところで持ち上げて落とす。

俺・・・

いつからこんなに性質が悪くなったんだろう。

「なんでこんなに写真があるんだ。2枚だけじゃないのかぁ」

「滋がプロのカメラマンを頼んで写真撮ったんだぜ」

「牧野もカメラマンに乗せられて何枚も撮られてたよなぁ」

あきらも案外この状況を楽しんでいる。

「わーーーっ!そこまではしゃべってないのにッ」

笑顔を向けたその先で牧野がギクッと身体を震わせる。

後ろには必死の形相の司。

見たことねぇ嫉妬の炎が噴いている。

ここまでが遊びの限界か?

あきらと顔を見合わせた。

「メモリーなんかには残してねぇからな。冗談」

あきらの言葉なんて司に届いてない雰囲気。

「お前のバニー見たのってこいつらだけじゃなくてカメラマンもか!?」

攻撃が牧野に移ってしまってる。

助けようにも助けられねぇ・・・・かも。

司が牧野に手を出すはずはないから外野からの見学を決め込む。

別な意味でいじめられてもしょうがないだろうけど。

「写真撮ってたからしょうが・・・キャッー」

「バン」

部屋中に響く壁の音

牧野が壁に磔にされてしまった。

「俺との写真は一枚もねぇのに、なんでこいつらに撮らせる」

「天狗とバニーで撮りたかったの?」

牧野の返事に思わず「プッー」と吹き出した口元を押さえた。

牧野のバニー姿を自分以外が見たことに対する司の嫉妬心を全然察知してねぇぞ。

ここまで鈍いと司が哀れに思えてくる。

「牧野いいこと教えてやる」

司に聞こえるように声を出す。

「えっ?」

わずかな隙間を這い出る様に牧野が司から離れた。

「司の機嫌が直る方法」

「バニー以上の格好を司だけに見せてやればいいことだ」

「そうそう、もっと露出度の多いやつ」

同調するようにあきらが付け足す。

「露出度って・・・」

呆れたような顔で見る間に赤く顔が染め上がる。

「キューテーハニーのへそ出し衣装」

あれは胸にボリュームがないと無理かと考え込むあきら。

「胸だしルックの古代のエジプトの衣装」

これなら牧野でも大丈夫だ。

「どうせなら下着姿のほうがすぐできるんじゃない」

類!それは仮装じゃねえだろう。

「牧野の下着姿なんて見飽きてるぞ」

「ボクッ」

「テッ」

相変わらずの牧野の反応。

学習してない司。

「それじゃ、いいじゃん。俺たちの知らない牧野を司は知ってるんだから」

類の言葉に司の怒りの渦が鎮静化されていく。

「そうだな。知ってるの俺だけか」

自慢されても困るが別にうらやましくねぇ。

「お前らもう帰れ」

「はぁ」

「邪魔だ」

完全に牧野を自分の腕の中にしまいこんでいる。

相変わらずのわがまま、やりたい放題。

それでも憎めない。

俺ら振り回されて苦笑するしかねぇんだよな。

こいつとの付き合い。

あとは牧野・・・

        頑張れよ!

総二郎目線での番外編 第2弾をお送りしました。

大方の予想通りの携帯の運命。

勿体ない・・・

なんて思ってるのはつくしだけだろうなぁ

第三弾は・・・何かある?

今のところこの後のつくしの運命くらいなものでしょうか(^_^;)